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第3節 

1 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 の取組

(1)化学物質審査規制法の施行状況
 化学物質審査規制法では、化学物質による環境汚染を通じた人の健康被害を防止するため、新たな工業用化学物質の有害性を事前に審査し、環境中で分解しにくく(難分解性)、継続して摂取すると人への毒性(長期毒性)のある化学物質について、その有害性の程度に応じた製造・輸入などの規制を講じています。平成15年は362件の新規化学物質の製造・輸入の届出があり、審査を行いました。16年1月には指定化学物質(改正法の第二種監視化学物質)として51物質を追加し、16年1月末現在、第一種特定化学物質としてPCB等13物質、第二種特定化学物質としてトリクロロエチレン等23物質及び指定化学物質としてクロロホルム等739物質を、それぞれ指定しています。

(2)化学物質審査規制法の改正
 近年、諸外国においては、人の健康と並んで環境(生態系)への影響にも着目した審査・規制を行うとともに、化学物質の有害性のみでなく、環境中への放出可能性も考慮したより効率的な審査・規制を行うことが一般的であり、日本においても適切な制度改正を行うことが求められました。
 このため、厚生労働省、経済産業省及び環境省の関係審議会において、今後の化学物質の審査及び規制のあり方についての審議が行われ、その内容を踏まえた化学物質審査規制法の一部改正法が平成15年5月に国会で成立し、平成16年4月から施行されました。改正法では、生態系への影響を考慮する観点から動植物への毒性が化学物質の審査項目に新たに加えられ、この審査の結果、必要な場合には製造・輸入の規制などを行うこととしています。また、リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直しとして、1)難分解・高蓄積性の既存化学物質に関する規制の導入、2)環境中への放出可能性に着目した審査制度の導入、3)事業者が入手した有害性物質の報告の義務付け等を規定しています(図5-3-1)。


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