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第2節 

3 本態性多種化学物質過敏状態について

 近年、微量な化学物質に対するアレルギー様の反応により、さまざまな健康影響がもたらされる病態の存在が指摘されています。このような病態については、欧米において「MCS:Multiple Chemical Sensitivity (本態性多種化学物質過敏状態)」等の名称が与えられ研究が進められています。日本では「化学物質過敏症」として一般的に呼称されていますが、その病態をはじめ、実態に関する十分な科学的な議論がなされていない状況です。
 このため環境省では、平成9年度からその実態の把握や原因の究明のための調査研究を開始し平成16年2月にとりまとめ、公表しました。その結果では、ごく微量(指針値の1/2である40ppb以下)のホルムアルデヒド暴露と被験者の症状誘発との間に関連性は見いだされませんでした。このことから、いわゆる化学物質過敏症の中には、化学物質以外の原因(ダニやカビ、心因等)による病体が含まれていることが推察されました。今後は、指針値を超えるような化学物質の暴露による未解明の病体(MCS)の研究を充実していく必要があります。

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