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第4節 

2 産業廃棄物対策

 不要な物である廃棄物の処理には、十分な費用をかけるという動機付けが働かないことが不法投棄などの産業廃棄物の不適正処理問題の根本的原因となっているため、数度にわたる廃棄物処理法の改正により、排出事業者責任を徹底し、優良業者が市場で優位に立ち、悪質業者が淘汰される構造への改革を推進しています。
 さらに平成15年の廃棄物処理法改正においても、廃棄物であることの疑いがある物に対する都道府県等の調査権限の拡充、未遂罪の創設など不法投棄等に係る罰則の強化、緊急時の国の調査権限の創設等の措置を講じました。
 また、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を推進するため拠点的な処理施設の立地について、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(平成13年法律第65号。以下「PCB特別措置法」という。)に定める「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」を策定するとともに、北九州市、愛知県豊田市、東京都、北海道及び大阪市において拠点的な処理施設の整備事業の具体化を進めています。
 全国の産業廃棄物の不法投棄の状況については、平成14年度の投棄件数は934件と5年ぶりに1,000件を割った一方、投棄量は約32万tと13年度を上回り、なお一層の取組が必要な状況にあります(図4-4-1)。



 平成15年8月に公表した「『環境立国』実現のための廃棄物・リサイクル対策」では、5年間で大規模事案(5,000tを超えるもの)を撲滅することを当面の目標として、産業廃棄物の不法投棄対策を進めています。
 不法投棄の早期発見・拡大防止のためには、監視体制の強化を図ることが重要であることから、都道府県等の監視体制強化等に対する経費を助成するとともに、IT機器等を活用した新たな監視手法の運用・開発を進めています。また、平成15年の廃棄物処理法の改正に伴い、全国9か所の地方環境対策調査官事務所の立入検査等の体制を強化しました。さらに、現場調査等に精通した専門家チームを、自治体が行う立入検査等の現場に派遣し、自治体職員のスキルアップを図る不法投棄事案対応支援事業も開始しました。一方、軽油の密造に伴い排出される硫酸ピッチの不適正処分については、関係機関との連携、情報の共有化を図りました。
 不法投棄等された産業廃棄物に起因する生活環境保全上の支障の除去等については、廃棄物処理法に基づき、産業界の自主的な拠出や国の補助金により造成した基金(産業廃棄物適正処理推進センターの基金)から、支障の除去等を行う都道府県等に対して財政支援を行っています。

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