前のページ 次のページ

第3節 

3 水環境の安全性の確保

(1)水道水源の水質保全対策
 「水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律」(平成6年法律第8号)に基づき、平成15年末までに6県11か所から該当県に対して水道原水水質保全事業の実施の促進の要請がなされ、これらを受けて、9か所に都道府県計画が、1か所に河川管理者事業計画が策定され、2か所について都道府県計画の策定が進められました。

(2)地下水汚染対策
 地下水汚染の未然防止対策については、水質汚濁防止法に基づき、トリクロロエチレン等有害物質を含む水の地下への浸透の禁止、都道府県知事による地下水の水質の常時監視等の措置がとられています。また、汚染された地下水の浄化のためには、水質汚濁防止法により、都道府県知事が汚染原因者に対し汚染された地下水の浄化を命令することができることとなっています(図3-3-1)。また、簡易で経済的な地下水浄化技術の開発・普及を図ることにより、事業者の自主的な取組を推進しました。



 環境基準項目のうち環境基準超過率が最も高い硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素による地下水汚染については、発生源が多様であることから、水質汚濁防止法に基づく一律の規制に加え、「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素に係る水質汚染対策マニュアル」等により、地域の実情に応じた取組を推進しました。

(3)有害物質による汚染底質除去対策
 ダイオキシン類による底質汚染については、底質環境基準を超えた水域において、底質の除去等の対策又はその検討を行いました。水銀による底質汚染については、暫定除去基準を超え除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で42水域ありましたが、平成2年7月末現在で対策を終了しています。なお、このほかに自然的な要因と思われる底質の汚染が1水域で確認されています。PCBによる底質汚染については、除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で79水域ありましたが、このうち78水域は平成15年3月末現在で対策を終了しており、佐世保港(佐世保市)において底質の除去等の対策のための検討が進められています。

(4)漁業公害等調査
 水銀、ダイオキシン類等有害物質の魚介類中での蓄積状況把握、蓄積機構解明、試験方法検討などの調査のほか、二枚貝等が体内に蓄積する貝毒のモニタリング手法の検討、内湾域における発電所の取放水による漁業の影響についての検討等を行いました。

(5)農薬汚染対策
 農薬については、水質汚濁の未然防止を図る観点から、「農薬取締法」(昭和23年法律第82号)に基づき水質汚濁に係る登録保留基準を定めており、平成15年度においては、2農薬(累計135農薬)の基準値を設定しました。さらに、農薬による野生生物や生態系への悪影響の未然防止に係る取組を強化するため、15年3月に改正した水産動植物に対する毒性に係る農薬登録保留基準について、17年4月の円滑な施行に向け、試験法等について調査及び検討を行いました。

前のページ 次のページ