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第1節 

8 騒音・振動

 騒音に係る環境基準(平成10年環境庁告示)は、地域の類型及び時間の区分ごとに設定されており、類型指定は、平成14年度末現在、47都道府県の661市、1,030町、113村、23特別区において行われています。また環境基準達成状況の評価は、「個別の住居等が影響を受ける騒音レベルによることを基本」とされ、一般地域(地点)と道路に面する地域(住居等)別に行うこととされています。
 また、航空機・鉄道の騒音・振動については、その特性に応じて、別途環境基準又は指針が設定されています。航空機騒音・新幹線鉄道騒音に係る環境基準については、地域の類型ごとに設定されており、平成15年度末現在で、航空機騒音については33都道府県、63飛行場周辺において、新幹線鉄道騒音については25都府県において類型の指定が行われています。また、新幹線鉄道振動については、「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策について」(昭和51年3月)において、振動対策指針値を70デシベルとしています。

(1)問題の概要
 騒音・振動の苦情件数は、公害に関する苦情件数のうちの多くを占めています。騒音苦情の件数はここ数年徐々に増加しており、平成14年度は15,461件でした(図2-1-15)。発生源別にみると、苦情の総数の4割近くを占める工場・事業場騒音に係る苦情の割合が減少しているのに対して、建設作業騒音に係る苦情が増加しています。また、近年では、低周波音も大きな問題となっています。



 また、振動の苦情件数も、騒音同様徐々に増加する傾向にあり、平成14年度は2,614件でした。発生源別にみると、建設作業振動に対する苦情件数が最も多く、工場・事業場振動に係るものがそれに次いでおり、苦情原因として依然大きな割合を占めています。

(2)騒音・振動の状況
 平成14年度の一般地域における騒音の環境基準の達成状況は、地域の騒音状況を代表する地点で74.1%、騒音に係る問題を生じやすい地点等で72.5%となっています。
 平成14年度の道路に面する地域における騒音の環境基準の達成状況は、自動車騒音の常時監視結果によると、全国1,934千戸の住居等を対象に行った評価では、昼夜とも環境基準を達成したのは1,549千戸(80.1%)でした(図2-1-16)。このうち、幹線交通を担う道路に近接する空間にある781千戸のうち環境基準を達成した住居等は537千戸(68.7%)でした。



 航空機騒音問題については、民間空港2港及び防衛施設5飛行場において、夜間の発着禁止、損害賠償等を求める訴訟が提起されています。航空機騒音に係る環境基準の達成状況は、全般的に改善の傾向にあるものの、ここ数年は横ばいとなっており、平成13年度においては測定地点の約74%の地点で達成しました(図2-1-17)。



 新幹線鉄道騒音については、平成14年度までに、東海道・山陽新幹線及び東北・上越新幹線沿線については、主に住居地域を中心におおむね75デシベル以下が達成されましたが、一部の地域で75デシベルを達成していない地域が残されています。
 また、平成9年度開業した北陸新幹線高崎・長野間については、測定地点の46%の地点、14年度延伸開業した東北新幹線盛岡・八戸間については、測定地点の78%の地点で環境基準が達成されました。新幹線鉄道振動については、振動対策指針値はおおむね達成されています。

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