1 国際標準を巡る動き
国際標準とは、経済のグローバル化に対応し、製品の構造、性能等の規格を国際的に整合させるものです。国際標準には、国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)などの国際標準化機関にて、各国関係者が合意したデジュール標準と、市場で事実上認められたデファクト標準があります。
国際標準となった技術は、その市場拡大が期待されるだけでなく、さらに高度な後続製品の開発にも優位に立つことができます。欧州では、多くの企業が国際標準化活動を重視し、自らの規格をデジュール標準化することにより、競争上優位に立とうとする戦略を取っています。日本の企業においても、自社の規格を市場競争でデファクト標準にしようとするだけでなく、国際的に合意されたデジュール標準の中に盛り込むことが重要となってきました。
この理由としては、1995年に発効したWTO/TBT協定に基づき、ISO、IEC等の国際規格を各国の任意規格の基礎として用いることが加盟国に義務づけられたことが挙げられます。
環境マネジメントの分野では、ISO14001を中心とした標準化の体系が構築され、その認証と相まって組織の意識を高め、環境配慮活動に取り組む姿勢を強める効果をもたらしています(第1章第2節参照)。
欧州は、歴史的に国際標準化活動の主導的役割を果たしてきました。近年では、特に欧州統合の流れの中で域内規格の統合を進め、これを国際規格化する動きが顕著となっています。米国では、自国の市場規模が大きく、かつ「市場メカニズム」尊重の考えから、従来はデファクト標準を重視する傾向がありました。しかし、近年はISO/IECにおける活動を積極的に進めています。