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第2節 

1 子どもから高齢者まであらゆる世代での環境教育の重要性

 小学校低学年において、自然への感性や環境を大切に思う心を、恵み豊かな自然の中で培っていくことは健やかな心身の発達のために重要と考えられます。小学校高学年、中学校では、環境にかかわる事象を具体的に認識し、因果関係や相互関係の把握力、問題解決能力を育成させることが望まれます。高等学校では、環境問題が総合的な問題であることを理解し、さまざまな自然や社会の出来事の中から環境の状況の変化を捉え、人間の行動が環境に与える影響を予測し、その結果を適正に判断するなどの能力の育成が求められています。また、環境保全のためのライフスタイルを実践したり、社会的活動においても環境に配慮した活動を実践する能力と考え方を身に付けていくことも求められています。大学においては、環境問題を専攻する学生が増加しており(図3-2-1)、将来の環境ビジネスや環境施策を担う人材として期待されています。また、学校教育だけでなく、子どもに対する環境教育を家庭、地域社会が自らの問題として認識していく必要があります。



 調査によると「次の世代を担う子どもが環境保全について理解を深めるための教育が必要だ」と回答した割合は、平成14年度調査で92.2%と高く、次代を担う子どもに対する環境教育の必要性が国民に高く認識されています。
 しかし、環境教育が必要なのは、子どもだけではありません。成人に対しても、最近活発化している企業による環境教育や消費者教育等の生涯学習の場を通じて、環境配慮型のライフスタイルの形成が求められています。
 さらに、高齢者層に対しては、その経験や生活の知恵に裏付けられたライフスタイル、すなわち物を大切にするという伝統的なライフスタイルを若い世代に伝える指導者としての役割が期待できます。このため、高齢者層が若い世代に経験や生活の知恵を伝えられるような場を設定することも重要です。

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