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第4節 

1 各地域での取組

 自然の保全、ごみ問題、地球環境問題など、身近な地域からの取組が各地で行われています。

(1)風力発電を使ったまちづくり(高知県梼原町)
 梼原町は、高知県中西部の四万十川の源流域である四国カルスト高原に位置する山間の町です。平成8年度からの風況調査により、風力発電所の建設に最良の条件にあることが実証され、風力発電を中心とした環境保全の取組(「風をおこし、町をおこす」)が進められています。 
 建設に当たっては、住民との意見交換会を実施し、風力発電によるCO2削減に貢献するだけでなく、売電収益を環境基金とし、住宅用太陽光発電の設置や間伐による健全な森林づくりへの活用など、さらに環境を良くしていこうという取組が行われています。
 また、住民の環境に対する意識が高く、「環境整備デイ」などを立ち上げ、次代を担う人材を育成するとともに、千枚田オーナー制度などコミュニティに根ざした環境保全の取組も行われています。
(梼原町のホームページ http://www.town.yusuhara.kochi.jp/




(2)コウノトリと共生するまちづくり(兵庫県豊岡市)
 豊岡市は、兵庫県の北東部の豊岡盆地に位置します。日本産の野生のコウノトリの最後の生息地だった豊岡市では、都市像として「コウノトリ悠然と舞い 笑顔あふれる ふるさと・豊岡」を掲げ、まちづくりを行っています。
 具体的には、「コウノトリと共生するまちづくり」を目指し、「15の元気メニュー」を市民・事業者・行政等の協働により展開し、農家による「田んぼビオトープ」づくりや「無農薬によるアイガモ農法」、市民による「コウノトリ感謝祭」などを、全市一体となって取り組んでいます。また、平成12年4月には、「豊岡市コウノトリ基金」が設立され、田んぼをコウノトリの生息地にするためなどに活用されています。14年には、こうした取組が功を奏してか、大陸から1羽のコウノトリが飛来し、住みつきました。
(豊岡市のホームページ http://www.city.toyooka.hyogo.jp/




(3)ごみ減量を通じたまちづくり(東京都日野市)
 日野市は、東京都のほぼ中央に位置し、市の北部には多摩川が、中央部には浅川が流れ、南部はゆるやかな丘陵地となっています。
 日野市では、平成6年の直接請求による環境基本条例の提案、平成10年の公募市民などによる環境基本計画の策定をはじめとして、市民と行政がパートナーシップを組んで身近な環境問題に取り組んでいます。平成12年には、市民と共に「ゴミゼロのまちづくり」を目指して、約3万人の市民に「ごみ改革」の必要性を説明し、分別ごみの戸別収集、ダストボックスの全面撤去を行いました。これらの活動の結果、「ごみ改革」の1年後にはごみの約50%減量を達成し、さらに最終処分場の延命化にも貢献するなど効果を上げています。
(日野市のホームページ http://www.city.hino.tokyo.jp/info/




(4)川の流域で連携した取組(宮川流域ルネッサンス協議会(三重県))
 三重県のほぼ中央を東西に流れる宮川(延長:90.7km)の流域14市町村(伊勢市、多気町、明和町、大台町、勢和村、宮川村、玉城町、二見町、小俣町、大宮町、紀勢町、御薗村、大内山村、度会町)、県、国関係機関が、宮川流域(流域面積:920km2)の自然・歴史・文化の保全や再生を推進するため、平成12年度に「宮川流域ルネッサンス協議会」を設立し、広域での連携した活動を行っています。
 活動内容としては、住民自らが「流域案内人」として地域の魅力を来訪者に伝え、交流を通じて地域の魅力を再発見、探求、創造し、環境意識を高めています。来訪者も流域の豊かな環境を体感することができます。また、水質等水環境調査や住民啓発パンフレットの作成、流域情報誌の発行、子どもへの啓発事業の実施を住民と協働で行う等、流域レベルでのネットワークづくりも展開されています。
 こうした事業の推進により、この地域での行事(宮川流域エコミュージアム)への平成14年度の来訪者数は、約2,000人となっています。
(宮川流域ルネッサンス協議会のホームページ http://www.miyarune.jp/




コラム Tokyo Half Project 東京からのCO2排出の半減を求めて−
 Tokyo Half Project は、現在の経済活動レベルを維持しつつ、東京都で発生する温室効果ガス(主に二酸化炭素)を半減することを目標に、いかなる技術群の導入が望ましいかを統合的に評価する研究です。東京大学が中心となって、海外の大学を含めた共同の学際的研究プログラムとして実施されています。 
 この研究は、学際的な温室効果ガス削減対策の国際共同研究として、個別の評価モデルを連結して全体モデルを構築するものです。都市の温室効果ガスの削減には複合的な対策を行っていく必要があり、こうした学際的研究が注目されています。(Tokyo Half Projectのホームページ http://www.thp.t.u-tokyo.ac.jp/

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