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第2節 

1 環境マネジメントシステム

 事業者が自主的に環境保全に関する取組を進めるに当たり、環境に関する方針や目標等を自ら設定し、これらの達成に向けて取り組んでいくことを「環境管理」又は「環境マネジメント」と呼びます。また、このための工場や事業所内の体制・手続等を「環境マネジメントシステム」と呼びます。
 環境マネジメントシステムの代表的な国際規格が、国際標準化機構(以下「ISO」という。)が定めたISO14001です。ISO14001は、計画、実施、点検、見直しを継続的に実施することにより環境配慮の取組の改善を図っていくものです。
 日本では、ISO14001の審査登録件数は一貫して伸びており、平成16年2月末現在、14,309件の審査登録が行われています(図1-2-1)。ISO14001認証取得は、経営者に環境保全の取組について考える機会を提供するものであり、組織全体の意識改革を進める契機となります。「平成14年度環境にやさしい企業行動調査」(環境省。以下「企業行動調査」という。)によると、ISO14001の認証取得の効果として、「コスト削減」や「対外的な信用向上」を挙げる事業者もあり、環境面だけに止まらず企業経営上有益に働く場合もあります。さらに、原料や部品の調達先にISO14001の認証取得を求める事業者も現れています。



 しかし、ISO14001の認証取得には、人材面、費用面からの負担が大きいため、中小企業にとって必ずしも取り組みやすいことではありません。そこで環境省は、中小企業も含めたあらゆる事業者の自主的な環境への取組を促進するため、中小企業向けの環境配慮のプログラムであるエコアクション21を平成8年に策定しました。平成15年度には、参加登録事業者数が1,000事業者を超え、大手企業が取引先等に導入を求めるなど、多くの成果を上げています。さらに、平成16年度には、エコアクション21を改訂し、従来の参加登録制度に代えて、対外的な評価を得ることができる認証登録制度を導入します。これにより中小企業における環境配慮の取組が一層促進されることが期待されます。
 また、地方公共団体・各種事業者団体等においても、簡易な環境マネジメントシステムへの取組や環境への取組状況を認証する諸制度を整備するなど、中小企業向けの仕組みが運用されています(表1-2-1)。


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