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第1節 

3 ものづくりでの「環境のわざ」の例

 私たちが普段使用する製品にも、使用している際の環境負荷を下げるだけではなく、製造段階から廃棄に至るまでの製品のライフサイクル全般で環境配慮が行われているものがあります。
 例えば、ある自動車メーカーでは、車体の溶接時に出る火花の削減(「スパッタレス化」)を徹底するため、対策プロジェクトを設置し、工場全体で努力しました。その結果、生産効率が向上するとともに、省エネや廃棄物(鉄の飛散くず)が大幅に削減されました。また、EUのRoHS指令などの規制が強まっていることから、はんだづけの際に鉛を含まないはんだを採用する動きが広がっています。
 製品を廃棄する段階でも、なるべく廃棄する量を少なく、かつ、再利用を容易にするための取組が行われています。例えば、あるパソコンメーカーでは、解体のしやすさを配慮して、10年前に比べて、ネジの数を約10分の1に減らしました。これにより解体時間が短くなるとともに、部品のコストも相対的に下げることができたといわれています。
 また、ある製鉄会社は、鉄鉱石を銑鉄に還元する過程で必要な原料炭の一部に代えて、使用済みプラスチックを高炉に吹き込むことで原料炭の使用を減らしています。これと並行して、使用済みプラスチックを原料として再資源化した建築資材を製造・販売するとともに、その使用後の資材を再回収し、最終的に高炉原料として利用することによって、資源を有効に活用しています。
 自動車やパソコンなどを買う時、このような情報があると、より環境によい事業者を支援する消費行動をとることができます。地域のリサイクルを考える時も、このような情報が役立ちます。第2節で述べる「環境マネジメントシステム」は事業者の排出削減に役立ち、「環境報告書」はこれらの努力を生活者に伝える上で役立ちます。

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