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第3節 環境の世紀を生きる

 豊かさを維持しながら、発生する環境への負荷を減少させる(環境効率性を高める)とともに天然資源の消費を削減する(資源生産性を高める)ことが、持続可能な社会を実現させることにつながります。
 日本の環境効率性は、排煙脱硝装置、脱硫装置の設置台数及び処理能力の増加によりNO2、SO2では向上しました。エネルギー、二酸化炭素では、近年、オフィス面積の増加などによって、個別の機器のエネルギー効率の上昇による改善が相殺されています(図序-3-1図序-3-2)。一方、資源生産性は高まりつつあり、天然資源の消費が抑制され環境への負荷が低減される社会は、徐々に近づいていることがわかります(図序-3-3)。
 環境からより多くのものを得ようとして環境に大きな負荷を与えてきた20世紀は、終わりました。21世紀は、環境の持つ価値を重視し、環境と共に生きる「環境の世紀」にしていかなければなりません。環境負荷を減らし、世代を通じて生活の質を高めながら将来世代と環境の恩恵を分かち合うという意識革命や、これが生み出す技術革新等によって、くらしや社会経済活動にさらに大きな発展が生まれます。こうした発展を「産業革命」や「IT革命」に続く「環境革命」と呼ぶことができます。私たち一人ひとりが行動することで、環境の世紀に新たな可能性が開けます。







コラム 環境効率性と資源生産性
 環境効率性とは、財やサービスの生産に伴って発生する環境への負荷に関わる概念です。同じ機能・役割を果たす財やサービスの生産を比べた場合に、それに伴って発生する環境への負荷が小さければそれだけ環境効率性が高いということになります。図序-3-1は、国内総生産をNO2、SO2等の環境負荷で割ることによって算出しています。
 資源生産性とは、豊かさを増大させながら資源消費の削減を目指す指標です。GDP(国内総生産)を天然資源等投入量(国内・輸入天然資源及び輸入製品の総量)で割ることによって算出しています。

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