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第1節 

1 増えるエネルギー消費と地球温暖化

 これまで私たちが求めてきた便利で快適なくらしは、エネルギー消費を増やしてきました。「自動車輸送統計年報」(国土交通省)によると、平成14年度の自家用乗用車の走行量は約6,344億kmで、平成2年度から20.2%増加しています(図序-1-1)。また、車両の大型化(重量化)などを原因として、走行キロをエネルギー消費量で除した実走行燃費も、平成2年度の9.46km/lから平成13年度の8.38km/lへと悪化しています(図序-1-2図序-1-3)。







 自動車走行距離の増加と実走行燃費の悪化により、燃料の燃焼に伴うエネルギー消費量が増加しています。輸送機関別のエネルギー消費量の推移をみると、自家用乗用車のエネルギー消費が大きな割合を占めるとともに(平成12年度において全体の43.2%)、消費量が著しく伸びています(図序-1-4)。エネルギー消費は、燃料の燃焼による二酸化炭素や大気汚染物質の排出という環境負荷を生じさせています。



 家電製品についても、さまざまな製品の普及率が増加しています。29インチ型以上のカラーテレビの普及率は、平成4年3月時の30.5%から平成15年3月時の53.1%へと増加しました。また、パソコンの普及率は同期間に12.2%から63.3%へ、温水洗浄便座の普及率は同期間に14.2%から51.7%へと、急速に増加しました(図序-1-5)。



 家電製品の普及率の増加は、世帯数の増加と相まって、家庭からのエネルギー消費量の増加をもたらしています。家庭の需要電力量は、平成2年度の1,410.8億kWhから平成13年度の1,930.7億kWhへと大幅に増加しました(図序-1-6)。家庭からのエネルギー消費は、発電時の化石燃料の燃焼により二酸化炭素を排出させています。
 日本の2002年度(平成14年度)の二酸化炭素排出量は12億4,800万トン、1人当たり排出量は9.79トン/人で、1990年度(平成2年度)と比べ、排出量で11.2%、1人当たり排出量で7.8%増加しました。
 部門別にみると、産業部門からの排出量は468百万トンと最大です。一方、1990年度比でみると、産業部門が横ばいからやや減少傾向にあるのに対し、運輸部門、家庭部門、業務その他部門(卸小売、事務所・ビル等)からの排出量が大きく増加しました(図序-1-7)。個々の機器の効率向上の一方で、エネルギー需要は年々増加しています(図序-1-4図序-1-8)。







 エネルギー消費による二酸化炭素排出の増加は、地球温暖化の一つの要因になっています。平成13年にまとめられた気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3次評価報告書によると、20世紀中、地球の平均地上気温(陸域における地表付近の気温と海面水温の平均)は0.6℃±0.2℃上昇したものと評価されています。さらに、平均地上気温は1990年から2100年の間に1.4〜5.8℃上昇すると予測されています(図序-1-9)。


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