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第6節 

4 海洋汚染の防止

 廃棄物の海洋投棄による環境汚染防止に関しては、1996年(平成8年)にロンドン条約の規制を強化するロンドン条約議定書が採択され、これに対応するための体制整備等を推進します。
 船舶による環境汚染防止に関しては、船舶からの油流出防止のための研究開発及び船舶からの排気ガス浄化のための研究開発を推進するとともに、MARPOL73/78条約について船舶からの汚水による汚染防止のための規則(附属書IV)が平成15年9月27日に発効することが確定したことを受け、これに的確に対応するため体制整備を行います。また、平成9年に、IMO(国際海事機関)において、MARPOL73/78条約に船舶からの大気汚染の防止に関する規則(附属書VI)を追加するための1997年(平成9年)の議定書が採択されたことを受け、これに的確に対応するための体制整備等を推進します。
 このほか、外航船舶からの温室効果ガス(GHG)削減に関しては、2003年11月開催のIMO総会においてGHG排出削減に向けた戦略を示す決議を採択すること等が予定されており、わが国も積極的に取り組んでいきます。
 また、船舶のバラスト水中に混入するプランクトン等の各種生物が、本来の生息地でない場所に移動させられることによって生態系に有害な影響を与え、環境や人の健康に被害をもたらすとされています。これに対し世界的に統一した規制の必要性からIMO(国際海事機関)においてバラスト水を規制する新たな条約に関する審議が行われており、今後さらなる審議を経て条約を採択することになっています。わが国としても審議に参加し提案を行っており、今後とも積極的な対応を行います。
 昨今の老朽タンカー等による油流出事故の主な原因となっている安全・環境に関する国際基準を満たさないサブスタンダード船の排除を目指して2002年(平成14年)1月に「交通に関する大臣会合」において具体的な行動計画が先進20か国間で採択されたことを受け、これを着実に実施するため、IMO(国際海事機関)における旗国*の条約実施状況に対する監査制度の創設等の施策について国際的な協調・連携の下で引き続き積極的に取り組みます。
 国連海洋法条約に関しては、わが国近海の開発利用状況等を踏まえ、関係省庁が連携して、海洋環境の総合的な調査の実施等の調査研究、東アジア地域の沿岸国間によって共有される海洋環境に関する情報交換の円滑化等の国際協力の推進等に努めます。
 OPRC条約に関しては、同条約及び国家的な緊急時計画に基づき、環境保全の観点から油汚染に的確に対応するため、油汚染事故により環境上著しい影響を受けやすい海岸等に関する情報を盛り込んだ図面(脆弱沿岸海域図)作成のための情報収集等を行うとともに油汚染事故への準備・対応に関する国際的な連携の強化、技術協力の推進等の国際協力に関する業務を推進します。世界気象機関(WMO)の主導で進められている、海洋汚染事故緊急対応支援システム(MPERSS)の枠組みの中で、北西太平洋の各国事故処理機関に対し、漂流予測の情報や海洋気象情報を提供する地域気象センター(AMC)としての役割を引き続き果たしていきます。
 このほか、NOWPAPの地域調整ユニット(RCU)がわが国(富山)と韓国(プサン)に共同設置されることが原則合意されたことから、RCUへの積極的な支援をはじめとして、NOWPAPの推進を図ります。
 GPAに関しては、NOWPAPの枠組みと関連させた地域レベルの取組を推進します。
 さらに、2001年(平成13年)10月に採択されたAFS条約について、平成15年通常国会における本条約締結についての承認の上、世界に先駆けて締結するとともにこれに対応するための国内体制の整備を図ります。

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