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第6節 

2 原生的な自然及びすぐれた自然の保全

(1)原生的な自然の保全
 ア 原生自然環境保全地域の保全
 人の手が加わっておらず、原生の状態が保たれている原生自然環境保全地域の自然環境の適正な保護・管理を図るため、引き続き現況把握調査を行います。

 イ 世界遺産地域の保全
 世界遺産一覧表に記載された自然遺産の屋久島、白神山地について、入山者の増加に対応した保全対策を講じるほか、引き続き適切な保護・管理を図ります。

 ウ 自然公園の特別保護地区の保全
 自然公園の中でも特にすぐれた景観を有する特別保護地区において、適正な保護管理を図ります。

 エ 森林生態系保護地域の保全
 主要な森林帯を代表する原生的な天然林等を保存するため国有林野内に設定した森林生態系保護地域について、適正な保護・管理を図ります。

(2)すぐれた自然の保全
 ア 自然環境保全地域の保全
 自然環境の適正な保全を図るため、自然環境保全基本方針に則り、自然環境保全地域の指定を進めます。また、すぐれた自然環境の維持に資するため、引き続き自然環境に係る現況把握及びモニタリングのための調査を実施します。

 イ 自然公園の指定、公園区域及び公園計画の見直し等
 (ア)公園の指定、公園区域及び公園計画の見直し
 国立公園を取り巻く社会条件等の変化に対応するため、自然保護の強化を基調として、公園区域及び公園計画の全般的な見直し(再検討)を行い、再検討を終了した公園については、おおむね5年ごとに公園区域及び公園計画の見直し(点検)を行い、必要に応じて利用調整地区の指定を進めます。
 また、国定公園については、都道府県から申出のある地域について検討を行い、再検討等の作業を進めます。
 (イ)立入り規制地域、乗入れ規制地域の指定
 国立・国定公園において、立入りを規制する地域、車馬もしくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させることを規制する区域を必要に応じ追加指定します。

 ウ 自然公園における自然保護
 (ア)自然公園の管理の充実
 国立公園のそれぞれの地域の特性に応じた風致景観を維持するための管理計画の策定を推進し、自然公園法に基づく許可、認可等の適正な運用を図ります。
 また、余暇の増大、交通手段の発達、探勝方法の変化、自然保護の強化の要請等の社会条件の変化に対応した国立公園のきめ細かな管理を進めることとし、NPO等と連携した地域密着型の公園管理を実現するための公園管理団体の指定を進めます。
 さらに、管理体制の強化を引き続き進めるとともに、(財)自然公園財団等の民間団体の育成に努めます。
 (イ)自然公園における環境保全対策
 a 地球環境等への配慮
 自然公園等において、太陽光パネルなど自然エネルギーを利用した地球環境にやさしい施設の整備を推進します。
 b 自然環境の復元
 荒廃した登山道や周辺の植生の復元のための施設や、シカ等の野生生物の食害等から植生を保護するための施設の整備を実施します。また、釧路湿原及びサロベツ原野等において、自然再生の取組を引き続き推進します。
 c 美化清掃活動
 1) 国立公園の集団施設地区等については、関係道県及び市町村の協力の下に清掃活動を実施します。
 2) 自然公園クリーンデーにおける各種行事の実施等、美化思想の普及に努めます。
 d 国立公園等民間活用特定自然環境保全活動(グリーンワーカー)事業
 平成14年度に引き続き登山道の補修や清掃作業、サンゴ礁保護のためのオニヒトデの駆除等を行います。また、野生鳥獣・植物との共生事業、自然景観保全・形成事業などその他の事業も順次取り組んでいきます。
 e 山岳環境浄化・安全対策緊急事業費補助
 国立公園等の山岳地域における環境浄化及び安全対策を図るため、山小屋事業者がし尿・排水処理施設等の整備を行う場合に、その経費の一部を補助し、対策実施を推進します。
 (ウ)自然保護のための民有地買上げの推進
 すぐれた自然環境を保全していくため、引き続き民有地買い上げの推進を図ります。

 エ 生息地等保護区
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法 平成4年法律第75号)に基づき国内希少野生動植物種の生息・生育地として重要な地域である生息地等保護区の指定を進め、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ります。

 オ 鳥獣保護区
 野生鳥獣の保護を図る地域として鳥獣保護区を設定し、さらに必要に応じて特別保護地区を指定します。また、新たな国設鳥獣保護区の設定及び特別保護地区の指定を進め、都道府県においても、鳥獣保護事業計画に基づき都道府県設鳥獣保護区の設定等を引き続き行うよう助言します。

 カ 史跡、名勝、天然記念物
 動植物種及び生態系を中心としたわが国を代表する自然を保全するため、文化財(史跡、名勝、天然記念物)の指定、現状変更等の許可及び史跡等の公有化等、その保護に係る各種制度を活用します。

 キ 保安林等
 保安林については、すぐれた自然環境の保全を含む公益的観点から、計画的な指定、多様な森林づくりのための適正な維持管理等を推進します。国有林野においては、引き続き貴重な野生動植物の生息地又は生息地の保護、その他の自然環境の保全に配慮した管理を行う必要がある国有林の区域を保護林に設定します。また、入林の影響等により植生の劣化がみられる保護林については、植生の回復のための事業を行う等、その適切な保護管理を行います。

 ク 都市の緑地保全
 都市における緑地を保全するため、都市緑地保全法(昭和48年法律第72号)に基づき緑地保全地区の指定を推進するとともに、地方公共団体及び緑地管理機構による土地の買い入れ等を推進します。
 また、首都圏近郊緑地保全法(昭和41年法律第101号)及び近畿圏の保全区域の整備に関する法律(昭和42年法律第103号)に基づき指定された近郊緑地保全区域内において、特に枢要な部分を構成している緑地は、近郊緑地特別保全地区の指定を推進するとともに、地方公共団体及び緑地管理機構による土地の買い入れ等を推進します。
 さらに、風致に富むまちづくり推進の観点から風致地区指定の推進を図ります。

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