2 循環資源の適正な循環的な利用の推進
(1)回収・再使用・再生利用の推進
環境への負荷の低減のため、廃棄物等の発生抑制、再使用、再生利用等を促進することが必要です。
このため、リサイクルが容易な製品づくりを事業者が行うことを促進するとともに、市町村における分別収集の推進や商品の流通経路等を利用した回収システムの充実、例えば古紙の回収システムの健全な維持を図ります。
また、事業者が、再生資源の利用率目標の達成及び再生資源の新規用途の開発などの個別品目の状況に応じた再生利用能力の向上を図ることを促進するとともに、再生資源やリサイクル製品は、初めて使用される資源やこれによる製品に比べて割高になりがちであることも踏まえつつ、国、地方公共団体、事業者、国民すべての主体がリサイクル製品を積極的に利用することなどにより、リサイクル製品の利用・市場の育成等を推進します。
資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)に基づき、製品対策として、製品の省資源化・長寿命化を図る設計・製造や修理体制の充実等による廃棄物等の発生抑制(リデュース)対策、部品等の再使用が容易な製品設計・製造や回収した製品からの部品等の再使用(リユース)対策、事業者による使用済製品の自主回収・リサイクル対策と、副産物対策として、工場等で発生する副産物(スラグ、スラッジ等)について、生産工程の合理化等による副産物の発生抑制対策と発生した副産物の利用促進によるリサイクル対策に事業者自らが計画的に取り組むことを引き続き推進します。
家庭系パソコンのリサイクルについては、平成15年秋を目途に具体的な制度を立ち上げるべく、リサイクルシステムの具体化等を推進するとともに、資源有効利用促進法の関係省令の改正、廃棄物処理法に基づき、製造事業者からの適正な申請に対する環境大臣の広域指定、国民に対する周知等円滑な制度運用のための諸施策を行ってまいります。
また、民間事業者の有する効率的な3R(リデュース、リユース、リサイクル)技術の実用化の促進を図るため、民間企業から公募により選定されたすぐれた循環システムの実用化に向けた技術開発に対して補助をしていきます。また、このほかにも資源循環型住宅技術開発の推進、建築廃材等リサイクル技術開発などの事業を推進していきます。
さらに、異業種間の交流・協力等を進めつつリサイクル技術の開発・普及を促進し、リサイクル推進のための啓発や国民運動を進め、リサイクルの実施状況、効果等に係る情報の整備・提供を推進します。
また、関係各府省で連携しつつ、関係行政機関の廃棄物の処理に関する情報収集・提供の業務と連携した廃棄物の処理に関する横断的な情報収集システムの構築に向けた準備を進めます。
品目別及び業種別廃棄物処理・リサイクルガイドラインのフォローアップ、対象の改定についての検討のほか、「産業廃棄物排出事業者適正処理ガイドライン」、鉱工業等に係る産業廃棄物の減量化・リサイクルに関する数値目標、「使用済み自動車リサイクルイニシアティブ」、「古紙リサイクル促進のための行動計画」などに係る取組の実施、関係者への周知徹底、フォローアップなどを引き続き推進します。
また、自動車のリサイクルの促進、不法投棄又は野積みされている使用済自動車の適正な処理等について、関係自治体等と協力しつつ、その推進に向けて必要な検討を実施していきます。
(2)容器包装に係る分別収集、再商品化等の推進
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)は平成12年4月に完全施行された後、平成14年度における分別収集量及び市町村数は着実に増加し、再商品化(リサイクル)も円滑に行われています。今後ともペットボトルを含めたプラスチック製容器包装等の分別収集を一層推進するとともに、再商品化のための技術開発、再商品化義務を履行しない、いわゆるフリーライダー対策を推進するなど、分別収集及び再商品化の一層の促進に取り組みます。
また、引き続き容器包装リサイクル法の実施に伴う市町村における分別収集コストの明確化と事業者における廃棄物発生抑制効果を検証しつつ、社会的な費用便益分析を行い、より効率的な容器包装リサイクルを達成するために必要な施策について検討していきます。
(3)特定家庭用機器廃棄物の収集・再商品化等の推進
特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)は、平成13年4月に施行され、その後、小売業者による収集及び運搬、製造業者等による引取り、再商品化(リサイクル)は円滑に行われています。
今後とも、円滑な法施行のため、国民への理解を促進するための普及啓発、不法投棄防止のための各地域ごとの取組に関する情報提供等を実施していきます。
また、家庭用冷蔵庫の断熱材フロンの回収・破壊等の義務付け等の具体化を図るため、家電リサイクル法関係の政省令の改正等を行います。
(4)建設廃棄物等の再資源化等の推進
平成14年5月30日に建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)が完全施行され、建設工事の実施に当たって分別解体等及び再資源化等が義務付けられたことを受け、引き続き法の適切な運用を図るとともに、パンフレットの作成、事業者等に対する説明会の開催などによる普及啓発等、必要な措置を講じます。
さらに、建設廃棄物のリサイクルを促進するため、分別解体等及び再資源化等の徹底や、再資源化をするための施設の適正な立地誘導等のために必要な新しい制度の整備について検討を進めるとともに、再資源化施設の稼働情報に関する「建設副産物情報交換システム」の運用を進める他、「建設副産物適正処理推進要綱」の周知・徹底等を図っていきます。
特に、公共工事におけるゼロエミッションを達成するため、「建設リサイクル推進計画2002」に則り、建設リサイクルの推進を図るほか、建設廃棄物の中でも再資源化等率の低い建設汚泥の再生利用を促進するため、国土交通省発注工事において、建設汚泥の再資源化施設への搬出及び再生品の積極的な利用の実施に関する検討を行います。また、建設廃棄物の排出量や再資源化等に関する状況について、調査を引き続き実施します。
下水道事業において発生する汚泥(発生汚泥等)については、発生汚泥のコンポスト化、建設資材等による再生利用をより一層推進します。
(5)食品循環資源の再生利用等の促進
「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)が、平成13年5月に施行され、同法に基づく食品関連事業者等の再生利用等の実施を確保するとともに、これらの円滑な取組を確保するため、登録再生利用事業者制度、再生利用事業計画認定制度等を活用した優良なリサイクル業者の育成、計画的なリサイクルの実施を推進します。
また、生産・流通・消費の各段階を通じた食品循環資源の再生利用等の推進を図るため、同法の普及啓発を実施するとともに、民間の技術開発の支援、優れたリサイクルの取組事例等に関する普及啓発、食品産業、耕種農業等の関係者からなる協議会の開催、計画の作成及び実践等による再生利用等の促進等により、食品廃棄物のリサイクルシステムの確立を図ります。
(6)使用済自動車の再資源化等の促進
自動車リサイクル・適正処理を促進するため、使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)の完全施行(平成16年末頃を予定)に向けて政省令の整備、関係者への周知など必要な準備を進めていきます。
(7)バイオマス・ニッポン総合戦略の推進
地球温暖化の防止、循環型社会の形成、競争力のある新たな戦略的産業の育成、農林漁業、農山漁村の活性化の観点から、バイオマスをエネルギーや製品として総合的に最大限利活用し、持続的に発展可能な社会「バイオマス・ニッポン」を早期に実現するため、平成14年12月に閣議決定された「バイオマス・ニッポン総合戦略」に基づき、この戦略に位置付けられた各種の施策を強力に推進します。
具体的には、全般的事項に関する戦略として、バイオマス関連の情報拠点の創設やシンポジウム等の開催を通じた国民的理解の醸成を図るほか、バイオマスの効率的な利活用が可能となる社会システム設計に関する研究開発、地域における取組支援等を行うとともに、関係府省の連携のためのバイオマス・ニッポン総合戦略推進会議の開催、環境NPOの活動支援、モデル地域等における総合的なバイオマス利活用対策等を実施します。
また、1)バイオマスの生産、収集・輸送に関する戦略、2)バイオマスの変換に関する戦略、3)バイオマスの変換後の利用に関する戦略として、それぞれ、1)「広く、薄く」存在するバイオマスを効率的に収集・輸送するシステムの構築の検討・支援、2)飼料、肥料、工業用原料やエネルギー等、様々な形で利用が可能なバイオマスを、高効率でエネルギーへ変換する技術や高付加価値な製品の生産技術の開発・実用化の支援のほか、バイオマスの変換施設の整備等の実施、3)バイオマスの変換後のエネルギーや製品の十分な利用需要を確保するため、バイオマス由来のプラスチックの導入実験、バイオマス発電を含めた地域分散型電源による電力供給の容易化、バイオマス由来の自動車燃料の評価、走行実験等を実施します。
(8)都市再生プロジェクトの推進
平成14年4月の首都圏ゴミゼロ型都市推進協議会及び平成15年3月の京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会の取りまとめを踏まえ、それらの進捗状況について点検を行い、新たな課題について検討を行うなど、フォローアップを行います。
(9)総合的な静脈物流システムの構築に向けた港湾における取組
広域的なリサイクル施設の立地に対応した静脈物流ネットワークの拠点となる総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)について、追加指定を行うとともに静脈物流基盤の整備等、その拠点づくりの支援を行います。また、調査の実施等により国内の静脈物流システムとも連携を図りながら、循環資源の輸出ターミナルの拠点化・大型化・情報ネットワーク化等による効率的な国際静脈物流システムの構築に向けた取組も推進していきます。
(10)ゼロ・エミッション構想の推進
ゴミゼロ型の地域社会づくりに向けて、関係各省が連携して、ゼロ・エミッション構想推進のため「エコタウン事業」を実施しており、技術的に先駆的・先進性を有するリサイクル関連施設整備事業等に対するハード面の支援及び環境関連情報提供事業等に対するソフト面の支援を引き続き実施します。