2 国際的な各主体間のネットワーキングの充実、強化
アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)は、アジア太平洋地域において、特に途上国の地球変動研究の推進を積極的に支援しています。APNでは、平成11年に神戸市内に開設したAPNセンターを中核として、「太平洋島嶼諸国の気候変動交渉及び統合活動に関する能力向上のためのトレーニングワークショップ」や、「アジア地域の巨大都市における温室効果ガス及び大気汚染物質の収支とその排出シナリオに関する国際研究ワークショップ」などに対し支援を行い、地域内諸国の研究者及び政策決定者の能力向上に大きく貢献しました。また、平成15年3月にハノイ(ベトナム)で開催された第8回政府間会合では、平成15年度支援プロジェクトなどを決定するとともに、途上国の地球温暖化に関する科学的能力の強化を図るために、ヨハネスブルグサミットにおけるパートナーシップ・イニシアティブのひとつとして提唱した「持続可能な開発のための科学的能力向上プログラム」を承認しました。
また、地球環境の現状と変動の把握のための「地球地図構想」を提唱し、国際標準化機構(ISO)等と連携を図りつつ、平成10年度からアジア地域の一部で地球地図データ整備を実施しています。ヨハネスブルグサミットにおける「実施計画」にも「地球地図の幅広い利用の推進」及び「地球地図の整備のためのイニシアティブとパートナーシップの推進」が採択されました。
さらに、平成14年8月のヨハネスブルグサミットにおけるパートナーシップ・イニシアティブとして、「アジア太平洋環境イノベーション戦略プロジェクト(APEIS)」を提唱しました。このプロジェクトは、衛星データを活用した統合的環境モニタリング、環境・経済統合モデルによる分析・評価、その成果を活用した革新的な戦略オプションの検討から構成されており、アジア太平洋地域の研究機関と共同で持続可能な開発を目指した政策立案のための支援を推進しました。
このほか、平成14年度にはアジア太平洋気候センターを設置し、同年10月からアジア太平洋地域各国気象機関に対し季節予報のための数値予報資料、異常天候の状況に関する資料、エルニーニョ現象の見通し等の基盤的な気候情報の提供を開始し、同年12月には人材育成協力の一環として東アジア・東南アジアの季節予報業務担当者による「アジア太平洋地域の気候監視・診断・予測に関する気候サービス専門家会議」を開催しました。