1 戦略的な地球環境の調査研究・モニタリングの推進
地球環境保全に関する調査研究については、平成14年7月に地球環境保全に関する関係閣僚会議が策定した「平成14年度地球環境保全調査研究等総合推進計画」を踏まえ、国際的な研究計画に参加・連携しつつ、自然科学はもとより人文社会的な視点を含め、多様な取組を積極的に推進しました。また「地球環境研究総合推進費」制度の一環として、研究者を招聘してわが国の国立試験研究機関等において共同研究を行う「国際交流研究」の枠組み等を活用し、気候変動枠組条約京都議定書の円滑な実施に資することを目的とした調査研究等の充実、強化を図りました。
監視・観測については、UNEPにおける地球環境モニタリングシステム(GEMS)、世界気象機関(WMO)における全球大気監視(GAW)計画、WMO/ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)合同海洋・海上気象専門委員会(JCOMM)の活動、全球気候観測システム(GCOS)及び全球海洋観測システム(GOOS)等の国際的な計画に参加、連携して実施しています。また、全地球規模での観測を衛星観測機関と地上観測機関の協力により実現するため、平成10年に関係国際機関により統合地球観測戦略(IGOS)パートナーシップが発足しており、文部科学省及び宇宙開発事業団が地球観測衛星委員会(CEOS)を通じこれに参加しています。例えば、地上観測としては、環境省及び気象庁により、それぞれ沖縄県波照間島や東京都南鳥島等で温室効果ガスの測定を行っており、衛星ではオゾン層の現象解明や気候変動の実態把握への利用が期待される環境観測技術衛星(みどりII)を平成14年12月に打ち上げ、運用しています。さらに、気象庁ではWMO/GAW計画の一環として、温室効果ガスデータの世界的な収集・管理・提供を行うWMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)業務、アジア・南西太平洋地域における観測データの品質を評価し向上させるWMO品質保証科学センター(QA/SAC)業務及びメタン等の観測方法などについて国際的な統一を図るWMO全球大気監視較正センター(WCC)業務を実施しています。また、世界の地上気候データ(CLIMAT)のリアルタイム収集やその品質などを監視するCLIMATリードセンター(GSNMC)の業務を平成11年1月からドイツ気象局と共同で実施しています。
また、VLBI(超長基線電波干渉法)や、GPS(汎地球測位システム)による国際共同事業に参画し、グローバルな地殻変動等を観測するほか、これと験潮・絶対重力観測等を組み合わせて地球規模の海面変動の監視等を推進しています。
さらに、アジア地域において、残留性有機汚染物質(POPs)の汚染実態把握を目的としたモニタリングの連携を推進しています。