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第1節 

1 地球環境保全に関する国際的な連携の確保

(1)多国間の枠組みによる連携
 ア ヨハネスブルグサミット
 2002年8月26日〜9月4日、ヨハネスブルグ(南アフリカ)で持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)が開催され(首脳級会合は9月2日〜4日)、世界各国の首脳、関係閣僚、国際機関の長の他、NGOやプレスなど多数が参加しました。
 このサミットは、持続可能な開発の分野における国際的取組の行動計画として「アジェンダ21」が採択された1992年の国連環境開発会議(いわゆる「地球サミット」。リオ・デ・ジャネイロにて開催)から10年目を迎え、同計画の実施促進や新たに生じた課題等について議論することを目的に開催されたものです。
 わが国からは小泉総理が出席し、演説、ラウンドテーブルへの参加を通じて、持続可能な開発にとって人づくり、とりわけ教育の重要性を強調、「小泉構想」(環境・開発面での人材育成等の具体的支援策)の実施を通じたわが国の貢献の決意を示しました。
 会議の成果として持続可能な開発を進めるための各国の指針となる包括的文書である「実施計画」、首脳の持続可能な開発に向けた政治的意志を示す「持続可能な開発に関するヨハネスブルグ宣言」が採択されました。また、持続可能な開発のための各国政府、国際機関が自主的に取組む具体的なプロジェクトの集大成である「タイプ2パートナーシップイニシアティブ(約束文書)」が発表されました。日本政府からは、ODAも積極的に活用して、水、森林、エネルギー、教育、科学技術、保健、生物多様性等の分野で30プロジェクトを登録しました。今後はサミットの成果の着実な実施が求められています。

 イ 国連を通じた取組
 (ア)国連環境計画(UNEP)における活動
 国連環境計画(UNEP)*では、1999年(平成11年)以降「緊急事態対応を含む情報・アセスメント」「環境関連条約との連携及び環境政策に関する手法の開発」「淡水」「技術移転と産業」「アフリカ支援」の5分野を重点事項としています。2003年(平成15年)2月には、第22回管理理事会及びグローバル閣僚級環境フォーラムが開催され、国際環境ガバナンスやヨハネスブルグサミットのフォローアップへのUNEPの貢献などについて議論が行われました。
 UNEPに対してわが国は、創設当初から一貫して管理理事国であるとともに、国連環境基金に対し、2001年(平成13年)は約455万ドルを拠出する等多大の貢献を行ってきました。また、UNEP親善大使の加藤登紀子さんは、2002年9月のヨハネスブルグサミットなどで活動と交流を行いました。
 UNEP国際環境技術センター*は、開発途上国等への環境上適正な技術の移転を目的とし、淡水湖沼集水域の環境管理問題を担当する滋賀事務所と、大都市の都市環境管理問題を担当する大阪事務所とから構成され、環境保全技術に関するデータベースの整備、情報提供、研修、コンサルティング等の業務を行っています。
 (イ)国連アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)における活動
 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)*の環境・天然資源開発委員会が2002年(平成14年)11月にタイ・バンコクにおいて開催され、ヨハネスブルグサミットの成果の具体的実施(水、エネルギー、健康、農業、生物多様性の5テーマの対策)について、メンバー国が積極的に参加していくことが確認されました。
 (ウ)国連教育科学文化機関(UNESCO)における活動
 国連教育科学文化機関(UNESCO)のアジア・太平洋地域教育開発計画(APEID)の下で、アジア・太平洋地域諸国の環境教育の専門家をわが国に招致してセミナーを開催する等、UNESCOと協力してアジア・太平洋地域における環境教育の充実・普及を図るとともに、UNESCOの人間と生物圏(MAB:Man and the Biosphere)計画の下で、アジア・太平洋地域における生物圏保存地域(Biosphere Reserve)のネットワークを利用し、生物多様性の保護と持続可能な活用、人材・研究機関の養成のためのセミナーの開催等を目的とする「ユネスコ持続可能な開発のための科学振興事業信託基金」を拠出する等、地球環境科学関係事業を推進しています。

 ウ 経済協力開発機構(OECD)及び国際エネルギー機関(IEA)における活動
 経済協力開発機構(OECD)*環境政策委員会*では、各加盟国政府が環境政策を企画立案する上で重要と思われる問題について検討が行われ、必要に応じて理事会においてOECD*決定あるいは勧告として採択されるほか、調査、研究等の成果がレポートとして公表され広く活用されています。最近では、拡大生産者責任(EPR)ガイダンスマニュアル、環境アウトルック*等が公表され活用されています。
 近年は、環境問題が横断的に取り上げられてきており、環境政策委員会とほかの各委員会との合同の作業として「貿易と環境」「農業と環境」に関する合同作業部会、「税と環境」に関する合同専門家会合等が設置されるなど、分野横断的な検討が増加しています。また、2002年(平成14年)の閣僚理事会では持続可能な開発についてのOECDの役割について議論が行われ、共同声明において、貧困削減と持続可能な開発を優先事項と位置付け、ヨハネスブルグサミットの成功のため、すべての国が積極的な役割を果たすことを奨励する旨宣言しました。また、前回の閣僚理事会の際に取り組むべきこととされた、経済、社会及び環境の持続可能な開発の3側面のすべてにわたる進捗状況の監視に引き続き取り組み、「OECD21世紀最初の10年の環境戦略*」への支持が再確認されました。
 2002年(平成14年)5月には、同年1月に行われたわが国の環境政策の取組状況に関するOECD環境政策委員会・環境保全成果作業部会による審査の報告書が公表されました。この中では、1990年代におけるわが国の政策の進展を大いに評価した上で、経済的手法や費用効果分析が不十分である等の横断的事項に加え、大気、水、廃棄物、自然、化学物質対策、温暖化対策等の個別分野について60項目の勧告がなされました。
 また、OECDは、ヨハネスブルグサミットへの報告書を作成するとともに、デカップリング*指標の開発、持続可能な開発に関する相互レビュー用の指標の開発を行っています。さらに2002年(平成14年)10月より米国を最初に、この指標を用いた国別審査が行われており、日本は2003年に審査が予定されています。
 OECDの輸出信用グループは、輸出信用機関による環境配慮のための「環境と輸出信用に関する共通アプローチ」を作成し、一部の国を除く同グループのメンバー国は、2001年(平成13年)11月、同アプローチを2002年(平成14年)より自主的に実施することとしました。また、この自主的実施の経験・実績を踏まえ、2003年(平成15年)には同共通アプローチの改訂作業を行うこととなっています。
 国際エネルギー機関(IEA)では、先進国間で共通に取り得る費用効果にすぐれた温室効果ガス排出削減や吸収源強化のための政策・措置について分析・評価が進められています。1995年にIEA及びECが共同提案した気候変動技術イニシアティブ(CTI)について、国際協力による技術の開発・普及と長期的視点に立った革新的技術の具体化を積極的に推進しています。

 エ 世界貿易機関(WTO)等における取組
 (ア)WTO貿易と環境に関する委員会(CTE)の取組
 環境問題への関心の高まりに伴い、1995年(平成7年)WTOは貿易と環境に関する委員会(CTE)を設置しました。以来、CTEは環境と貿易に関する国際的な議論の中心的なフォーラムであり、毎年3〜5回のペースで会合が開催され、「多国間環境協定による環境目的の貿易措置とWTOとの関係」などの項目について検討が行われてきました。
 (イ)WTO多角的貿易交渉を巡る動き
 2001年(平成13年)11月にカタール・ドーハで開催されたWTO第4回閣僚会議で採択された閣僚宣言に基づき、今後「貿易と環境」に関しては、多国間環境協定(MEAs)に定められた特定の貿易義務(Specific Trade Obligations)とWTO協定との関係や環境関連物品・サービスの関税・非課税障壁の削減・撤廃等が交渉事項となり、2002年から交渉が始められています。
 (ウ)二か国・地域における自由貿易協定・経済連携協定
 WTOにおける多国間の貿易自由化に加え、二か国間や地域ごとの自由貿易や経済連携を進める協定の締結が急速に進められています。わが国でもシンガポールとの間での初めての経済連携協定の締結、2002年11月からのメキシコとの間での交渉の開始の他、韓国、ASEANなどとの間でも検討が進められています。このような状況を踏まえ、自由貿易協定・経済連携協定と環境保全との相互支持性を向上させるための具体的手法について検討を行っています。

 オ 主要国首脳会議(G8サミット)における環境問題への取組
 1989年(平成元年)のアルシュ・サミット以降、地球環境問題が国際社会の重要な課題として主要国首脳会議でも議論されてきています。2002年(平成14年)6月のカナナスキス・サミットでは、開発に関連して、ヨハネスブルグサミットに向けて努力することや、気候変動、森林破壊の問題について議論がなされました。

 カ G8環境大臣会合
 1992年(平成4年)来、G8各国の環境大臣によるG8環境大臣会合が開かれています。2002年(平成14年)4月にカナダ・バンフにおいて、環境と開発の関係、環境ガバナンス、環境と健康の関係等の分野において活発な議論が行われ、ヨハネスブルグサミットに向けて取り組むべき内容について閣僚宣言を採択しました。
 G8環境大臣会合の結果は、環境大臣から内閣総理大臣に報告されました。

 キ 世界水フォーラムへの取組
 開発途上国を中心として世界的に発生する水質悪化、水不足などの水問題の解決等に取り組むものとして、2003年(平成15年)3月に京都市を中心とした滋賀県・京都府及び大阪府の琵琶湖・淀川流域において開催された「第3回世界水フォーラム」への協力を行い、あわせて閣僚級国際会議を開催し、各国の水問題に関する共通の認識を閣僚宣言として採択するとともに問題の解決に向けた具体的な行動を記載した水行動集(ポートフォリオ・オブ・ウォーター・アクションズ)をとりまとめました。

 ク アジア・太平洋地域における取組
 アジア・太平洋地域は世界人口の過半数を擁し、多様な自然資源に恵まれていますが、ダイナミックな経済成長に伴い、人口の急増、貧困、都市環境の悪化、SOx、NOx、酸性雨などの越境汚染問題等、持続可能な開発を実現していく上で、数多くの課題を抱えています。これらの課題の克服に向けて、以下のような取組により、地域における環境政策の連携や地域協力の推進を図っています。
 (ア)アジア・太平洋環境会議(エコ・アジア)
 アジア・太平洋地域各国の環境大臣及び関係国際機関の代表等による自由な意見交換の場として、1991年(平成3年)以来「アジア・太平洋環境会議(エコ・アジア)」を開催しています。2002年(平成14年)は、7月に神奈川県葉山町において第1回エコアジア・パネル*が開催され、アジア太平洋環境イノベーション戦略プロジェクト(APEIS)の実施計画を承認したほか、ヨハネスブルグサミットに向けた情報交換を行いました。
 (イ)アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)
 アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)*は、2002年(平成14年)5月4日〜5日にインドネシア・ジャカルタで第2回会合を開催し、「淡水資源」「再生可能エネルギー」「貿易」「資金」「都市環境」の5つの個別テーマと、「統治能力向上」「能力開発」の2つの横断的テーマに関して討議を行い、ヨハネスブルグサミットへの特別提言を取りまとめました。2003年(平成15年)1月25日〜26日には中国・桂林で第3回会合が開催され、2004年(平成16年)に取りまとめる予定の最終報告書に関する議論を行いました。
 (ウ)アジア太平洋環境イノベーション戦略プロジェクト(APEIS)
 アジア太平洋地域の持続可能な開発の実現に向けて、2001年度(平成13年度)より、各国との共働によって、衛星データ等を活用した統合的モニタリング・評価体制の構築、その成果を利用した革新的な環境戦略オプションの提言を行うプロジェクトを実施し、各国における環境保全政策立案の支援を推進しています。ヨハネスブルグサミットにおいては、その成果のひとつであるパートナーシップ・イニシアティブとしてAPEISを登録しました。
 (エ)ESCAP・北東アジア環境協力高級事務レベル会議
 ESCAPは、アジェンダ21のフォローアップに資するものとして、北東アジア地域6か国(日本、韓国、中国、ロシア、モンゴル、北朝鮮)による地域環境協力の枠組みを作るため、1993年(平成5年)以来開催されています。同会議の下に、アジア開発銀行の援助を受けつつ、大気汚染問題を中心とした3プロジェクトが推進されています。2002年(平成14年)6月にモンゴル・ウランバートルで開かれた第8回会議では、進行中のプロジェクトの現状の確認と、新たなプロジェクト案選定のために専門家会合を開催して検討することが決定されました。
 (オ)環日本海環境協力会議(NEAC)
 北東アジア地域の環境問題に関する情報交換及び政策対話を行い、アジェンダ21で強調されている地域協力の促進を図るため、1992年(平成4年)より毎年開催されています。
 2002年(平成14年)12月に中国・海南省で開催された第11回会議では、「環境教育と環境意識啓発」と題したシンポジウムを行うとともに、「水環境の改善」「都市部における大気質の改善」及び「ヨハネスブルグサミットと北東アジア環境協力」について、技術的問題、政策的手法、多国間協力の可能性等の幅広い観点から議論が行われました。
 (カ)日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)
 北東アジアの中核である日本・中国・韓国の3か国の環境大臣が一堂に会し、本地域及び地球規模の環境問題に関する対話や協力関係を強化するため、1999年(平成11年)1月より毎年開催されています。
 2002年(平成14年)4月に韓国・ソウルで開催された第4回会合では、ヨハネスブルグサミットに向けた取組、気候変動、黄砂問題、中国北西部の生態系修復等についての政策対話を行いました。また、現在3か国の協力のもと、環境教育ネットワーク、環境産業円卓会議、合同環境研修など、具体的なプロジェクトが進められています。
 (キ)東南アジア諸国連合(ASEAN)における活動
 ASEAN+3(日中韓)環境大臣会合が2002年(平成14年)11月21日にラオス・ビエンチャンで開催され、ASEAN+日中韓3か国による環境協力のあり方ついて議論が行われ、ASEAN+3における今後の具体的な協力活動について協議するため、ASEAN側より、日中韓3か国へ合同の協議団を派遣することなどが合意されました。
 (ク)気候サービスの高度化に関するアジア太平洋気象庁長官会議
 2002年(平成14年)7月に、アジア太平洋地域の気象機関の長官等による「気候サービスの高度化に関するアジア太平洋気象庁長官会議」を開催し、異常気象による被害の軽減等に関して国家気象機関が果たすべき役割と必要となる国際協力について意見交換しました。

 ケ 国内における取組
 (ア)「アジェンダ21」に基づく取組
 わが国は、「アジェンダ21」行動計画*に則り、持続可能な開発の達成に向けた種々の取組を行っています。
 また、アジェンダ21においては、その実施主体として地方公共団体の役割を期待しており、地方公共団体の取組を効果的に進めるため、ローカルアジェンダ21を策定することを求めています。これを受けて、2002年(平成14年)2月28日現在、47都道府県、12政令指定都市、184市区町村でローカルアジェンダ21が策定されています。また、ヨハネスブルグサミットでは、国際環境自治体協議会(ICLEI)*などのイニシアティブにより、ローカルアジェンダ21を具体的な行動に移していくための「ローカルアクション21」を進めていくことが合意されました。
 (イ)持続可能な開発のための日本評議会(JCSD)
 持続可能な開発のための日本評議会(JCSD)*では、わが国における持続可能な社会づくりを目指した取組事例を取りまとめ、ヨハネスブルグサミットに向けて発表しました。
 (ウ)交通と環境に関する名古屋国際会議(International Conference on En-vironmentally Sustainable Transport in the Asian Region)
 2003年(平成15年)3月に、経済協力開発機構(OECD)、環境省及び国土交通省の共催により「交通と環境に関する名古屋国際会議」を開催し、わが国を含めたアジア各国・地域とともにEST*の理解を深め、アジアの特徴と多様性を踏まえた環境面から持続可能な交通体系の構築について発表・討論が行われました。

(2)二国間の枠組みによる連携
 ア 環境保護協力協定に基づく取組
 (ア)米国
 1975年(昭和50年)に日米環境保護協力協定が締結されて以来、同協定に基づき広範な環境問題を討議するため、閣僚レベルによる合同企画調整委員会(JPCC)を過去11回開催しています。同協定に基づき、現在17のプロジェクトが設置されており、情報交換、会議の開催、専門家の交流が進められています。
 (イ)ドイツ
 1997年(平成9年)に締結された日独環境保護協力協定に基づき、地球温暖化の防止、オゾン層の保護や砂漠化の防止などの分野について、日独両政府は環境の保護の分野における協力を発展させることとしています。
 (ウ)ロシア
 1991年(平成3年)4月に締結された日ソ環境保護協力協定に基づき、これまで3回の日露環境保護合同委員会が開催され、両国の環境問題並びに地球温暖化問題、NOWPAP(北西太平洋地域海行動計画)等について意見交換が行われてきました。また、二国間協力案件として、13のプロジェクトから成る日露環境保護協力計画が作成されています。
 (エ)中国
 1994年(平成6年)3月に締結された日中環境保護協力協定に基づく第6回日中環境保護合同委員会が、2002年(平成14年)10月に中国・北京で開催され、ダイオキシンの汚染状況の解明等に関する調査研究等の24件のプロジェクトを共同で実施することとしたところであり、これに基づきプロジェクトが進められています。
 (オ)韓国
 1993年(平成5年)6月に締結された日韓環境保護協力協定に基づき、これまで7回の日韓環境保護協力合同委員会が開催され、両国の環境問題などについて意見交換が行われてきました。また、北東アジアにおける大気汚染物質の長距離輸送と酸性沈着の観測に関する研究等の27件の共同プロジェクトの実施について協議を行い、現在、これらのプロジェクトが進められています。

 イ 科学技術協力協定に基づく取組
 (ア)米国
 1988年(昭和63年)6月に締結された日米科学技術協力協定の下、閣僚級の合同高級委員会がこれまで8回開催されました。同協定の附属書Iにおいては、7つの主要協力分野が挙げられており、このうち「地球科学及び地球環境」分野においては、第19回リエゾン会合が2002年(平成14年)7月に開催され、地球温暖化の現象解明等のための共同研究等がすすめられています。
 (イ)カナダ
 1986年(昭和61年)に締結された日加科学技術協力協定に基づき、これまで合同委員会が7回開催され、特に、同協定の下に「北太平洋における地球科学・環境パネル」が設置されるなど、環境分野における協力が進められています。
 (ウ)ドイツ
 1974年(昭和49年)に締結された日独科学技術協力協定に基づき、「環境保護技術パネル」が設置され、1976年(昭和51年)以来18回パネル会合が開催され、引き続き環境分野における共同研究等の協力が進められています。
 (エ)ロシア
 2000年(平成12年)9月のプーチン大統領訪日の際に締結された日露科学技術協力協定に基づき、日露科学技術協力委員会第8回会合が2003年(平成15年)1月にモスクワで開催されました。現在、同協定に基づき、「バイカル国際生態学研究センターにおける国際共同研究」等のテーマについて日露科学技術協力が進められています。
 (オ)中国
 1980年(昭和55年)5月に締結された日中科学技術協力協定に基づき、2000年(平成12年)8月に開催された第9回協力委員会での協議を踏まえ、「風送ダスト(砂嵐)の気候及び環境への影響等の研究」等のテーマについて日中科学技術協力が進められています。
 (カ)その他
 上記のほか、英国、フランス、イタリア、オーストラリア、インド、イスラエル等と、科学技術協力協定に基づく協力プロジェクトを通じ、環境分野の国際協力を実施しています。

 ウ その他の活動
 (ア)日豪環境政策協議
 1999年(平成11年)4月に豪から、環境問題に関する日本と豪の定期的対話の創設の提案があり、同年以降、日豪環境政策協議が行われています。第3回協議は2002年(平成14年)12月に東京で開催され、気候変動、ヨハネスブルグサミット、生物多様性、渡り鳥保全等について、意見交換を行いました。
 (イ)21世紀に向けた日中環境協力
 1997年(平成9年)9月に当時の橋本総理と中国の李鵬総理との間で「日中の環境開発モデル都市構想」と「環境情報ネットワーク整備」の2本柱からなる「21世紀に向けた日中環境協力」について意見の一致をみました。「日中環境開発モデル都市構想」は、重慶、貴陽及び大連をモデル都市として大気汚染対策等に集中的に円借款等を供与するもので、開発調査等も組み合わせて事業を実施しています。また、「環境情報ネットワーク整備」は、中国の100都市に環境情報のためのコンピュータネットワークを無償資金協力で整備する構想で、2001年までにすべての都市について交換公文が結ばれています。
 また、平成14年度は国交正常化30周年を記念し、10月の第2週を「日中環境協力週間」として、中国北京の日中友好環境保全センターで「第6回日中環境保護合同委員会」及び「第4回日中環境協力総合フォーラム」をはじめとする各種行事が開催されました。

(3)海外広報等の推進
 わが国が、地球環境問題をはじめ、さまざまな環境分野に積極的に取り組んでいることを国際社会に伝えることは、わが国が国際社会において責任ある役割を果たす上で重要です。
 このため、環境省は、日本の環境政策の紹介のための広報パンフレット「Japan Environment Quarterly」や「Quality of the Environment in Japan 2002(図でみる環境白書の英語版)」等海外広報資料の作成・配布やインターネットを通じた海外広報を行っています。

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