4 廃棄物の適正な処理の推進
(1)一般廃棄物対策
ダイオキシン類排出削減とともに一般廃棄物のリサイクルの促進のため、平成14年度は、補正予算を含めた総額1,856億円の補助金等(産業廃棄物分を含む。)により、ごみ処理施設、汚泥再生処理センター、埋立処分地施設、リサイクルプラザ等の一般廃棄物処理施設の整備を図りました。
また、一般廃棄物処理施設に係る民間資金活用型社会資本整備事業に対して補助を行いました。さらに、都道府県において、ダイオキシン類対策、余熱の有効利用、公共工事のコスト縮減等の観点から策定された、ごみ処理の広域化計画に基づいた廃棄物処理施設の整備を推進しました。
牛海綿状脳症の国内での発生に伴い、肉骨粉の飼料等としての使用が禁止され、廃棄物となった肉骨粉については、その処理の円滑化に係る地方公共団体への要請や技術的な情報提供を引き続き行うとともに、肉骨粉の再生利用が図られるよう廃棄物処理法に基づく再生利用認定を平成14年度に11件行ってきました。これらにより、平成14年6月以降、全国の肉骨粉の処理量が生産量を上回っています。
(2)産業廃棄物対策
環境事業団を活用したPCB廃棄物*の拠点的な処理施設の立地について、平成13年の北九州市における事業に次いで、愛知県豊田市、東京都、北海道及び大阪市における事業について環境大臣がPCB廃棄物処理事業実施計画の認可を行い、事業の具体化を進めています。
また、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を総合的かつ計画的に推進するため、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特別措置法 平成13年法律第65号)に定める「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」の策定を行うとともに、PCB廃棄物の収集運搬時の安全性を確保するための「PCB廃棄物収集運搬ガイドライン」の検討を行いました。さらに、PCB特別措置法施行規則及び廃棄物処理法施行規則について、PCB廃棄物の譲り渡し及び譲り受けの制限を試験研究を行う等の場合に適用除外とするとともに、廃PCB等の処理方式として新たにプラズマ分解方式を追加するなど所要の改正を行いました。
全国の産業廃棄物の不法投棄の状況については、投棄量はここ数年40万t前後で推移していましたが、平成13年度は約24万tと大幅に減少した一方、投棄件数は1,150件と増加しました。(表1-4-1)。
不法投棄の未然防止を図るため、「行政処分の指針について」を平成14年5月に改正し、不法投棄等に対する廃棄物処理法の厳格な運用の徹底を図りました。
また、不法投棄された産業廃棄物の原状回復を行う都道府県等に対し、産業界の自主的な拠出や国の補助金により造成した基金により経費支援を行っています。
そのほか、都道府県等の監視体制強化等に対する経費を助成するとともに、IT機器等を活用した新たな監視手法の運用・開発を進めています。
さらに近年、過去に不法投棄等の不適正な処理が行われた産業廃棄物により、生活環境保全上の支障が生じるとともに、これらの産業廃棄物が長期間放置されることにより、産業廃棄物処理に対する国民の不信感が生じ、循環型社会の形成が阻害される要因となっている状況にかんがみ、平成9年の廃棄物処理法改正以前に不適正処理された産業廃棄物について、都道府県等が自ら支障の除去等の事業を行う場合、必要な経費について国庫補助及び地方債の特例等の特別な措置を講ずる新しい法律案を第156回国会に提出しました。
(3)廃棄物処理法の改正
廃棄物の処理責任の徹底、適正処理の確保、排出抑制と円滑なリサイクルの推進の観点から、廃棄物・リサイクル制度の基本問題について、中央環境審議会において平成13年9月から検討を行い、平成14年11月に意見具申を取りまとめました。これを踏まえ、不法投棄等の不適正処理への更なる対応策を措置するとともに、効率的な廃棄物・リサイクルを推進するための制度の合理化を講ずるため、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案」を第156回国会に提出しました。
(4)広域処理場整備の推進
全国的に最終処分場の確保が困難となってきている中で、近畿圏においては、広域臨海環境整備センター法に基づき大阪湾フェニックス計画*が推進されており、平成13年12月に竣工した神戸沖処分場において広域処理対象区域(近畿2府4県195市町村)から排出される廃棄物の受入れがなされています。
(5)廃棄物の処理における環境配慮等
港湾における廃棄物処理対策として、平成14年度は、34港1湾において廃棄物埋立護岸の整備に対する補助を実施しました。また、廃棄物海面処分場の延命化に資するプラスチックドレーン等による圧密沈下工事の新たな国庫補助対象化を推進することとし、廃棄物海面処分場で埋立てに用いられる廃棄物等の減量化施設を民活法特定施設として新たに追加するなど、既設処分場の有効利用を推進しました。さらに、資源のリサイクルの促進のため、首都圏の建設発生土を全国の港湾建設資源として広域的に有効活用するプロジェクト(いわゆるスーパーフェニックス)を平成6年度に開始し、平成14年度は石巻港、中部国際空港関連工事、広島港、呉港において建設発生土の受入れを実施しました。