6 行政活動への環境配慮の織り込み
(1)地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく政府の実行計画
ア 政府の実行計画の概要
地球温暖化対策の推進に関する法律においては、すべての者が自主的かつ積極的に地球温暖化を防止するという課題に取り組むことにより、地球温暖化対策の推進を図ることが求められています。特に政府は、通常の経済活動の主体として国民経済に占める位置が極めて大きいことから、自らがその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を実行することによる地球温暖化対策の推進が大きく期待されます。また、地方公共団体や事業者、国民の自主的積極的な措置を求めるためにも、政府自らが率先して実行することの意義は高いと考えられます。こうしたことから、地球温暖化対策の推進に関する法律及び地球温暖化対策に関する基本方針に基づき、政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画(政府の実行計画)が平成14年7月に閣議決定されました。
政府の実行計画は、平成18年度までの期間を対象として政府の事務及び事業に伴い排出される温室効果ガスの排出抑制を図るものであり、あわせて、地方公共団体や事業者、国民が自主的、積極的に行動することを期待したものです。
この計画では、数量的目標を含むさまざまな取組や目標を定めていますが、そのうちの主な目標を表2-2-1に示します。
(2)グリーン購入の推進
ア グリーン購入法の概要
国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)は、国等の各機関(国や独立行政法人等の公的機関)による環境物品等(環境への負荷の低減に資する物品又は役務)の調達の推進、情報提供その他環境物品等への需要転換を促進するため、必要な事項を定めることにより、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会の構築を図ることを目的としています。こうした公的機関は、環境保全という公益実現に責任を有するとともに、国民経済の中で大きな購入主体であることから、率先して環境物品等の調達を進めることにより、これを呼び水としてわが国全体の需要を環境物品等へ転換していくことが期待されます。
イ グリーン購入法に基づく各主体の取組
グリーン購入法の仕組みについては、図2-2-1の
とおりであり、基本方針(環境物品等の調達の推進に関する基本方針)には、1)環境物品等の調達の推進の基本的方向、2)国等の各機関が重点的に調達を推進すべき環境物品等の種類(特定調達品目)及びその判断基準等、3)その他環境物品等の調達の推進に関する重点事項を定めています。国等の各機関では、基本方針に即して毎年度作成することとされている環境物品等の調達方針を定めて公表し、これに基づいて環境物品等の調達を推進しました。また、平成13年度調達実績を取りまとめ、公表しました。
特定調達品目等については、その開発・普及の状況、科学的知見の充実等に応じて適宜品目の追加・見直しを行っていくこととしており、平成14年度においても特定調達品目に関する提案を募集するなどして検討を実施、平成15年2月28日に基本方針の変更(変更後、特定調達品目は15分野176品目)について閣議決定しました。
地方公共団体については、毎年度、環境物品等の調達方針を作成して調達を行うよう努めることが定められているところであり、平成14年度までに全ての都道府県、政令指定都市が調達の方針を作成して取組を推進しました。環境省ではその取組をさらに促すため、情報提供や普及・啓発のためのセミナーの開催等を実施しました。また、変更した基本方針等についての説明会を全国13か所において開催しました。
グリーン購入のためには、その前提として、環境物品等の情報がこれを必要とする購入者に提供されること等が重要であることから、グリーン購入法では、1)物品の製造、輸入、販売等を行う事業者に対して、その製造等する物品等についての環境情報を適切な方法により提供するよう努める、2)環境ラベル等の情報提供の質的向上を図るため、第三者的立場から環境物品情報を提供する者は、科学的知見を踏まえ、国際的取決めとの整合性に留意しつつ、有効かつ適切な情報の提供に努める、3)s国に対し、製造メーカー等や環境ラベル機関等による環境物品情報の提供状況について整理・分析し、その結果を提供することが求められています。
そのため、平成14年8月に環境ラベルなど製品の環境情報を提供する各種制度を整理、公開している「環境ラベル等データベース」の本格運用を開始しました。
(3)政府への環境管理システムの導入
環境基本計画では、率先して、通常の経済活動の主体として行う活動を含め、政府活動に環境配慮を適切に織り込んでいくことにより自らの活動を律し、環境への負荷をさらに低減するため、関係府省は、環境基本計画を踏まえながら、自主的に環境配慮の方針を明らかにするとともに、その推進を図るため、政府は、率先して、自主的に、環境管理システムの導入に向けた検討を進めることとされています。このため、各府省とも環境配慮の方針の策定及び通常の経済活動の主体としての活動に係る環境管理システムの導入を進めているところであり、平成14年度には、総務省、国土交通省及び環境省が環境配慮の方針及び環境管理システムを明らかにしました。