5 「地域環境力」の醸成のための取組
本節では、地域で効果的に環境保全の取組を進めていく上で、1)地域資源(自然的・社会的基盤と主体)を的確に把握すること、2)地域社会を構成する幅広い主体が連携していくことが必要であり、そして、これらを進める前提として、地域に関する情報の発信・提供が積極的に行われていることが重要であることを見てきました。地域資源の把握と主体間の連携を行っていくことで、地域が一つの方向性(目標)を共有することとなり、地域における各主体がより良い環境、より良い地域を創っていこうとする意識・能力が高まっていくことになります。こうして得られる地域全体としての取組意識・能力の高まり─これを「地域環境力」と呼びます─が、地域全体として環境保全の取組を効果的に進めていくことを可能とします(図2-3-11)。
地域環境力は、例えば地元学のように、地域の情報を地域の人々が自分の足で主体的に求め、より的確に地域資源を把握していくことで、一層充実させることができます。また、例えばグラウンドワークのように、体制をきちんと整え、地域の各主体の連携をより広く、より密接なものにしていくことでも、充実させることができます。このように、地域をより深く知り、より多くの主体と連携をとることが、環境、社会、経済のあらゆる側面から、総合的・統合的に地域をとらえていくことを可能とし、真に持続可能な地域づくりに向けて、地域全体を動機づけるとともに、行動の実行可能性を高めていくことになるのです。