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第5節 

2 持続可能な社会への歩み


 本章では、環境負荷の低減に資する取組に加え、恵み豊かな環境を保全・創造する取組の例を紹介し、さらに、一人ひとりの取組は、単に直接的な取組の合計にとどまるものではなく、直接・間接に他の人々や企業、行政を動かし、そして、一人ひとりの意識、企業活動、行政の施策の変化は、互いに影響を与えあい、各主体の行動をさらに大きく変えていき得ることを示しました。
 しかし、一人ひとりが持続可能な方向に沿ったライフスタイルを選択し、自らの行動に環境配慮を織り込んでいこうとする場合、これを容易にする社会経済システムが整っていることも必要であり、私たち一人ひとりの意識や行動の変革と社会経済システムの変革を同時並行的に進めていくことが重要です。
 第3節で見たように平成13年度の「環境にやさしいライフスタイル実態調査」によると、環境保全に重要な役割を担う主体として、「国民」を挙げた人が44.8%を占め、前回の調査(平成9年度)に比べ13.7ポイント増となり、近年、一人ひとりの環境保全に関する取組が重要であるとの認識は高まってきているなど、持続可能な社会を育む下地はできつつあります。また、その上には今はまだぼんやりとしたものかもしれませんが、本節1で見たように新たなライフスタイルの実践など持続可能な社会へつながる幾筋もの道がひかれ始めています。
 しかしながら、私たちは、目的に向け誰しもが一歩を踏み出せているわけではありません。ここで今一度、一人ひとりの意識・行動の変化が、最初の小さな動きからは予想もできないような大きなうねりをつくり出し、社会経済システムを変えるとともに新たな価値観に基づくライフスタイルを創造し得る力をも持っていることを認識し、動き始めた持続可能な社会づくりを一時の流行にとどめることなく、私たちや将来の世代が依って立つ礎を築くため、確実な歩みを進めていく必要があります。

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