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第1節 

1 社会経済の変化


 地球サミットの開催された1990年代、企業は国境を越え事業活動を行い、世界のさまざまな地域で資源を獲得、製品を生産し、その結果、貿易、海外への投資額は著しく増加しています(図序-1-1)。また、国際的な交通の発達により海外旅行が容易になりました。さらに、情報通信技術の著しい発達に伴い、先進諸国では、インターネット利用者が激増し、日常生活においても携帯電話やパソコン等を通じて、世界のさまざまな情報を瞬時に入手することができるようになりました(図序-1-2)。このように、経済、社会のグローバル化が急速に進展し、世界は以前にも増してずっと小さなものになり、世界の相互依存性は以前にも増して高まっています。
 また、東アジア地域は顕著な経済成長を遂げ、特に中国の経済成長が著しいものとなっています(図序-1-3)。







 一方で、世界人口は1990年(平成2年)から2000年(平成12年)の間に約8億人増加しており、このうち開発途上国における増加は全体の約95%、約7億6千万人になっています。また、貧富の差が拡大し、UNEP(United Nations Environment Programme 国連環境計画)の報告によると、世界の富裕層5分の1が世界全体のGDPの86%、貿易市場の82%、外国への直接投資の68%を占めているのに対し、貧困層5分の1は、いずれについてもわずか1%程度しか占めていないとされています。インターネット利用者の割合を見ても、世界人口に占める割合が14%に過ぎないOECD(Organization for Economic Co-operation and Development 経済協力開発機構)諸国の国民が、利用者の79%を占めています。こうした人口増や貧富の差の拡大等も背景の一つとして、テロあるいは武力紛争の発生、HIV(Human Immunodeficiency Virus ヒト免疫不全ウイルス)感染者の増加等、一国で解決するには難しいグローバルな問題が生じています(図序-1-4、表序-1-1

図序-1-5)。





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