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第1節 

1 地球環境保全に関する国際的な連携の確保

(1)多国間の枠組みによる連携
 ア 国連
 (ア)ヨハネスブルグサミットに向けた取組
 わが国は、2002年(平成14年)8月〜9月に行われるヨハネスブルグサミットが、21世紀における持続可能な開発に向けた全世界的な取組強化への契機となるよう、わが国の経験や取組の成果に基づいて最大限貢献していきます。また、産業界、学界、地方自治体、NGOなど幅広い主体がサミットに向けて積極的に活動できるよう支援していきます。
 (イ)国連環境計画(UNEP)等
 1999年(平成11年)2月の第20回管理理事会で決定された5重点分野と2000年(平成12年)5月に採択されたマルメ宣言をUNEPが実行するにあたり、わが国はUNEPが、より効果的に機能し、世界的な環境保全に資するよう、わが国の有する環境分野での多くの経験と豊富な知見を活かし、今後とも積極的に貢献していきます。特に、日本人初のUNEP親善大使(加藤登紀子さん)の活動を支援します。
 また、UNEP国際環境技術センターが実施する環境保全技術に関する情報の収集・整備及び発信への協力等を継続するとともに、関係府県市等と協力しつつ、同センターの円滑な業務の遂行を積極的に支援していきます。
 また、国連教育科学文化機関(UNESCO)のアジア・太平洋地域教育開発計画(APEID)の下で、アジア・太平洋地域諸国の環境教育の専門家をわが国に招致してセミナーを開催する等、UNESCOと協力してアジア・太平洋地域における環境教育の充実・普及を図るとともに、UNESCOの人間と生物圏(MAB:Man and the Biosphere)計画の下で、アジア・太平洋地域における生物圏保存地域(Biosphere Reserve)のネットワークを利用し、生物多様性の保護と持続可能な活用、人材・研究機関の養成のためのセミナー開催等を目的として、「ユネスコ持続可能な開発のための科学振興事業信託基金」を拠出する等地球環境科学関係事業を一層推進します。
 また、国連アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)が2000年(平成12年)9月に開催した環境大臣会議において採択された「クリーンな環境のための北九州イニシアティブ」等の効果的な実施に向けて2001年(平成13年)11月に発足した「クリーンな環境のための北九州イニシアティブ・ネットワーク」の活動に対して、わが国としても積極的に貢献していきます。

 イ 経済協力開発機構(OECD)及び国際エネルギー機関(IEA)
 2001年(平成13年)5月に開催されたOECD環境大臣会合のOECD環境戦略や、同月に開催されたOECD閣僚理事会のコミュニケを踏まえつつ、わが国としてはOECD環境戦略の推進やOECD持続可能な開発プロジェクトをはじめ、OECDの環境分野における活動に積極的に参画・貢献します。
 また、1995年にIEA及びECが共同提案した気候変動技術イニシアティブ(CTI)の活動を通じ、国際協調の下、地球温暖化防止に向けた技術戦略の策定、途上国への地球温暖化防止技術の普及、革新的な地球温暖化防止条約の国際共同研究等を積極的に推進します。

 ウ 世界貿易機関(WTO)
 2001年(平成13年)11月にカタール国のドーハで開催された第4回WTO閣僚会議において採択された閣僚宣言を踏まえ、自由貿易の推進と環境保全の両立を図っていくよう、WTOにおける議論に積極的に参加します。

 エ 主要国首脳会議(サミット)
 サミットにおいて環境問題は次第に重要性を増してきている中、わが国としては、ヨハネスブルグサミットの成功に向けて、国際的なイニシアティブを発揮していくため積極的な役割を果たしていきます。

 オ アジア・太平洋地域での取組
 アジア・太平洋地域は世界人口の過半数を擁し、多様な自然資源に恵まれていますが、ダイナミックな経済成長に伴い、人口の急増、貧困、都市環境の悪化、SOx、NOx、酸性雨などの越境汚染問題等、持続可能な開発を実現していく上で、数多くの課題を抱えています。これらの課題の克服のためには、地球環境保全のために地域における環境政策の連携を図り、地域協力を推進していくことが重要です。
 アジア太平洋地域各国の環境大臣等により、この地域における地域環境協力のあり方を議論する「アジア・太平洋環境会議(エコ・アジア)」を継続開催するとともに、「アジア太平洋環境イノベーション戦略プロジェクト(APEIS)」において、衛星データ等を活用したアジア・太平洋地域における統合的モニタリング・評価体制の構築を進めるとともに、その成果を活用した革新的な環境戦略オプションの研究を行い、各国との共働プロセスを通じた持続可能な開発を可能にするための環境政策立案のための科学的基盤を整備します。さらに、2001年(平成13年)10月に発足したアジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)の活動を積極的に支援し、アジア太平洋地域の新たな社会発展のモデルの形成を推進します。
 また、1999年(平成11年)より開始された「日中韓3か国環境大臣会合」については、韓国で開催される第4回会合に積極的に貢献するとともに、2002年(平成14年)は日中韓国民交流年とされていることから、「日中韓環境共同体パートナーシップイニシアティブ」として、3か国の環境意識の一層の啓発を図るためのセミナー、ワークショップ等を実施します。さらに、「環日本海環境協力会議」及び「ESCAP/北東アジア環境協力高級事務レベル会議」への支援を通じ、アジア・太平洋地域、さらには地球規模の環境保全に関する政策対話の強化に努めます。
 個別分野に関しても、「地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」を今後とも開催するとともに、域内各国の酸性雨測定局のネットワーク化を図る「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク」を推進するほか、域内の研究協力を推進し各国の地球環境問題への対処能力の向上を図る「アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)」に対して、積極的貢献を行っていきます。
 「地球環境戦略研究機関」(IGES)においては、第2期戦略研究計画に基づき、国際的な地球温暖化対策の立案をはじめとした、21世紀の持続可能な社会の実現のための戦略研究を、アジア太平洋地域を中心とする国際的連携の下で推進していきます。また、IPCCの技術支援ユニットの活動も推進します。

 カ その他
 開発途上国を中心として世界的に発生する水質悪化、水不足などの水問題の解決等に取組むものとして、2003年(平成15年)3月に京都市を中心とした滋賀県・京都府及び大阪府の琵琶湖・淀川流域において開催される「第3回世界水フォーラム」への協力を図るとともに、あわせて閣僚級会議を開催します。

(2)二国間の枠組みによる連携
 米国、ドイツ、ロシア、中国、韓国との環境保護協力協定に基づく協力、EU等との環境協力、米国、ドイツ等との科学技術協力協定に基づく共同研究・調査等を進めます。
 日中間についても、独立行政法人国立環境研究所等による黄砂に関する共同研究や、「21世紀に向けた日中環境協力に関する共同発表」の下での「日中環境開発モデル都市構想」等具体的な協力を進めていきます。

(3)国際的な連携の確保に資する海外広報の推進
 地球環境保全に関するわが国のイニシアティブを示すためにも、海外広報を一層積極的に行っていくことが必要なため、環境白書等定期刊行物、国際的に要望の高い行政資料の英文版、目的に応じた海外広報用資料などの作成・配布やインターネットを通じ、環境問題に対するわが国の取組につき積極的に海外広報を行っていきます。

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