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第4節 

2 循環資源の適正な循環的な利用の推進

(1)回収・再生利用の推進
 環境への負荷の低減のため、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用、再生資源の回収・利用を促進することが必要です。
 このため、リサイクルが容易な製品づくりを事業者が行うことを促進するとともに、市町村における分別収集の推進や商品の流通経路等を利用した回収システムの充実、古紙の回収システムの健全な維持を図ります。また、リサイクル推進のための預託金払戻制度(デポジット・リファンド・システム)等の経済的措置の活用の検討や事業者による製品等の引取りに関する仕組みについての検討を行います。
 また、事業者が、再生資源の利用率目標の達成及び再生資源の新規用途の開発などの個別品目の状況に応じた再生利用能力の向上を図ることを促進するとともに、再生資源やリサイクル製品は、初めて使用される資源やこれによる製品に比べて割高になりがちであることも踏まえつつ、国、地方公共団体、事業者、国民すべての主体がリサイクル製品を積極的に利用することなどにより、リサイクル製品の利用・市場の育成等を推進します。
 「資源の有効な利用の促進に関する法律」(資源有効利用促進法)に基づき、1)事業者による製品の回収・リサイクルの実施などリサイクル対策の強化、2)製品の省資源化・長寿命化等による廃棄物の発生抑制(リデュース)対策や3)回収した製品からの部品等の再使用(リユース)対策を網羅的に講じていきます。
 資源有効利用促進法においては、廃棄物等の発生抑制の観点から、製品(自動車、家電製品、パソコン、ガス・石油機器等)の製造に使用される原材料の削減、耐久性の向上を図る設計、部品の統一化・共通化、使用段階における修理等による長期間の利用の促進などに事業者が取り組むことを義務付け、また副産物の発生抑制、産業廃棄物の最終処分量の削減に資するため、工場等で発生する副産物(スラグ、汚泥等)について、生産工程の合理化等による副産物の発生抑制対策と発生した副産物の利用促進によるリサイクル対策に事業者自らが計画的に取り組むことを義務付けるなどの対策を講じていきます。
 また、民間事業者の有する効率的な3R(リデュース、リユース、リサイクル)技術の実用化の促進を図るため、民間企業から公募により選定されたすぐれた循環システムの実用化に向けた技術開発に対して補助をしていきます。また、このほかにも資源循環型住宅技術開発の推進、建築廃材・ガラス等リサイクル技術開発、電子・電気製品の部品等の再利用技術開発などの事業を推進していきます。
 さらに、リサイクル製品の基準の策定の検討を進めます。これらの基盤として、異業種間の交流・協力等を進めつつリサイクル技術の開発・普及を促進し、リサイクル推進のための啓発や国民運動を進め、リサイクルの実施状況、効果等に係る情報の整備・提供を推進します。
 また、関係各府省で連携しつつ、関係行政機関の廃棄物の処理に関する情報収集・提供の業務と連携した廃棄物の処理に関する横断的な情報収集システムの構築に向けた準備を進めます。
 農業集落排水事業においては、発生する汚泥の有機質肥料等へのリサイクルを引き続き推進します。
 品目別及び業種別廃棄物処理・リサイクルガイドラインのフォローアップ、対象の改定についての検討のほか、「産業廃棄物排出事業者適正処理ガイドライン」、鉱工業等に係る産業廃棄物の減量化・リサイクルに関する数値目標、「使用済み自動車リサイクルイニシアティブ」、「古紙リサイクル促進のための行動計画」などに係る取組の実施、関係者への周知徹底、フォローアップなどを引き続き推進します。
 また、自動車のリサイクルの促進、不法投棄又は野積みされている使用済自動車の適正な処理等について、関係自治体等と協力しつつ、その推進に向けて必要な検討を実施していきます。

(2)容器包装に係る分別収集、再商品化等の推進
 「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)は平成12年4月に完全施行された後、平成13年度における分別収集量及び市町村数は着実に増加し、再商品化(リサイクル)も円滑に行われています。今後とも再商品化のための技術開発、再商品化義務を履行しない、いわゆるフリーライダー対策を推進するとともに、分別収集及び再商品化の一層の促進に取り組みます。
 また、引き続き容器包装リサイクル法の実施に伴う市町村における分別収集コストの明確化と事業者における廃棄物発生抑制効果を検証しつつ、社会的な費用便益分析を行い、より効率的な容器包装リサイクルを達成するために必要な施策について検討していきます。

(3)特定家庭用機器廃棄物の収集・再商品化等の推進
 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)は平成13年4月に本格施行され、その後、小売業者による収集及び運搬、製造業者等による引取り、再商品化(リサイクル)は円滑に行われています。
 今後とも、円滑な法施行のため、国民への理解を促進するための普及啓発、不法投棄防止のための各地域ごとの取組に関する情報提供等を実施していきます。

(4)建設廃棄物等の再資源化等の推進
 平成14年5月30日より「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)が完全施行され、建設工事における分別解体等及び再資源化等の義務が始まるのを受け、引き続き法の適切な運用を図るとともに、パンフレットの作成、事業者等に対する説明会の開催などによる普及啓発等、必要な措置を講じます。
 さらに、建設廃棄物のリサイクルを促進するため、分別解体等及び再資源化等の徹底や、再資源化をするための施設の適正な立地誘導等のために必要な新しい制度の整備について検討を進めるとともに、再資源化施設の稼働情報に関する「建設副産物情報交換システム」の運用を進めていきます。また、建設リサイクル法の施行にあわせ、「新たな建設リサイクル推進計画」及び「建設副産物適正処理推進要綱」を策定・改訂し、周知・徹底等を図っていきます。
 特に、公共工事におけるゼロエミッションを達成するため、完全再資源化などの実証実験等を実施します。また、建設廃棄物の排出量や再資源化等に関する状況について、調査を引き続き実施します。
 下水道事業において発生する汚泥(発生汚泥等)については、発生汚泥のコンポスト化、建設資材等による再生利用をより一層推進します。

(5)食品循環資源の再生利用等の促進
 「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)が、平成13年5月に施行され、同法に基づく食品関連事業者等の再生利用等の実施を確保するとともに、これらの円滑な取組を確保するため、登録再生利用事業者制度、再生利用事業計画認定制度等を活用した優良なリサイクル業者の育成、計画的なリサイクルの実施を推進します。
 また、生産・流通・消費の各段階を通じた食品循環資源の再生利用等の推進を図るため、同法の普及啓発を実施するとともに、民間の技術開発の支援、リサイクルシステムの先進モデルとなるべきタイプ別モデルの構築、食品産業、耕種農業等の関係者からなる協議会の開催等による再生利用等の促進等により、食品廃棄物のリサイクルシステムの確立を図ります。

(6)リサイクル関連施設整備の推進
 一般廃棄物について、循環型社会を目指し、21世紀初頭を目途に、廃棄物のほとんどすべてを、単に燃やして埋める処理から、極力リユース・リサイクルを推進し、焼却処理の際に熱エネルギーを活用することへの転換を推進します。
 リサイクル関連施設については、ペットボトル等の容器包装廃棄物や廃家電製品の再商品化、焼却灰の溶融固化、余熱利用、廃棄物発電、ごみ固形燃料化、し尿・浄化槽汚泥、生ごみの資源化等の施設整備、技術開発等を推進します。また、家畜排せつ物、生ゴミ等の有機性資源のリサイクルにより環境と調和のとれた農業生産の確立を図るため、たい肥化施設等の整備を行うほか、先進的・モデル的リサイクル施設の整備とその実証展示を実施します。さらに、「民間事業者の能力の活用による特定施設の促進に関する臨時措置法」(民活法)に基づく古紙の他用途リサイクルのための施設整備等を推進します。

(7)都市再生プロジェクトの推進
 平成13年11月のゴミゼロ協議会中間取りまとめを踏まえ、東京圏においてさらに検討を行った結果、七都県市による中長期計画の策定に向けた最終の取りまとめを平成14年春に行います。東京圏では、最終取りまとめの進捗状況について点検を行い、新たな課題について検討を行うなど、フォローアップを行います。他の都市圏においても、ゴミゼロ型都市への再構築に向けた検討に着手します。

(8)総合的な静脈物流システムの構築に向けた港湾における取組
 静脈物流の拠点となる港湾において広域的なリサイクル関連施設の集中立地を推進するとともに、循環資源の収集・輸送・処理の総合的な静脈物流拠点を形成し、ネットワーク化を図ります。また、循環資源の海上輸送の実証試験等、静脈物流に関する総合的な調査を実施して静脈物流システムの構築を推進していきます。

(9)リサイクルにおける環境配慮
 リサイクルを推進するに当たっては、リサイクルの環境に与える影響を把握し、リサイクルされた原材料を使用した製品等に含まれる可能性のある有害物質等に関する情報の把握を行うとともに、廃棄物のリサイクルに係る環境保全上のガイドラインの整備を行い、さらに、電気製品や自動車などの有害物質を含む使用済製品について、有害物質を含む部品の回収による有害物質のリサイクルの促進方策など、必要な施策を検討します。

(10)ゼロ・エミッション構想の推進
 ゴミゼロ型の地域社会づくりに向けて、関係各省が連携して、ゼロ・エミッション構想推進のため「エコタウン事業」を実施しており、技術的に先駆的・先進性を有するリサイクル関連施設整備事業等に対するハード面の支援及び環境関連情報提供事業等に対するソフト面の支援を引き続き実施します。

(11)ゴミゼロ作戦の推進
 大量のゴミの廃棄で処理の限界に至っている大都市圏を新しいゴミゼロ型の都市に再構築する構想について、具体的検討を行います。

(12)産業廃棄物ゴミゼロプランの推進
 排出事業者による産業廃棄物の減量化を促進するため、多量排出事業者から都道府県知事等に提出された産業廃棄物処理計画及びその実施状況を活用し、循環型産業廃棄物減量化ビジョンを作成することをはじめとした産業廃棄物ゴミゼロプランの推進検討事業を実施します。

(13)使用済みFRP船の収集・再商品化等の推進
 近年、循環型社会の構築や資源の有効活用などの社会的ニーズが高まる中、使用済みFRP(ガラス繊維強化プラスチック)船の処理については、埋設、焼却処分しているのが現状であり、埋設処分場確保の限界や、焼却によるダイオキシン発生問題等を勘案すると、十分な経済性を有するリサイクル手法を確立する必要があります。
 このため、経済的かつ実現性の高いリサイクル技術を確立・実証するために「FRP船高度リサイクルシステム構築プロジェクト」を引き続き実施するとともに、リサイクルシステムの事業化に向けた検討を実施し、この分野におけるリサイクル基盤の整備を図ります。
 また、抜本的に使用済みFRP船発生量を抑制するため、劣化・損傷箇所のみを取り替え可能とし、艇体の長寿命化を促進するリユース技術の研究開発を行います。

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