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第3節 

2 環境対策を進めていく上での考え方

 今日の環境問題は、問題の発生に多くの者が関与していたり、発生のメカニズムが複雑であったり、影響範囲が不分明であるなど、極めて複雑な様相を呈しています。さらに、本章第1節及び第2節でも述べたように、市民や企業もさまざまな形で環境保全のための取組を行っており、政府としてもこうした環境問題の状況や各主体の取組状況を考慮し、各分野における環境問題の解決に向け、従来のエンド・オブ・パイプ的な規制的手法のみならず、新たな対策を講じつつあるところです。
 こうした際には、今までみてきたように、対策の基本的な骨格を決める上での鍵となる考え方を見出すことができます。例えば、環境への悪影響の防止効果以外の面でも大きな効用があり、仮にその影響がおこらなくても後悔しない範囲での対策や、深刻な影響が予想される場合の「予防的方策」、生産者が製品の使用・廃棄の段階で責任を負う「拡大生産者責任」や不確実性を有する問題に対するアプローチの一つである「環境リスク」の考え方などがそれに当たります。これらの考え方が今日の環境行政を進めていく上での基本的な考え方のすべてを網羅するものではありませんが、これらは個別の環境問題にのみ適用可能なものではなく、より幅広く一般的に用いることができます。
 今日の複雑な環境問題に対処するためには、このようなさまざまな考え方を駆使して的確に対処していく必要があります。

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