2 経済的負担
(1)基本的考え方
環境への負荷の低減を図るために経済的負担を課す措置については、その具体的措置について判断するため、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出抑制、都市・生活型公害対策、廃棄物の抑制などその適用分野に応じ、これを講じた場合の環境保全上の効果、国民経済に与える影響及び諸外国の活用事例等につき、調査・研究を進めました。
(2)具体的な取組事例
従来は、調査・研究を行うにとどまり、導入に至ることの少なかった経済的負担措置について、平成12年度は導入に向け検討が深められる事例が多く見られました。
ア 自動車税のグリーン化
一定の環境負荷の低い自動車について自動車税を軽くし、負荷の高い自動車について重くする措置、いわゆる「自動車税のグリーン化」が、平成14年度から行われることとなりました。
具体的には、登録後11年を超えるディーゼル車、13年を超えるガソリン車は約10%重課され、排出ガス・燃費に関して性能の良い自動車は、排出ガス性能に応じ、約50%、約25%、約13%の3段階で軽課されます。
重課対象は、ディーゼル車約80億円、ガソリン車約140億円の計約220億円と予測されています。軽課対象は、軽課率約50%が約38億円、軽課率約25%が約69億円、軽課率約13%が約110億円の計約220億円と予測されています。このように、「自動車税のグリーン化」は、経済的負担措置と助成措置を組み合わせ、増税分と減税分が同額となる、いわゆる税収中立なものとして設計されています。
イ 地方公共団体における環境関連税導入の動き
平成12年4月の「地方分権推進一括法*」の施行により地方税法の一部が改正され、法定外普通税の許可制から同意制への移行、法定外目的税制度の新設など、地方公共団体の課税自主権の強化が図られました。
これを受け、各地方公共団体において法定外普通税及び法定外目的税の導入の検討が進められていますが、その中には、環境負荷等に着目した税がみられます。特に、産業廃棄物の排出量又は処分量を課税標準とする税は、検討の口火を切った三重県をはじめ、各地で幅広く検討事例がみられます。
*地方分権推進一括法
「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」平成11年7月16日法律第87号
ウ ロードプライシング
「ロードプライシング」とは、道路混雑の緩和、環境の改善等を目的として、道路を通行する自動車に課金等を行うことをいいます。わが国での導入事例はありませんが、海外においてはシンガポールなどで導入されています。
(ア)首都高速道路等における試行的実施
有料道路の料金に格差を設けることによって、住宅地域に集中していた交通を湾岸部に転換し、住宅地域の沿道環境を改善する「環境ロードプライシング」について検討が進められ、平成13年度に首都高速道路、阪神高速道路において試行的に実施されることとなりました。
(イ)東京都の取組
東京都は、「ディーゼル車NO作戦」の一環として、ロードプライシングについて検討を進めています。