前のページ 次のページ

第4節 

4 廃棄物の適正な処理の推進

 平成12年6月に廃棄物処理法を一部改正し、排出事業者責任を徹底させるため、産業廃棄物管理票制度の見直し、不法投棄等が行われた場合に原状回復等を命ずる措置命令の強化等の措置を講ずるとともに、公的主体の関与による産業廃棄物処理施設の整備促進を図るため、廃棄物処理センターにおける廃棄物の処理の推進を図ることとしました。
 また、平成12年1月からのダイオキシン類対策特別措置法の施行を受け、ダイオキシン類対策の観点から、廃棄物処理法施行令の改正等必要な基準の設定及び改正を行い、その円滑な施行に努めてきたところです。
 なお、平成11年2月、水質環境基準に「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」、「ほう素」並びに「ふっ素」が新たに追加されたことから、平成11年3月、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく廃棄物の最終処分に関する基準の項目追加等について中央環境審議会に諮問し、最終処分基準等のあり方について検討を行いました。

(1)一般廃棄物対策
 ダイオキシン類排出削減と共に一般廃棄物のリサイクルの促進のため、平成12年度は、補正予算を含めた一般会計総額2,427億6,700万円の補助金により、ごみ処理施設、汚泥再生処理センター、埋立処分地、リサイクルプラザ等の一般廃棄物処理施設の整備を図りました。
 また、一般廃棄物処理施設に係る民間資金活用型社会資本整備事業に対して補助を行いました。さらに、都道府県において、ダイオキシン類対策、余熱の有効利用、公共工事のコスト縮減等の観点から策定された、ごみ処理の広域化計画に基づいた廃棄物処理施設の整備を推進しました。

(2)産業廃棄物対策
 平成12年6月に「廃棄物処理法」の改正が行われ、十分に活用されていなかった廃棄物処理センター制度について、指定の対象をこれまでの公益法人から、国若しくは地方公共団体の出資等に係る法人等に拡大するとともに、都道府県に1か所とする設置数の制限を撤廃し、制度の活用を促進することとしました。この改正の後、新たに神奈川県、宮崎県及び島根県の法人を廃棄物処理センターとして指定しました。
 平成12年度から創設された産業廃棄物処理施設のモデル的整備事業に対する補助制度により、廃棄物処理センターによる産業廃棄物処理施設の整備促進を図りました。
 また、ミレニアム・プロジェクトとして、中小企業等が保管しているPCB廃棄物の処理を先駆的に行う民間事業者のモデル的な事業に対し、国が一定の財政的・技術的支援を行う「ゼロPCB支援プロジェクト」を実施することとしています。

(3)広域処理場整備の推進
 大都市圏域において、圏域を一体とした広域的な最終処分場確保の要請に対応するた め、広域的な廃棄物の埋立処分場計画(いわゆるフェニックス計画)の推進が図られてきました。
 近畿圏では、大阪湾広域臨海環境整備センターの広域処理場において一般廃棄物等を受け入れる管理型区画が平成13年度に満杯になる見込みのため、現在、神戸沖処分場を建設中であり、さらに大阪沖に新たな埋立処分場を整備するための準備を行っているところです。
 首都圏については、広域処分は必要との認識から、フェニックス計画実現に向けての働きかけを7都県市に行うとともに、広域処分場建設に関する全国調査を実施しました。

(4)廃棄物の処理における環境配慮等
 平成12年6月の廃棄物処理法の改正により、廃棄物焼却施設の過度の集中について大気環境基準に関する規定、廃棄物処理施設の設置周辺地域への配慮の規定が設けられました。
 また、現在開発されている最終処分に関する技術の中から環境保全効果の認められるものについて評価を行い、より高度な技術の開発・普及を促進するための調査を行いました。
 港湾における廃棄物処理対策として、平成12年度は、37港1湾において廃棄物埋立護岸の整備に対する補助を実施したほか、廃油処理施設の整備に対する補助及び一般海域における浮遊ごみ・油の回収事業等を行いました。さらに、資源のリサイクルの促進のため、首都圏の建設発生土を全国の港湾建設資源として広域的に有効活用するプロジェクト(いわゆるスーパーフェニックス)を平成6年度に開始し、平成12年度は石巻港、三河港、広島港、呉市において建設発生土の受入れを実施しました。
 また、環境保全に留意しつつ下水汚泥の緑農地利用及び建設資材化を推進するとともに、下水汚泥等を原料とした再生資材を積極的に活用した下水道事業を実施しました。

(5)空き缶の散乱防止
 缶飲料の生産量が急速に増大し、1年間で発生した缶飲料の空き缶は、昭和56年には100億缶程度であったものが、平成11年には365億缶を超える状況にあり、これら缶飲料の空き缶の一部が道路、海岸、河川敷等に散乱し環境美化の観点から問題となっている状況が続いています。全国の空き缶散乱の実態等を把握するため、昭和55年度以降調査を実施していますが、平成11年度に全国の約700市区町村について実施した調査の結果では、散乱状況に改善はみられず、特に国道等幹線道路、公園・広場等については悪化した状況にあります(表1-4-2)。
 空き缶散乱防止対策として、地方公共団体では、空き缶散乱防止に関する条例等の制定、投げ捨て防止のキャンペーン、清掃の強化等の取組を行っており、また、国では、「空き缶問題連絡協議会」における申合せに基づき、普及啓蒙活動の充実を図っているなど、それぞれの立場から様々な取組が行われていますが、根本的な解決には至っていません。

前のページ 次のページ