3 循環資源の適正な利用の推進
(1)使用済製品の再使用の推進
容器包装の再使用を促進するため、平成7年度から調査検討を開始しました。その結果を踏まえ、リターナブルびんの普及を図るため、その普及に向けた課題やその課題の解決に必要な対策について整理を行いました。
(2)回収・再生利用の推進
環境への負荷の低減のため、廃棄物の再生利用、再生資源の回収・利用を促進する必要があります。
平成3年10月に施行された「再生資源利用促進法*」に基づき、再生資源の利用を総合的かつ計画的に推進したところです。
産業構造審議会報告書「循環型経済社会の構築に向けて(循環経済ビジョン)」(平成11年7月)における従来のリサイクル対策の抜本的強化とリデュース・リユース対策の本格的導入が必要との提言を受け、「再生資源の利用の促進に関する法律」(再生資源利用促進法)を改正して「資源の有効な利用の促進に関する法律」(資源有効利用促進法)と改称し、1)事業者による製品の回収・リサイクルの実施などリサイクル対策の強化2)製品の省資源化・長寿命化等による廃棄物の発生抑制(リデュース)対策や3)回収した製品からの部品の再利用(リユース)対策(リデュース、リユース、リサイクル=3R)を網羅的に講じていくこととしました。
本法においては、廃棄物等の発生抑制の観点から、製品(自動車、家電製品、パソコン、ガス・石油機器等)の製造に使用される原材料の削減、耐久性の向上を図る設計、部品の統一化・共通化、使用段階における修理等による長期間の利用の促進などに事業者が取り組むことを義務付け、また副産物の発生抑制、産業廃棄物の最終処分量の削減に資するため、工場等で発生する副産物(スラグ、汚泥等)について、生産工程の合理化等による副産物の発生抑制対策と発生した副産物の利用促進によるリサイクル対策に事業者自らが計画的に取り組むことを義務付けることとし、平成13年4月の本法の施行に向け、政省令の整備など準備を進めました。
平成9年に改正された廃棄物処理法に基づき、一定の廃棄物の再生利用について、その内容が生活環境の保全上支障がない等の一定の基準に適合していることを国で認定し、認定を受けた者については業及び施設設置の許可を不要とする規制緩和措置が講じられ、これまでに廃ゴムタイヤ、建設汚泥及び廃プラスチック類がこの再生利用認定制度の対象となり、6事業者が認定を受けています。
また、「省エネリサイクル支援法*」に基づく、リサイクルを推進するための設備の導入、技術開発に関して、金融・税制上の特例措置を講じました。
さらに、毎年10月の「リサイクル推進月間」において、リサイクルに関する国民の理解と協力を得るため、広範な普及啓発活動を実施することとしており、平成12年度も、セミナーや各種シンポジウムの開催、リサイクル推進功労者の表彰等を行いました。
リサイクルに関する各種の調査研究や普及啓発の推進、民間団体によるリサイクル活動に対する地球環境基金を通じた支援を行いました。
さらに、廃棄物発電技術、ケミカルリサイクル技術等の広範な技術開発を行うとともに、各種の調査研究や普及啓発を推進したほか、廃棄物の再資源化を促進するため、(財)クリーンジャパンセンターの実証プラント設置、再資源化推進大会・再資源化貢献企業等表彰の実施等ポスター、パンフレットの作成配布の各種の再資源化事業に対する補助を行いました。さらに、「古紙リサイクル促進のための行動計画」(平成9年9月策定)の周知徹底・フォローアップを行うとともに、「使用済み自動車リサイクル・イニシャティブ」(平成9年5月策定)における使用済み自動車マニフェストの導入等を行いました。
古紙に関しては、そのリサイクルの促進を図るため、従来より再生資源利用促進法において紙製造業を特定業種として指定し、国内において製造される古紙利用率(紙の原料に占める古紙の重量の割合)についての目標を設定しています。平成12年10月、関係各界の有識者等をメンバーとする「古紙リサイクル推進検討会」を設置し、平成13年度以降の古紙利用率目標のあり方等について検討を行い、同12月に、報告書「今後の古紙リサイクルの向上に向けて」をとりまとめました。この提言を受け、平成13年度以降の次期古紙利用率目標に関して、「平成17年度までに古紙利用率を60%に向上する」こととしました。
自動車については、内外の情勢を踏まえ、産業構造審議会自動車リサイクル小委員会(現自動車リサイクルWG)において、リサイクルシステムのあり方について、その一層の高度化に向け法制化も視野に入れ、検討を開始しました(平成12年7月)。また、自動車リサイクルに関わる広範な関係団体の参加による(財)自動車リサイクル促進センターが設立されました(平成12年)。
各都道府県に設置されている「省資源・省エネルギー国民運動地方推進会議」を通じ、リサイクル活動団体への支援を行いました。
再生資源利用促進法
「再生資源の利用の促進に関する法律」平成3年4月26日法律第48号 事業活動における再生資源の利用を促進することを目的としている。
省エネリサイクル支援法
「エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法」平成5年3月31日法律第18号
地方公共団体における体制整備を推進するため、ごみの再資源化経路の構築や組織づくり等に関する事業に対して補助を行うとともに、5月30日から6月5日までの「ごみ減量化・リサイクル推進週間」を中心に、廃棄物の減量化や再生利用を促進するための各種啓発活動を行いました。
建設廃棄物等のリサイクル推進については、平成9年10月に策定された「建設リサイクル推進計画'97」に基づき、各施策を進めています。第一に、公共工事の発注者の責務の徹底を図るために行うべき事項について取りまとめた「建設リサイクルガイドライン」の徹底、研究・技術開発の推進、公共工事発注者間の連携を強化するための情報交換体制の強化、平成10年12月に策定した建設副産物適正処理推進要綱の周知・徹底等を図りました。
また、公共事業等におけるリサイクルの推進を図るため、平成11年度に構築した建設発生土の再生利用を促進するための情報交換システムを引き続き運用するとともに、建設汚泥のリサイクルを推進するため、平成11年10月に策定した「建設汚泥リサイクル指針」の周知・徹底を図りました。
また、「建設リサイクル法*」が平成12年5月31日に公布され、同年11月に一部施行されました。また、平成13年1月には、同法に基づく基本方針が策定されました。
食品の製造、流通、消費の各段階から生ずる加工残さ、食べ残し等の食品廃棄物等については、現在その大部分が焼却、埋め立て処理されている状況にありますが、国全体として循環型社会の形成に向けた取組が進められる中で、その再生利用等の促進等が急務の課題となっています。
このような状況を踏まえ、「食品リサイクル法*」が平成12年6月7日に公布されました。
同法においては、消費者、事業者、国、地方公共団体等食品廃棄物等に関わる各主体に対して、各主体の役割に応じた再生利用等の実施についての責務を定めるとともに、特に食品廃棄物等の再生利用等の推進に当たって大きな位置付けを占める食品関連事業者に対しては、具体的な基準に従った再生利用の実施を義務付けています。
下水道事業において発生する汚泥(発生汚泥等)については、コンポスト化、建設資材化による再生利用等を推進するとともに、再生利用推進のための各種調査研究等を行いました。
農業集落排水事業の実施においては、発生汚泥を有機質肥料等とするリサイクルなどを推進しました。
また、リサイクルの一層の促進を図るため、リサイクルに関連する経済的手法のあり方についての検討がそれぞれ進められました。
*建設リサイクル法
「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」平成12年5月31日法律第104号 建築物等の分別解体等及び再資源化等の義務付けや解体工事業者の登録制度を創設することなどを内容としている。
*食品リサイクル法
「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」平成12年6月7日法律第116号 食品に係る資源の有効な利用の確保及び食品に係る廃棄物の発生を抑制を図ること等を目的としている。
(3)容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の施行
平成12年4月から、「容器包装リサイクル法*」が完全施行され、それまでのガラスびん、ペットボトルに加えて、ペットボトル以外のプラスチック製容器包装並びに飲料用紙パック及び段ボール以外の紙製容器包装が新たに義務の対象とされるとともに、特定事業者の範囲も拡大されました。
容器包装リサイクル法は、一般廃棄物の大部分を占め(図1-4-4)かつ再生資源としての利用が技術的に可能な容器包装廃器物について、市町村による分別収集及び事業者による再商品化等を促進するもので、本法に基づいて、平成11年度においては、無色ガラス307,237t、茶色ガラス272,559t、その他ガラス134,084t、ペットボトル70,783tが再商品化されました。
また、近年、特に分別収集量が増加しているペットボトルについて、再商品化計画を実態に応じて見直しを行い、平成12年度の再商品化義務総量を増加させるとともに、平成13年度以降の再商品化計画についても改正を行い、併せて、市町村の作成する分別収集計画についても平成13年度以降の数値の見直しが行われました。さらに、循環型ペットボトルリサイクル技術(使用済みのペットボトルを再度ペットボトルの原料として利用する技術、いわゆるPETtoPET)を開発するため、技術開発を行いました。
平成12年7月には、容器包装リサイクル法の実施状況と問題点を整理し、改善方策の選択肢を提示することにより、今後の議論の方向を明確化することを目的として、「容器包装リサイクルシステム検討会」を開催し、検討を行いました。
産業構造審議会容器包装リサイクル小委員会においては、容器包装リサイクル法施行に伴う費用効果分析を行い、その結果を踏まえ、指摘事項について網羅的に整理・分析して、対応策を取りまとめました。
さらに、分別収集及び再商品化が円滑に進められるよう、市町村による分別収集計画の策定の支援、分別収集の手引きの作成、再商品化技術の開発、再商品化によって得られたものの需要の拡大、必要な調査研究説明会等により、容器包装リサイクル法の普及・啓発を行いました。また、効率的な分別収集に資するため、資源有効利用促進法に基づいて、平成13年4月から、紙製容器包装及びプラスチック製容器包装について識別表示を義務付けることとし、事業者にその早期実施を呼びかけるため、リーフレットを作成し、広く配布するとともに、事業者または事業者団体を対象とした説明会を開催しました。
また、再生資源利用促進法の改正(資源有効利用促進法に改称)に伴い、自動車や複写機などの個々の業種や製品の3R対策について産業構造審議会廃棄物・リサイクル部会で検討するとともに、パソコンの回収・リサイクルシステムのあり方について産業構造審議会パソコン3R分科会、厚生省パソコン等リサイクル検討会において、二次電池の回収・リサイクルシステムのあり方について経済産業省二次電池リサイクルシステム検討会、環境省パソコン等リサイクル検討会においてそれぞれ検討するなどした上で、関係政省令を整備するなど、平成13年4月の本法の施行に向け、準備を進めました。
こうしたこともあり、民間事業者の有する効率的な3R技術の実用化の促進を図るため、民間企業からの公募により選定されたすぐれた循環システムの実用化に向けた技術開発に対して補助をすることとし、平成12年度補正予算において、緊急性の特に高い分野である家電、自動車、繊維製品に関する実用化技術開発を実施しました。また、この他にも資源循環型住宅技術開発の推進、建築廃材・ガラス等リサイクル技術開発、電子・電気製品の部品等の再利用技術開発などの事業を推進しました。
*容器包装リサイクル法
「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」平成7年6月16日法律第112号
(4)特定家庭用機器再商品化法について
家庭から排出される廃家電製品等は、現在、その多くは破砕処理の後に鉄などの回収のみにとどまったリサイクルしか行われておらず、一部はそのまま埋め立てられています。わが国の廃棄物最終処分場の残余容量は一般廃棄物、産業廃棄物ともにひっ迫しており、廃棄物の減量化は急務の課題となっています。
このような状況を踏まえ、廃棄物の減量と再生資源の十分な利用等を通じて、廃棄物の適正な処理と資源の有効な利用を確保するため、市町村における廃棄物処理に関する技術及び設備に照らし高度な再商品化等(リサイクル)が困難なもの等の要件を満たすものを特定家庭用機器として指定し、これらの機器が廃棄物となったもの(特定家庭用機器廃棄物)について、小売業者による収集及び運搬、製造業者等による再商品化等を義務付けることにより、廃家電等の適切なリサイクル・処理を確保するため、平成10年6月、特定家庭用機器再商品化法が公布されました(図1-4-5)。同年12月には施行令が公布され、特定家庭用機器としてエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が指定されました。さらに、平成11年5月には同施行令が改正され、いわゆる再商品化率等が策定されました。また、同年6月には本制度にかかる基本方針が、平成12年2月、7月に同施行規則が公布、改正され、同年10月に関係告示が告示され、関係法令がすべて整備されました。
(5)リサイクル関連施設整備の推進
一般廃棄物について、循環型社会を目指し、21世紀初頭を目途に、廃棄物のほとんどすべてを、「単に燃やして埋める処理」から、極力リサイクルを推進し、焼却処理を行う場合においても熱エネルギーを活用するものへ転換を図ることとしています。このため、廃棄物の排出抑制・リサイクルに努めた後に、なお排出される可燃性のものについては焼却処理等を行うとともに、積極的に余熱利用を行うための施設整備を推進しました。
リサイクル関連施設については、ペットボトル等の容器包装廃棄物の再商品化、廃プラスチックの油化、焼却灰の溶融固化、余熱利用、廃棄物発電、ごみ固形燃料化等の普及・技術開発等を推進するとともに、「民活法*」等により、リサイクル関連施設の整備を支援しました。また、家畜排せつ物等の有効利用を促進するため、たい肥化施設等の環境対策施設の整備を推進しました。
建設廃棄物について、その処理施設の設置促進を図るため、環境事業団が行う建設譲渡事業の対象として、建設廃棄物処理施設を新たに追加しました。
また、食品廃棄物のリサイクルを推進するため、食品廃棄物リサイクル施設の整備の推進、食品リサイクル施設先進モデルの実証等を実施しました。
*民活法
「民間事業者の能力の活用による特定設備の整備の促進に関する臨時措置法」昭和61年5月30日法律第77号
(6)リサイクルにおける環境配慮
電気製品や自動車などの有害物質を含む使用済製品について、有害物質を含む部品の回収による有害物質のリサイクルの促進方策について調査検討を行いました。また、廃棄物の減量化及び環境への負荷の低減を図るため、リサイクルの促進に関する各種普及啓発事業及び調査研究を行うとともに、廃棄物のリサイクルについては、現在環境保全面からの適切な基準が設定されていないことから、廃棄物のリサイクルに係る環境保全上のガイドラインを策定するための調査を行いました。さらに、リサイクルが環境に与える影響を把握し、リサイクルされた原材料を使用した製品等に含まれる可能性のある有害物質等に関する情報の把握を行い、必要な施策を検討しました。
(7)ゼロ・エミッション構想の推進
地域における資源循環型経済社会構築の実現に向けて、ゼロ・エミッション構想推進のため「エコタウン事業」を実施しており、平成9年度の4地域(川崎市、長野県飯田市、岐阜県、北九州市)、平成10年度の3地域(福岡県大牟田市、札幌市、千葉県)、平成11年度の2地域(秋田県、宮城県鶯沢町)に加えて、平成12年度は北海道、広島県、高知県高知市及び熊本県水俣市の推進計画を承認し、それぞれの計画に基づくリサイクル関連施設整備事業等に対するハード面の支援、及び環境関連情報提供事業等に関するソフト面での支援を実施しました。
環境事業団では、循環と共生を基調とする地域づくりの実現に向けて、平成10年度に「ゼロ・エミッション団地」建設構想を具体化するための調査及び基本計画の作成を行い、これに基づき平成11年度から、神奈川県川崎市において異業種中小企業の連携・集団化等を通じて廃棄物再生・余剰エネルギーの有効利用、CO2排出削減等を総合的に推進する企業団地の建設譲渡事業を実施しました。また、平成12年度は、資源循環型経済社会の構築に向けた環境共生型企業団地の事業化可能性の調査研究を実施しました。
(8)FRP廃船の収集・再商品化等の推進
FRP(ガラス繊維強化プラスチック)船については、21世紀初頭に廃船時期を迎えるものが1万隻を超えることが予想されており、また、現在約14万隻ともいわれる放置艇の沈廃船化を未然に防止する観点から、低廉な廃船処理システムの確立が求められています。 このため、平成12年度から、ミレニアム・プロジェクトとして、経済性に優れ、かつリサイクル性にも配慮した「FRP廃船の高度リサイクルシステムの構築」プロジェクトを開始し、リサイクル技術確立のための実証研究等を実施しました。