3 地盤環境の保全
(1)地盤環境保全対策
ア 地下水保全対策等
地盤沈下の防止のため、工業用水法及び「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」(「ビル用水法」)に基づき地下水採取の規制が行われており、現在、両法によりそれぞれ10都府県、4都府県の一部が地域指定されています。また、多くの地域では地方公共団体の条例等に基づく規制のほか、工業用地下水採取の自主規制、使用合理化等行政指導を行うことにより地下水採取量の削減を図っています。
地下水採取量を削減するための代替水対策としては、代替水源を確保する事業、代替水供給事業が進められていますが、工業用水で特に対策の必要な地域については、地盤沈下防止対策工業用水道事業が進められています。
すでに著しく地盤が沈下している地域については、この結果生じた被害を復旧するとともに、洪水、高潮等による災害に対処するため高潮対策、内水排除施設整備、海岸保全施設整備、土地改良等の事業を実施しました。
また、雨水浸透ますの設置等、地下水かん養の促進等による健全な水循環を確保するための事業を国庫補助事業として実施しました。
イ 地盤沈下防止等対策要綱
地域の実情に応じた地盤沈下対策を総合的に推進するため、濃尾平野及び筑後・佐賀平野、関東平野北部にそれぞれ地盤沈下防止等対策要綱に基づいて、代替水源の確保等の各種の施策が推進されています。
ウ 調査研究等
地盤環境の保全のための調査としては、地下水揚水量等実態調査、市街化進展地域における地盤沈下危険度に関する調査研究、工業用地下水採取の自主規制を指導するための地下水利用適正化調査、工業用水の使用合理化のための指導調査、地下水の水位及び水質の観測等のための地下水保全管理調査、農地・農業用施設及び治水施設の復旧等の対策を検討するための地盤沈下調査等各種の調査を実施しました。
さらに、地下水採取の規制地域等の監視測定に必要な地盤高及び地下水位の変動状況並びに地質の調査に要する経費について地方公共団体に対して助成を行うとともに、地下水位等をリアルタイムで監視するためのシステムの整備を進めています。地盤沈下の実態把握のための水準測量、地下水揚水量等実態調査を実施しました。
また、地盤沈下の防止に向けた意識の啓発を図ることを目的として、地盤沈下や地下水位等の情報、地盤沈下の被害写真や地下水採取規制に関する条例等の情報等を整理した「全国地盤環境情報ディレクトリ」を環境省ホームページに掲載しています。
(http://www.env.go.jp/water/jiban/index.html)