2 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律の制定
(1)国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律制定の趣旨
循環型社会の形成のためには、再生品等の供給面の取組を強化することに加え、その再生品等に対する需要が確保されることが重要であり、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(以下「グリーン購入法」という。)」は、循環型社会形成推進基本法の趣旨に則り、需要面から循環型社会の形成に資するものとして平成12年5月に制定されました。
グリーン購入法は、国(国会、各省庁、裁判所、会計検査院)、政令で定める独立行政法人及び特殊法人(以下「国等の各機関」という。)の公的部門による環境物品等*の調達の推進、情報提供その他環境物品等への需要転換を促進するため、必要な事項を定めることにより、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会の構築を図ることを目的としています。こうした公的部門は、環境保全という公益実現に責任を有するとともに、国民経済の中で大きな購入主体であることから、率先して環境物品等の調達を進め、これを呼び水として我が国全体の需要を環境物品等へ転換していくことが期待されます。
*環境物品等
再生品等の環境への負荷の低減に資する物品又は役務
(2)グリーン購入法の概要
政府においては、平成7年度に策定した率先実行計画に基づきグリーン購入の推進に努めてきましたが、必ずしも十分な成果が上がっているとはいえません。このため、グリーン購入法では、 率先実行計画の経験を踏まえ、1)これまでの政府の各省庁に限られてきた対象機関を国会や裁判所、独立行政法人等に拡大、2)政府全体で数値目標を設定し、実績の取りまとめ等を行っていたものを、各機関がそれぞれ調達目標を設定して主体的に取り組み、毎年度着実な改善を図ることを促すような仕組みを設けました。
グリーン購入法の仕組みについては、図3-2-1のとおり、国等の各機関が環境物品等の調達を推進するに当たっての共通の基本ルールとなる「環境物品等の調達の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)」を策定することとしており、この基本方針については、平成13年2月2日に閣議決定されました。基本方針には、1)環境物品等の調達の推進の基本的方向、2)国等の各機関が重点的に調達を推進すべき環境物品等の種類(特定調達品目14分野101品目)及びその判断基準等、3)その他環境物品等の調達の推進に関する重点事項を定め、国等の各機関では、それぞれ毎年度、基本方針に即して環境物品等の調達方針を定めて公表し、当該調達方針に基づき、環境物品等の調達を行うこととなります。また、年度終了後には、国等の各機関は、調達実績を取りまとめ、公表するとともに、環境大臣に通知することとされています。
また、地方公共団体においては、毎年度、環境物品等の調達方針を作成して調達を行うよう努めることが定められています。
なお、環境物品等であるからといって、これを無駄に購入して消費・廃棄することは環境保全上、好ましくないことから、グリーン購入法では、環境物品等の調達を推進すべき国等及び地方公共団体に対しては、そのことを理由として物品等の調達量の増加をもたらすことがないよう配慮することを求めています。
グリーン購入のためには、その前提として、環境物品等の情報がこれを必要とする購入者に提供されること等が重要であることから、グリーン購入法では、1)物品の製造、輸入、販売等を行う事業者に対して、その製造等する物品等についての環境情報を適切な方法により提供するよう努める、2)環境ラベル等の情報提供の質的向上を図るため、第三者的立場から環境物品情報を提供する者は、科学的知見を踏まえ、国際的取決めとの整合性に留意しつつ、有効かつ適切な情報の提供に努める、3)国に対し、製造メーカー等や環境ラベル機関等による環境物品情報の提供状況について整理・分析し、その結果を提供することが求められています。
なお、グリーン購入法は、平成13年1月6日から施行していますが、国等の各機関や地方公共団体による調達方針作成等に関しては、会計年度に合わせて、平成13年度から施行されます。