1 率先実行計画の推進
(1)率先実行計画の概要
国は、行政の主体としての立場のほか、事業者・消費者として経済活動を行う側面をもっています。こうした事業者・消費者としての政府の経済活動に伴う環境負荷を自主的、積極的に低減させるため、環境基本計画に基づき、平成7年6月、「国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取組の率先実行のための行動計画(以下「率先実行計画」という。)」が閣議決定されました。
率先実行計画は、国の各行政機関自らが率先して環境保全に関する行動を実施し環境負荷を低減しようとするものであり、併せて、地方公共団体や事業者、国民が自主的、積極的に行動することを期待したものです。
この計画では、数量的目標を含む様々な取組や目標を定めていますが、そのうちの主な目標を表3-2-1に示します。
(2)平成12年度における主な取組
ア 各省庁における取組の実施状況
率先実行計画の実施状況については、各省庁が部局又は出先機関等適切な単位で把握したものを取りまとめ、環境白書等適切な方法により公表することとなっており、平成12年12月、平成11年度における各省庁の取組の実施状況を取りまとめ、公表しました。
これは、計画策定後、第5回目のものであり、用紙類の使用量など数値を伴う目標の実績数値のほか、計画に掲げた取組に関する各省庁の取組の実施状況を取りまとめたものです。その概要は、表3-2-2のとおりです。平成11年度の実績数値によれば、用紙類中の初めて使用する木材パルプの使用量や事務所の単位面積当たりの上水使用量については、平成12年度における目標数値の達成に向けて着実に進展しています。一方で、用紙類の使用量や各事務所から排出される廃棄物の量等のように増加傾向にあるものや、事務所の単位面積当たりの電気使用量のように平成7年度の数値を上回る数値で横ばいに推移しているものもあります。また、公用車のうち通常の行政事務の用に供するものに占める低公害車の割合については、平成11年度において伸びたものの、いまだ目標数値との乖離が大きい状況となっています。
また、平成12年度において各省庁が計画に基づき実施した取組の主なものは次のとおりです。
(ア)財やサービスの購入・使用に当たっての環境保全への配慮
物品等を調達する際には、推奨リストに係る個別製品リストや、エコマーク、グリーンマーク等各種環境ラベルを活用して、環境への負荷の少ない製品等を調達しました。特に、コピー用紙については、多くの省庁で古紙利用率100%、白色度70%程度以下の製品の調達が行われ、また、省エネルギー型のOA機器やトナーカートリッジ等についてはリサイクルのルートが確立している製品の調達を積極的に行いました。また霞が関WAN及び省庁内LANによる電子メールや電子掲示板等の利用によりペーパーレス化を推進しました。
さらに、低公害車の導入について、本年度の政府全体の導入実績は、電気自動車0台、天然ガス自動車18台、メタノール自動車1台及びハイブリッド自動車126台の計145台でした。
この他の取組としては、納入業者に対し過剰包装を見直すよう指導を行ったり、ペットボトルの再生繊維を使用した作業服や制服等の導入を行った省庁がありました。
(イ)建築物の建築、管理等に当たっての環境保全への配慮
インバーター制御機器・Hf型照明器具などの省資源・省エネルギー型の機器の採用を推進しました。また、自然エネルギーである太陽光を活用した発電システムやコージェネレーションシステム等環境負荷の低減に資する施設の導入を積極的に推進したり、また、敷地内・屋上の緑化を計画的に推進するとともに、その適切な維持管理を図りました。
この他の取組例としては、環境配慮型官庁施設(グリーン庁舎)の整備を推進した省庁がありました。
(ウ)その他行政事務に当たっての環境保全への配慮
昼休みの全館一斉消灯、事務室等の空調の適温化(冷房28度程度、暖房20度程度)、直近階への階段利用の奨励やエレベーターの間引き運転、共用自転車の活用などによる公用車の利用抑制や使用の効率化等の取組により、エネルギー利用の節約等を推進しました。また、各課室に分別回収ボックスを配置する等、事務室段階での分別回収を徹底するとともに、両面コピーの徹底等による廃棄物の減量化を推進しました。
(エ)環境保全に関する職員に対する研修等の実施
率先実行計画に関する地方職員等を対象とした説明会への積極的な参加や、初任者研修、各種会議等の場の活用による職員の環境保全に関する意識啓発を推進しました。また、ポスターの掲示、パンフレットの配付、電子掲示板の利用等による情報提供を行いました。この他の取組例としては、夏季における執務室での軽装の励行を行った省庁がありました。
イ 物品調達推奨リスト
関係省庁の物品等の調達に当たって参考とするための「物品等の環境負荷の少ない仕様、材質等に関する推奨リスト(以下「物品調達推奨リスト」という。)」に関しては、紙類(情報用紙、印刷用紙)、OA機器(コピー機)、公用車等(自動車)の3分野4品目についての環境配慮のための情報を示した分野別ガイドライン(平成10年1月環境基本計画推進関係省庁会議決定)に基づき、所定の条件を満たす製品を掲載した個別製品リストの第3版を平成12年9月に作成するとともに、インターネットを活用した情報提供システム(地域環境行政支援情報システム)による情報提供を行いました。