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第3節 

1 地域づくり等における様々な取組

(1)快適な環境(アメニティ)の確保

ア 地域づくりと快適な環境(アメニティ)
 地域づくりと快適な環境(アメニティ)について、様々なテーマから快適環境について考えるシンポジウムの開催、特色ある快適環境づくりを実践している市町村の表彰を引き続き行う。
 また、都市に関連する技術を複合・統合化し、現実の都市への適用を先導的に行い、次世代の都市システムとして社会的定着を図ることにより、新たな都市像・都市生活像を示す、次世代都市整備事業を推進する。同事業の自然エネルギー活用システムへの補助制度等を活用して、環境負荷の軽減、自然との共生、アメニティの創出という環境共生都市(エコシティ)理念を実現していく(環境共生モデル都市:いわき市等20都市)。省エネルギー化を図った施設建築物を整備する市街地再開発事業に対し特別な助成を行う再開発緊急促進事業を行う。また、下水道施設について、新世代下水道支援事業制度水環境創造事業等の事業を引き続き推進する。さらに、「環境共生住宅市街地モデル事業」についても、地球温暖化防止等の地球環境保全を促進する観点から、エネルギーの面で適切な配慮がなされるとともに周辺の自然環境等と調和し、健康で快適な生活ができるよう工夫された「環境共生住宅」の整備・促進を図る。
 ほ場整備による優良農地の確保、保全と併せて地域の活性化のため、換地の手法を活用し、公共用地や宅地等地域の多様な土地需要に対応した非農用地を創出するとともに、既存集落と一体的に生活環境を整備することにより、うるおいのある田園居住空間を創造する「農村活性化住環境整備事業」を実施する。
 また、農村地域で発生する生物系の廃棄物等の循環利用による適切な管理により、豊かで美しい農村環境を創造する「地域資源循環管理事業」を推進する。
 農業用水や農業水利施設が持つ景観形成、親水、生態系の保全などの地域用水機能の発揮に配慮した整備を行うことにより、都市住民にも開かれた豊かで潤いのある水辺空間を創出する地域用水環境整備事業を実施する。
 また、生態系の保全等に資する農業用水路等を子どもたちの遊び場、自然体験の場として活用する「あぜ道とせせらぎ」づくり推進事業を、文部省と連携して行う。

イ 良好な大気の確保
 快適な環境の確保の視点から、市民の大気環境保全への積極的な取組を促すため、全国星空継続観察、樹木の大気浄化能力調査等の市民参加型事業を行う。また、「残したい“日本の音風景100選”」事業のフォローアップ及び光害対策に向けた地域照明環境計画の策定の推進を図る。

ウ 良好な水域の生態系の確保
 水質汚濁防止法等による水質汚濁の防止に係る規制や、下水道等の事業や自然公園法等による排水規制を適切に推進し、水域における生態系を良好に確保する。
 住民が水辺環境に関心を持ち、生活の中で水と人との関係を考えていくことができる基盤づくりや、自発的に環境保全に参加できる環境づくりの施策を展開する。特に、小動物や植物が生息できる水辺環境の再生等水辺空間の再生・創造により、住民による自発的な水環境保全活動を支援する。
 河川の良好な自然環境を保全・復元するため、「多自然型川づくり」、「魚がのぼりやすい川づくり」等を推進する。
 また、自然と人間との豊かなふれあい・共生を確保するため、「ビオ・ハーモニー下水道」として生物の良好な生息環境に配慮した水量や水質の確保、生息空間整備等を図る下水道事業を推進する。

エ 景観保全
 美しい農山漁村創出連携促進事業の推進等により、景観形成活動、伝統文化継承活動等の住民主体の美しいむらづくりへの取組に対して、施設整備等を行う各種農林水産施策の連携により支援するとともに、国民に対する啓発普及活動を実施することにより、魅力のある農山漁村の景観形成を促進する。
 また、河川と一体となった景観の保全・創造のために、「マイタウン・マイリバー整備事業」、「ふるさとの川整備事業」等をそれぞれの地域において推進する。
 さらに、公共施設整備、市街地開発事業等を契機として、地方公共団体と地域住民とが協力して、地域の良好な景観形成を誘導するための良質な公共施設の整備を行うための助成制度の充実、地区計画等による地域内の建築物の形態等の規制を通じて、建築物と一体となった良好な景観を有する街並みの形成を推進する。

オ 歴史的環境への配慮
 各地域における快適な環境を確保するべく文化財(史跡、名勝、天然記念物)保護に係る各種制度を活用する。豊かな歴史的環境の確保・保全のため、史跡等の公有化及び整備・活用を推進する。また、天然記念物を直接観察し身近に触れることができるよう、天然記念物の学術的価値や現況等に応じた学習施設・観察施設等を整備し、地域づくり等を積極的に推進する。
 さらに宿場町や城下町等の伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため、平成12年度は950万円の補助金を計上して保存対策調査を実施する。我が国にとって価値が高いものとして選定されている重要伝統的建造物群保存地区において、8億2,000万円の補助金を計上して、伝統的建造物の保存修理、防災施設等の設置、建物や土地の公有化などの事業を進める。
 歴史的風土特別保存地区においては、土地の買入れ及び歴史的風土の保存のための必要な施設の整備を推進する。
 農村地域の水と土を中心とする地域資源を歴史的・文化的観点から再評価し、地域の特性を活かした伝統的農業施設、美しい農村景観等の保全・復元に配慮した整備(田園空間博物館の整備)等を行う「田園整備事業」を推進する。
 登録有形文化財等文化財としての価値を有する土地改良施設の補修等をその歴史的価値の保全に配慮しつつ行う。

(2)民間環境保全活動の促進

 全国各地において推進されているナショナル・トラスト活動は、国民自らが募金活動を通じて土地の買い取り等を行い貴重な自然環境等を保全していくもので、国民主体の自然保護活動として極めて有意義なものであり、引き続き普及啓発等の施策を通じその一層の推進を図る。
 自然公園における動植物の保護や美化思想の普及、事故の防止等利用の適正化のため、自然公園指導員を委嘱するとともに研修を実施し、利用指導の充実を図る。
 また、国立・国定公園の保護管理、利用者指導、自然解説活動を広く国民の参加を得て実施するため、ボランティアの養成及びその活動に対する支援を行うための公益信託自然保護ボランティアファンドの発展・充実に努める。
 一方、一般の森林利用者に対して、森林や林業に関する理解を深め、森林の案内や野外活動の指導を行う森林インストラクターを引き続き育成するとともに、その知識及び技能の向上を図る。
 「身近な生きもの調査(環境指標種調査)」を実施することにより、国民参加による身近な自然環境の状況の把握を行うとともに啓発普及を図る。
 漁場環境保全総合美化推進事業を通じ、ボランティア団体等が海や干潟等で行う海浜清掃等の支援を行う。

(3)都市と農山漁村の交流

 近年における緑や自然に対する国民のニーズの高まりを背景として、国民の健康的でゆとりある生活の実現に資するとともに、地域農産物の販売促進、雇用機会の確保等を通じて、農村の活性化を図るため、グリーン・ツーリズムを中心とする都市と農村の交流等を推進する。
 具体的には、都市側の条件整備として、都市ニーズの調査・分析を実施し、効果的な情報受発信手法を検討する一方、農村側の条件整備として、農家民宿に対する支援や文部省との連携による学童の短期・長期の農業・農村体験活動を推進するとともに、交流体制の整備として、消費者団体等の参加による都市農村交流協議会の設置等を行う。
 山村においては、国民が森林を活用して健康の維持・増進を促進するため、森林浴活動に適した森林の整備などを計画的に実施するほか、都市住民等の直接参加による森林づくりを推進するための基盤整備等を行う「森林総合利用森林整備促進対策」等を実施する。
 また、漁村においては、漁業体験活動を中心とした都市と漁村との交流推進等地域の活性化を図るための具体的な取組を支援する「都市漁村交流推進事業」を実施する。
 また、豊かな自然と景観に恵まれた漁港、漁村においては、都市住民等へ海と自然とのふれあいを提供するため、親水機能を有する護岸やキャンプ場等の整備を行う漁港交流広場整備事業や漁港における景観の保持や美化を図るため、植栽や親水施設等の整備を行う漁港環境整備事業を推進する。さらに、漁港内において新たに静穏水域を確保して漁船とプレジャーボート等とのトラブルを防止し、漁業生産活動の円滑化を図り、都市と漁村との交流促進を促す海洋性レクリエーション空間の創出に資する漁港利用調整事業(フィッシャリーナ整備事業)を推進する。また、プレジャーボート等の対策を図る漁港漁村活性化対策事業等を推進する。これらに加え、漁業と調和した健全な海洋性レクリエーションの発展を図るため、漁業関係者と遊漁船業者等との協議会の設置を促進するとともに海洋利用に関するルール・マナーの啓発を行う。また、地域の活性化を図るため沿岸域を熟知している漁業者自らが主体となって遊漁船業、ダイビング案内、釣り場等の管理運営等を行うことにより、良好な自然環境の保全を図りながら都市住民との交流を促進する。
 さらに、森林所有者と国民が共同で育成途上の森林を育てる分収育林等による森林の整備を推進するとともに、緑の募金及び緑と水の森林基金の助成による森林整備等に関する事業を実施する。

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