1 共通的な施策の展開
地域地域における多様な生態系の健全性を維持・回復するとともに、様々な場の中で自然と人間との豊かなふれあいを保ち、自然と人間との共生を図るため、国土空間の自然的社会的特性を踏まえつつ、以下のような施策を実施した。
(1)原生的な自然の保全
ア 原生自然環境保全地域の保全
人の手が加わっておらず、原生の状態が保たれている自然環境の保全を図るため、国は、自然環境保全法に基づき、原生自然環境保全地域を指定することとされている。平成11年度末現在で、遠音別岳、十勝川源流部、大井川源流部、南硫黄島及び屋久島の5地域が指定されている。
イ 世界遺産地域の保全
世界遺産一覧表に記載された、屋久島、白神山地について平成7年に策定された管理計画に基づき、入山者の急増に対応した保全対策を講じるなど、引き続き適切な保護・管理を行った。屋久島では世界遺産センターにおいて、遺産地域の管理、調査研究等を行った。また、白神山地では、青森県側の世界遺産センター(西目屋館)において遺産地域の管理、調査研究等を行い、秋田県側の世界遺産センター(藤里館)において普及啓発等を実施した。
ウ 自然公園の特別保護地区の保全
国立・国定公園の景観を維持するため、特に必要があるときは、その区域内に国は特別保護地区を指定することができるとされており、平成11年度末現在で、国立公園内に265,509ha、国定公園内に66,490haが指定されている。
エ 森林生態系保護地域の保全
主要な森林帯を代表し、又は地域特有の希少な原生的な天然林を保存するため国有林野内に設定した森林生態系保護地域の適正な保護・管理を行った。平成11年度末までに26か所、約32万haが設定されている。
(2)すぐれた自然の保全
ア 自然環境保全地域の保全
自然環境の保全を図るため、国は、自然環境保全法に基づき、原生自然環境保全地域以外の区域で、自然的社会的条件から見て自然環境を保全することが特に必要な区域を自然環境保全地域として指定することとされており、平成11年度末現在、10地域が指定されている。
また、都道府県においても、条例に基づき、周辺の自然的社会的条件から見て当該自然環境を保全することが特に必要な地域を、都道府県自然環境保全地域として指定することができることとされており、平成11年度末現在、524地域が指定されている(2-1-1表)。
イ 自然公園の指定、公園計画の見直し
(ア)自然公園の指定
自然公園には、我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地を指定する国立公園、国立公園の風景に準ずる優れた自然の風景地を指定する国定公園、都道府県の風景を代表する風景地を指定する都道府県立自然公園がある。指定された自然公園は、自然環境の保全に資するとともに、野生体験、自然観察や野外レクリエーション等の自然とふれあう場として重要な役割を果たしている。
平成11年度末現在、我が国の自然公園は、28の国立公園(約205万ha)、55の国定公園(約134万ha)及び307の都道府県立自然公園(約196万ha)からなり、その合計面積は約535万haで国土面積の14%を占めている(2-1-1図及び2-1-2表)。
(イ)海中公園地区の指定
海中公園制度は、海中の景観を維持するため、環境庁長官が国立・国定公園の海面の区域内に海中公園地区を指定し、必要な規制を行うとともに、その適正な利用を図るものである。
平成11年度末までに、国立公園に32地区、国定公園に31地区、合計63地区2,549.8haの海中公園地区が指定されている。
(ウ)公園区域及び公園計画の見直し
自然公園の適正な保護及び利用の増進を図るため公園計画を定めることとされているが、国立公園を取り巻く社会条件等の変化に対応するため、公園区域及び公園計画の全体的な見直し(再検討)を行っている。また、再検討が終了した公園については、おおむね5年ごとに公園区域及び公園計画の見直し(点検)を実施することとしている。
平成11年度には、日光国立公園(那須甲子・塩原地域)、富士箱根伊豆国立公園(箱根地域)、陸中海岸国立公園及び伊勢志摩国立公園の点検を行った。また、国定公園の公園計画についても、国及び都道府県において再検討及び点検を進めている。なお、都道府県立自然公園は、公園計画が定められていない公園があるため、公園計画を定めるよう指導を行った。
(エ)乗入れ規制地域の指定
近年普及の著しいスノーモービル、オフロード車、モーターボート等の乗入れによる植生や野生生物の生息・生育環境への被害を防止するため、国立・国定公園の特別地域のうち環境庁長官が指定する区域において、車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させることが規制されている。
平成11年度末までに国立公園に28地域、国定公園に14地域の合計42地域23万8,770haの乗入れ規制地域が指定されている。
ウ 自然公園における自然保護
(ア)自然公園における風致景観の保護
a 自然公園における行為規制
自然公園内には、風致景観の保護のため、特別地域、特別保護地区及び海中公園地区が指定されている(2-1-2表)。これらの地域において各種行為を行う場合は、環境庁長官又は都道府県知事の許可が必要であり、その際、「国立公園内(普通地域を除く。)における各種行為に関する審査指針」の適用等により、風致景観の適正な保護に努めている。国立公園内の特別地域及び特別保護地区における各種行為の許可申請のうち環境庁長官の権限にかかる件数は2-1-3表のとおりである。また、普通地域においても一定の行為は環境庁長官又は都道府県知事への届出を要することとしている。
なお、普通地域内におけるゴルフ場造成については指導指針を定め、風景の適正な保護に努めている。
b 風致景観の管理手法の検討調査
自然公園の風致景観の核心部を構成する貴重な自然を有する地域の保護管理を図るため、地域特有の生態系に変化をもたらす要因の解明調査等を行い、保護管理手法の樹立に努めている。平成11年度は、西表国立公園の仲間川マングローブ林被害防止対策に関する調査等を実施した。
(イ)自然公園における環境保全対策
a 保護施設の補助対象事業化
国立・国定公園内の植生、動物、自然景観等の保護、復元等を目的とした保護施設の整備を図るため、平成8年に自然公園法施行令を改正し、新たに植生復元施設、動物繁殖施設、砂防施設及び防火施設の4種を都道府県への補助対象に加え、整備を行った。
b 美化清掃事業
自然公園の利用者のもたらすゴミは、単に美観を損ね、悪臭の発生などの環境汚染を引き起こすだけでなく野生生物の生態にも悪影響を及ぼすことがある。そこで、特に利用者の多い国立公園内の主要な地域の美化清掃を積極的に推進するため、現地における美化清掃団体の育成強化を図り、それらの団体が行う清掃活動事業に対し補助等を行った。
また、8月の第1日曜日を「自然公園クリーンデー」とし、関係都道府県等の協力の下に全国の自然公園で一斉に美化清掃を行った。
c 特殊植物等の保全事業
国立公園内に生育している貴重な植物で、その生育環境と一体的に保護する必要のあるものの保全対策を総合的に実施するため、尾瀬湿原(日光国立公園)について、植生復元等を実施し、南八甲田櫛ヶ峰(十和田八幡平国立公園)の植生復元等に要する経費を関係地方公共団体に対し補助した。
d オニヒトデ等駆除事業
国立公園の海中公園地区のサンゴ礁景観を保護するため、異常発生しているオニヒトデ及びシロレイシガイダマシ類の駆除を行い、国定公園の海中公園地区においては、駆除に要する経費を関係地方公共団体に対し補助した。
e 自動車利用適正化対策
自然公園内の優れた自然環境を有する地域への自動車乗り入れの増大により、植生の損傷、快適・安全な公園利用の阻害等自然公園の保護と利用両面にわたる種々の弊害が生じているため、国立公園内における自動車利用適正化要綱に基づき、自家用車等に代わるバス運行等の対策を講じている。
f 特定国立公園重点管理等事業
国立公園内の貴重な生態系の適正な保護を図るため、吉野熊野国立公園大台ヶ原のトウヒ林及び利尻礼文サロベツ国立公園のサロベツ原野の保全対策等の事業・調査を継続した。
また、知床国立公園及び中部山岳国立公園白馬地域等において、関係森林管理署の協力を得て重点管理事業を実施した。
(ウ)管理体制の強化
国立公園の管理については、国立公園・野生生物事務所等を各国立公園に設置し、地方公共団体、民間団体の協力を得て、その適正を期しているが、近年の国立公園を取り巻く諸情勢の変化に対処するため、平成11年度も以下のような地域の特性に応じた管理体制の強化に努めた。
a 国立公園・野生生物事務所等
国立公園内における風致景観を保護管理し、公園事業者に対する指導、公園利用者への自然解説等広範囲な業務を行うため、国立公園・野生生物事務所を置くとともに、国立公園管理官を公園の各地区に配置している。平成11年度末現在の国立公園管理官定数は172人である。
また、各公園ごとに地域の実情に即した適切な管理を行うため、管理計画を作成しており、平成11年度は阿寒国立公園等6公園6地域について管理計画を作成した。
b 民間団体の活動
? (財)自然公園美化管理財団は、自然公園の美化清掃、公園施設の維持管理、自然保護思想の教化普及等の事業を中部山岳国立公園上高地地区、十和田八幡平国立公園八幡平地区等21支部(事業所)において実施した。
? 公益信託自然保護ボランティアファンドは、自然公園の美化清掃、動植物の保護・調査、自然解説などの活動を行っているボランティア14団体に対する助成を実施した。
(エ)自然保護のための民有地買上げの推進
国立・国定公園内の風致景観の維持並びに国設鳥獣保護区内の野生鳥獣の保護及び生息地等保護区内の国内希少野生動植物種の保護とこれらの地域における民有地の所有者の有する私権との調整を図るため、都道府県が行う買上げについて、補助を行っている。
過去5か年の実績は、2-1-4表のとおりであり、これまで68地区7,746ha(事業費133億99百万円)が買い上げられている。
エ 生息地等保護区
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下「種の保存法」という。)に基づき国内希少野生動植物種の生息・生育地として重要な地域である生息地等保護区の指定を進めることとしている。
平成12年3月末現在7の生息地等保護区が指定され、生息・生育状況調査や巡視等の管理業務が行われている。
オ 鳥獣保護区
鳥獣の捕獲を禁止し、生息環境の改善に努めるなど、鳥獣の保護を図る地域として鳥獣保護区を設定し、さらに必要に応じて特別保護地区を指定することとしている。平成11年11月末現在、54の国設鳥獣保護区(49.3万ha)、3,804の都道府県設鳥獣保護区(307.4万ha)が設定されており、その合計面積は356.7万haで国土面積の9.4%を占めている。また、42の国設鳥獣保護区と563の都道府県設鳥獣保護区に合計25.7万haの特別保護地区が指定されている。
カ 史跡、名勝、天然記念物
動植物種及び生態系を中心とした我が国を代表する自然を保全するため、古墳、貝塚、城跡等の遺跡で歴史上又は学術上の価値の高いものを史跡に、庭園等の名勝地で芸術上又は観賞上価値の高いものを名勝に、動植物、地質鉱物等で学術上価値の高いものをそれぞれ天然記念物に指定し、現状変更等には、文化庁長官の許可を要することとしている。平成12年1月1日現在の指定件数は、史跡1,404件(うち特別史跡57件)、名勝265件(うち特別名勝28件)、天然記念物919件(うち特別天然記念物72件)である。また、史跡等の保存上、特に必要がある場合は公有化を図るとともに、当該史跡等の活用を図るため、整備等の保護事業を行った。さらに、近年の国土開発の進展による天然記念物の減少に対処するため保護増殖事業を実施した。
キ 保安林等
保安林について、優れた自然環境の保全を含む公益的観点から計画的な配備、適正な管理等を行っている。さらに国有林野においては、貴重な野生動植物の生息地又は生育地の保護、その他の自然環境の保全に配慮した管理を行う必要がある国有林の区域を森林生物遺伝資源保存林、植物群落保護林、特定動物生息地保護林等の保護林に設定し、その適切な保護管理を行った。平成11年4月1日現在までに812か所、約51万4千haの保護林が設定されている。
ク 都市の緑地保全
都市の緑地を保全するため、都市緑地保全法に基づき、緑地保全地区の指定を推進し、また、地方公共団体による土地の買入れ等を推進した。
また、首都圏近郊緑地保全法及び近畿圏の保全地域の整備に関する法律に基づき指定された近郊緑地保全区域において、特に枢要な部分を構成している緑地については、近郊緑地特別保全地区の指定を推進するとともに、地方公共団体による土地の買入れ等を推進した。
さらに、風致に富むまちづくり推進の観点から、風致地区指定の推進を図った。
ケ ナショナル・トラスト運動による保全
募金活動等を通じた幅広い国民の自主的参加により良好な自然環境地等の取得、管理を行い、保全を図ろうとするナショナル・トラスト活動は、現在、和歌山県田辺市の天神崎を始めとして全国各地において推進されている。
こうした活動は国民自らの手による自然保護活動として極めて有意義なものであり、さらに普及、定着していくことが期待される。
このため、平成11年度には、ナショナル・トラスト活動の普及のための小冊子を作成するなど同活動の普及啓発の施策を講じた。また、(社)ナショナル・トラスト協会が第17回ナショナル・トラスト全国大会を神奈川県鎌倉市で開催し、ワークショップ、シンポジウム等を通じて活動の趣旨の一層の周知を図った。
(3)自然とのふれあいの確保
ア 利用のための施設の整備
(ア)国立・国定公園の利用施設
a 自然公園核心地域総合整備事業(緑のダイヤモンド計画)
国立・国定公園の核心となる特に優れた自然景観を有する広域な地域において、自然の保全や復元のための整備を一層強化するとともに、高度な自然学習や自然探勝のためのフィールドの整備を十和田八幡平国立公園八幡平地域等8地域において整備を進めた。
b ふれあい自然塾
国立・国定公園において、大自然の中での暮らし、学び、冒険を通じて自然や地域との共生を体験するための参加・自主活動型の自然教育の拠点を、大雪山国立公園十勝三股地区、富士箱根伊豆国立公園田貫湖地区及び金剛生駒紀泉国定公園堀河地区において整備を進めた。
c エコ・ミュージアム整備事業
国立・国定公園の主要利用拠点において、子供たちがいきものや自然の植生などとふれあい自然を学ぶことができる、自然ふれあい体験のための中核施設(エコ・ミュージアム)の整備を、霧島屋久国立公園えびの地区他5地域において進めた。
d 環境共生推進特別整備事業(共生プラン21)
自然公園等において、二酸化炭素の吸収源である植生の復元、ソーラーや自然エネルギーを利用した地球環境に優しい施設の整備を推進した。
e エコロジーキャンプ整備事業
国立・国定公園の中で家族が長期滞在し、自然とのふれあいができる環境にやさしいキャンプ場の整備を引き続き実施した。
f 基幹整備
国立・国定公園において、自然環境の保全に配慮しつつ、自然とのふれあいを求める国民のニーズにこたえ、安全で快適な利用を推進するため、歩道、野営場、園地、公衆トイレ等利用の基幹となる施設を整備した。特に、公衆トイレや野営場のうち、緊急に改善を要する施設についての再整備を引き続き実施した。なお、平成11年度における国立・国定公園の利用施設の整備状況は2-1-5表のとおりである。
(イ)国民休暇村
国立・国定公園の自然環境の優れた休養適地に、低廉で快適な宿泊施設を始め、自然に親しむための各種の施設を総合的に整備するものであり、平成12年3月末現在、35か所が利用されている。
これらの施設のうち、園地、歩道、野営場等の公共施設については、国又は地方公共団体が整備し、宿舎、ロッジ、スキーリフト等の有料施設については(財)国民休暇村協会が整備、運営している。
国民休暇村の年度別利用者数の推移は2-1-6表のとおりである。
(ウ)ふるさと自然ネットワーク
自然豊かな地域を訪れ、自然の中で充実した時間を過ごしたいといった国民のニーズにこたえるため、トンボやホタルなどの小動物が生息する身近な自然環境を保全活用し、いきものとふれあい自然の中で憩うことのできる場づくりを推進している。多様なメニューの中から地域のニーズにマッチした事業(?ふるさといきものふれあいの里、?ふるさと自然のみち、?ふるさとふれあい水辺、?ふるさと自然塾(平成11年度新規)、?ふれあい・やすらぎ温泉地)を選定し、整備するものである(2-1-7表)。
平成11年度は新規8か所、継続6か所において整備を実施した。
(エ)長距離自然歩道
国民が自らの足で自然や史跡などを訪ねることにより、健全な心身を育成し自然保護に対する理解を深めることを目的とし、自然公園や文化財などを有機的に結ぶ長距離自然歩道の整備を進めている。四季を通じて、安全で快適に利用できるよう配慮しつつ整備を行っており、平成12年3月末現在計画総延長は約2万1,000kmに及ぶ。
平成11年度は、引き続き中部北陸自然歩道の整備及び近畿自然歩道の整備を行った。また、老朽化した東海、九州、中国、四国及び首都圏の各自然歩道の施設について再整備を行った。
なお、平成10年における利用者数は、3,871万人に達した。概要は2-1-8表のとおりである。
(オ)ふるさと自然公園国民休養地
都道府県立自然公園内において、都市住民が積極的に自然に働きかけより深く自然とふれあうことで、自然と人間との調和の在り方を身につけることに重点を置いて整備する地域であり、博物展示施設(ふるさと自然公園センター)、園地、野営場、歩道等必要な施設の整備を行っている。平成11年度は3地区において整備を行った。
(カ)国民宿舎、国民保養センター
国民宿舎は、自然環境に恵まれた休養適地における、国民の低廉かつ快適な宿泊休養を目的とした施設であり、国民保養センターは、自然公園等の休養適地に主として地域住民の日帰りレクリエーション活動と保健休養を目的とした施設である。
それぞれの年度別利用者数等の推移は2-1-9表、2-1-10表のとおりである。
(キ)保健保安林、レクリエーションの森
主として都市近郊等における、生活環境保全機能及び保健休養機能の高い優れた森林である保健保安林等の安全快適な利用の促進を図るための施設整備につき助成等を行ったほか、環境保全保安林整備事業を推進した。また、国民が自然に親しめる森林環境の整備を行う森林空間総合整備事業等につき助成した。
国有林野については、自然休養林等のレクリエーションの森において、森林及び施設の整備等を行うとともに、利用者にレクリエーションの森の整備等への協力を求める「森林環境整備推進協力金」制度を推進した。
また、スポーツ施設、保健休養施設等の総合的な整備により、人と森とのふれあいの場を創造し、併せて地域の振興等に資するヒューマン・グリーン・プランを積極的に推進するとともに、家族等が気楽に自然とふれあえる場を提供する「森林ふれあい基地づくり整備モデル事業」を推進した。
また、国有林野を国民の利用に積極的に供するため、公衆の保健の用に供するための計画制度を推進した。
(ク)滞在型森林健康促進対策等
国民が森林を活用して健康の維持・増進を図る地域づくりを促進するため、森林浴活動に適した基盤の整備などを計画的に実施する「滞在型森林健康促進対策」のほか、都市住民等の直接参加による森林づくりを推進するための基盤整備等を行う「森林林業市民参加促進対策」等を実施した。
また、自然との共生等の理解の醸成を図るため、構想の段階から地域住民の積極的参加の下、多様な体験・学習の基盤となる森林等の整備を行う「自然との共生の森整備特別対策」を実施した。
(ケ)家族キャンプ村
国民の自然志向の高まりと観光レクリエーション需要に対応して、地域住民が手軽に利用できる低廉なオートキャンプ施設を中心とした観光基盤施設であり、自然環境保全に十分配慮しつつ整備を行うことにより、人々と豊かな自然との触れ合いの場を確保するとともに地域振興に資するものである。平成11年度は6地区の整備を行った。
(コ)少年自然の家
少年を自然に親しませ、集団宿泊活動を通じてその情操や社会性を豊かにし、心身を鍛練し、もって健全な少年の育成を図るための社会教育施設である。国立少年自然の家については、全国14か所に整備されており、平成11年度は施設の整備や事業の充実を図った。
(サ)天然記念物整備活用事業
天然記念物の保全について国民の理解を一層深めるため、その学術的価値や現況等に応じた学習施設・観察施設等を整備する天然記念物整備活用事業を実施してきたところであるが、平成11年度においては、埼玉県比企郡滑川町、島根県邑智郡瑞穂町及び徳島県麻植郡美郷村で本事業による整備を行い、平成12年度から供用されることとなっている。
(シ)白砂青松の復元、エコ・コースト事業、海と陸と緑のネットワーク事業
自然にふれあう快適な空間の整備として、海水浴、森林浴を同時に楽しめる白砂青松の復元を実施した。
また、生物の生息・繁殖場所となる砂浜、干潟などの保全や創出を行うエコ・コースト事業を32か所で、陸域から海岸域までのビオトープを形成するための海と陸の緑のネットワーク事業を3か所で実施した。
イ 自然解説活動等の展開
人々の自然への理解を深め、自然に対する愛情とモラルを育成するため、ビジターセンターや自然研究路等の施設を活用し、以下の行事を通じ、自然教育を積極的に推進した。
? 4月29日の「みどりの日」に新宿御苑や全国の国立公園等で「自然とふれあうみどりの日の集い」を実施した。
? 7月21日から8月20日の「自然に親しむ運動」の期間中に、全国の自然公園等で自然観察会等の自然とふれあう各種行事を実施した。なお、その中心行事として玄海国定公園(佐賀県鎮西町)において、第41回自然公園大会を開催した。
? 10月を「全国・自然歩道を歩こう月間」とし、47都道府県の自然歩道において「全国・自然歩道を歩こう大会」を実施した。
また、そのような活動に協力するボランティアの育成とその活動支援を行う「パークボランティア活動推進事業」を全国23国立公園35地区で実施するとともに、自然解説活動における指導者育成のための「自然解説指導者育成事業」を実施した。一方、自然公園における動植物の保護や美化思想の普及、事故の防止等利用の適正化のために委嘱している自然公園指導員に対する研修を実施し、利用者指導の充実を図った。
平成11年度からは、全国の国立公園等において、国立公園管理官等の指導・協力の下、小中学生に国立公園等のパトロールやマナーの普及、自然環境の維持・復元活動等を行うプログラムを提供している。
さらに、公益信託自然保護ボランティアファンドの発展・充実に努めた。
一方、一般の森林使用者に対し、県民の森や森とのふれあいの施設において、森林体験ツアーを始め各種の森林、林業解説活動を展開した。
国有林野においては、森林教室、体験セミナー等を通じて、森林とのふれあいを楽しみながら理解を深める森林倶楽部(森林ふれあい推進事業)等を実施した。
(4)森林、農地、水辺地等における自然環境の維持・形成
ア 森林
(ア)森林計画
森林の有する諸機能を総合的かつ高度に発揮させるため、全国158の森林計画区のうち31計画区において民有林・国有林の連携を図りつつ、民有林については地域森林計画の樹立につき指導助成するとともに、国有林については国有林の地域別の森林計画を樹立した。
また、市町村森林整備計画の樹立及びこれに即した計画的な森林整備等の推進につき指導助成した。
さらに、持続可能な森林経営に関する基準・指標に係るデータ等を把握するとともに、その変化を継続的にモニターし、持続可能な森林経営の推進及び地域森林計画等の樹立に資するため、森林資源モニタリング調査を新たに実施した。
(イ)林地開発許可制度
林地開発許可制度の適正・円滑な運用を図るため、都道府県知事が行う許可処分及び連絡調整に必要な審査、監督等につき助言、助成した。
(ウ)保安林
山地災害防止、水源のかん養、自然環境の保全・形成、保健休養の場の提供等の森林の有する公益的機能を高度に発揮させるため、保安林整備計画に基づき、特定保安林の指定を行い、また、保安林の適正な維持管理に努めた。なお、保安林の指定面積は平成9年度末で約927万haである。
(エ)森林整備事業
水土保全機能の高度発揮、森林と人との共生の促進等を基本方針とした第二次森林整備事業計画に基づき、森林整備事業を計画的かつ着実に推進した。
また、良好な自然環境への要望の高まり等森林に対する国民のニーズの多様化・高度化に対応し、景観、生態系等に配慮した工法や森林整備等を総合的に実施する事業等を行った。
(オ)森林の保全管理
森林病害虫等防除法等に基づき、森林病害虫等の防除等を実施した。特に、松くい虫被害対策については、環境の保全に配慮しつつ、各種防除措置等を総合的に実施した。このほか、保全管理水準の維持・向上を図るべき森林について、森林保全推進員等による森林パトロールや林野火災予防資機材の配備等の保全管理活動、防火森林、防火林道の整備について助成するとともに、全国山火事予防運動の実施等啓発活動を推進した。
国民参加による森林づくりを図るため、分収林制度を積極的に推進した。また、「緑と水の森林基金」を活用し、国民の期待にこたえた森林資源の整備、利用等に関する総合的な調査研究、普及啓発等を実施した。
国有林野については、平成10年10月に成立した国有林野事業改革関連法に基づき、公益的機能の維持増進を旨とした管理経営へ転換することとし、これまで国有林全体の5割を占めていた木材生産林を資源の循環利用林として2割に縮小する一方、山地災害の防止、水源のかん養等の機能を第一に発揮する森林を水土保全林に区分し、森林生態系の保全、保健文化等の機能を、第一に発揮する森林を森林と人との共生林に区分し、これらをいわゆる公益林として8割に拡大し、林木だけでなく下層植生や動物相、表土の保全等森林生態系全般に着目した森林施業を行うこととした。
イ 農地
環境保全、自然に恵まれた美しい景観の提供といった農業・農村の持つ公益的機能を発揮させるという観点から適切な形での農地等の維持・形成を図っている。ため池等の周辺において生態系空間(ビオトープ)を保全する事業や生活環境の整備等を生態系の保全に配慮しながら総合的に行う事業等に助成し、多様な生物相と豊かな環境に恵まれた農村空間(エコビレッジ)の形成を促進するほか、農村地域に存在する生物の生息・生育地(樹林、池等)と農業用施設とのネットワーク化等、生物多様性を確保するための手法開発を進めた。
土地改良施設や地域住民の保全活動を推進していくための調査研究、人材育成などを都道府県に基金を造成し支援するほか、農村地域の美しい景観や環境を良好に整備、管理していくために、地域住民、地元企業、地方公共団体等が一体となって身近な環境を見直し、自ら改善していく地域の環境改善活動(グラウンドワーク)の推進を図るための事業を行った。
また、自然環境の維持・形成に資するため、農業集落排水事業を促進するとともに、地域の実情に応じ、特定環境保全公共下水道等の整備を進めた。
農業においては、農業が本来有する自然循環機能が十分に発揮され、農業の持続的な発展が図られるよう、たい肥等を活用した土づくりと化学肥料・農薬の使用の低減を一体的に行う農業生産方式の普及・浸透を図るため、第145回国会において成立し、10月25日に施行された「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」に基づく支援措置とともに、先導的な地区の取組に対する支援、たい肥化施設の整備等により、持続性の高い農業への総合的な転換を促進した。
市街化区域内農地のうち、生産緑地地区に指定されたものについては、緑地としての機能が維持されるよう適正な保全を図ったほか、都市住民の交流の場としての活用を図るため、市民農園整備事業等により市民農園の整備を推進した。
ウ 水辺地等
地域住民が身近に水に接する場である水辺地においては、排水規制、浄化施設の整備等従来からの水質保全施策に加え、住民が水辺環境に関心を持ち、生活の中で水と人との関係を考えていくことができる基盤づくりや、自発的に環境保全に参加できる環境づくりの施策を展開した。特に、カエルやメダカ等の動物やヨシ等の植物が生息できる水辺環境の再生や、水質の悪化等が懸念される水辺について従来の形への復元等水辺空間の再生・創造により、住民による自発的な水環境保全活動を支援した。
さらに、自然と共生し、海域及び内水面において、生態系に配慮した漁場、海岸等の環境の維持・修復及び創造を進めるための基本構想(「マリン・エコトピア21」構想)に基づき、関連対策事業を計画的かつ総合的に実施するための全体計画を策定した。
また、全国的にみて特に優れた水浴場を選定し顕彰した「日本の水浴場55選」(平成10年3月選定)について、ポスター・パンフレットの配布等による「日本の水浴場55選」の普及・啓発に努めた。
さらに、水浴場及びその周辺地域などにおいて、自然環境を学習・体験する施設や水質浄化施設等を整備することにより、優れた水環境を維持・創出し、水や水辺の豊かな自然と人とのふれあいを促進する目的で創設した「ふるさとふれあい水辺整備事業」について、平成11年度は新規2か所(新潟市、宮崎市)と継続1か所(北九州市)において事業を実施した。
(5)自然的環境の整備
ア 都市における緑地の整備等
市町村による「緑の基本計画」の策定を通じた総合的かつ計画的な緑地の保全及び緑化を推進するとともに、公共空間における緑のストックの増加、公共公益施設等における高木植樹の推進を図った。
また、土砂災害に対する安全性を高め緑豊かな都市環境と景観を創出するため、「都市山麓グリーンベルト整備事業」を実施し、無秩序な市街化の防止や都市周辺に広がる緑のビオトープ空間の創造を図った。
イ 都市公園等
第6次都市公園等整備7箇年計画の4年度として都市環境の保全・改善や自然との共生、広域的なレクリエーション活動や個性ある都市・農村づくり等への対応に重点をおいて、事業費3,703億2,600万円をもって、都市公園整備事業の積極的推進を図った。
国営公園については、全国16か所において整備を進めた。
快適な都市環境の形成や、多様な生物の生育・生息地の確保を図るため、都市内の河川水路等の水辺空間と一体となって形成する水と緑のネットワークの拠点となる公園緑地の整備、緑の基本計画に基づき、まちの顔となるような地区において緑化を実施する緑化重点地区整備事業、地域レベルでの市民の環境活動や指導者の育成などの拠点となる環境ふれあい公園の整備等、各種施策に応じた都市公園等の整備を積極的に推進した。また、生態系の保全に係る水と緑のネットワーク(生態系保全ネットワーク)の整備について、関連事業との連携を強化しより効果的な事業の展開を図った。
ウ 国民公園及び戦没者墓苑
旧皇室苑地の皇居外苑、新宿御苑及び京都御苑は国民公園として、昭和46年度以降は環境庁が管理し、広く一般に利用され親しまれている。
皇居外苑(北の丸地区を含む。)は114.9haの面積を有し、そのうち、皇居前広場はクロマツと芝生を中心として、北の丸地区は森林公園として整備されている。また、新宿御苑は明治時代における代表的庭園であり、全体的には近代西洋庭園ということができる。58.3haの苑内には1,500本の桜樹のほか、全苑にわたり花を観賞できるよう花木が整備されており、年間約100万人の入園者が訪れている。さらに、京都御苑は京都市のほぼ中心に位置し、南北に1,300m、東西に700mの長方形をした敷地のうち京都御所などを除く65.3haの苑地で、京都市の中央公園的役割をも果たしている。なお、新宿御苑及び京都御苑では、子供たちが自然に接する機会をより多くもつことを目的とした「母と子の森」を、また京都御苑では、併せてトンボ池の整備を行い、自然観察会等の場として活用されている。
千鳥ヶ淵戦没者墓苑は面積1.6ha余りの苑地で、戦後海外各地から収集された遺族に引き渡すことのできない戦没者の遺骨346,023柱(平成11年5月現在)が安置されている。
これら公園の快適な利用に資するため、園内の清掃、芝生、樹木の手入れを行うとともに、平成11年度においては、北の丸外灯整備、新宿御苑千駄ヶ谷門改修等の整備を行った。
エ 河川環境等の整備
(ア)河川
河川環境に関する基礎情報の収集整備のため、河川並びにダム湖及びその周辺における生物の生息状況の調査「河川水辺の国勢調査」を137河川82ダムで実施した。また、河川環境に関する専門的知識を有する地域の方々の参加を得て、きめ細かな河川環境の管理に資する「河川環境保全モニター制度」を実施した。
また、河川環境管理基本計画の策定を推進し、自然環境の保全に配慮するとともに、河川の高水敷等を整備し、水と緑の公共空間として地域住民に憩いとレクリエーションの場を提供するため、河川の自然環境の適正利用のための施策を推進し、また、流域の水循環の適正化を図るための種々の施策を推進した。
良好なうるおいのある水辺空間の保全並びに形成や、河川水面利用の適正化等を図る「河川環境整備事業(水環境整備事業、河道整備事業及び河川利用推進事業)」、周辺の景観や地域整備と一体となった河川改修を行う「ふるさとの川整備事業」、河川改修と市街地整備を併せて行う「マイタウンマイリバー整備事業」、堤防の強化と併せ側帯上に植樹を行う「桜づつみモデル事業」を実施した。また、河川改修に際して、生物の良好な生育環境に配慮し、併せて美しい自然景観を保全あるいは創出する「多自然型川づくり」、河川横断施設とその周辺の改良、魚道の設置等により魚類の遡上環境の改善を行う「魚がのぼりやすい川づくり推進モデル事業」、高齢者、障害者に配慮し、すべての人に優しい河川環境を整備する「まほろばの川づくりモデル事業」、劣悪な環境になっている河川を周辺の地域環境にふさわしい本来の川らしい川に再生し、個性ある地域づくりに資するため、質の高い河川整備を行う「河川再生事業」、間伐材の有効利用を通して、自然を活かした川づくりと森林整備との連携を図る「森を育む川づくり」を実施した。また、「美しい山河を守る災害復旧基本方針」に基づき、河川環境に配慮した災害復旧を実施した。
(イ)ダム周辺
ダム貯水池において整地、法面保護、緑化対策等を図り、ダム湖の活用、親水性の向上を図る「ダム湖活用環境整備事業」を27ダム(事業費1,955百万円)で実施した。また、ダム周辺の魚類の生態系を含む河川環境の回復を目的とした「ダム水環境改善事業」を8ダム(事業費1,209百万円)で実施した。
さらに堆砂及び水質改善対策と併せて常時一定水位で利用可能な湖面を確保し、ダム湖の親水性を向上させる「レクリエーション湖面整備ダム事業」を1ダム(事業費871百万円)において実施し、地方公共団体等が主体となるレクリエーション事業と一体となって共同ダム事業を行う「レクリエーション多目的ダム事業」を3ダム(事業費2,754百万円)において実施した。
(ウ)砂防設備周辺等
都市周辺の渓流では、自然環境との調和を図り、緑と水辺の空間を確保し、生活環境を創造する「砂防環境整備事業」を13渓流(事業費999百万円)で、景観や親水性の向上、生態系の回復等を図り、良好な渓流環境を再生する「渓流再生事業」を7渓流(事業費360百万円)で実施した。
さらに、土砂災害の防止と併せて渓流における景観・生態系等の自然環境を保全する砂防事業を推進するため、渓流環境整備計画策定のための検討を行った。また、これらの事業を実施するための基礎情報の収集整備のため、自然環境調査及び渓流空間利用実態調査からなる「水と緑の渓流づくり調査」を実施した。
がけ崩れ対策においては、第4次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画に基づき、貴重な緑の空間である斜面環境・景観を保全しつつ安全度を向上するため、既存樹木を活用した緑の斜面工法による斜面整備を推進した。
また、土砂災害に対する安全性を高め緑豊かな都市環境と景観を創造するため、「都市山麓グリーンベルト整備事業」により、無秩序な市街化の防止や都市周辺に広がる緑のビオトープ空間の創造を図った。
オ 港湾・漁港における環境の整備
(ア)港湾
環境と共生する港湾(エコポート)の実現を促進する観点から、全国の模範となる整備事例を早期に形成する「エコポートモデル事業」を横浜港(新港地区)等において実施している。
港湾の親水性を高め快適な環境を創造し、港湾を利用する人々に憩いの場を提供するため、平成11年度は伏木富山港等135港において緑地等の整備を行った。また、歴史的港湾施設の保存、活用を図るとともに、周辺の環境整備を一体的に進める歴史的港湾環境創造事業を実施した。
マリーナは、その優れた景観と高い親水性からアメニティの高い潤いのある空間を創出することが期待される施設であり、自然環境の保全との調和を図りつつ、快適な環境を創造する観点から、その整備を推進している。
(イ)漁港
海水交流機能を有する防波堤等の整備、水産動植物の生息、繁殖が可能な護岸等の整備並びに自然環境への影響を緩和するための海浜等の整備を総合的に行う自然調和型漁港づくり推進事業を全国39地区で実施した。
また、漁村の生活排水対策として漁業集落排水施設整備を全国179地区で実施したほか、漁港区域内の水域における汚泥・ヘドロの除去覆砂並びに藻場・干潟等の整備を行う水域環境保全対策等を全国2地区で実施した。
カ 海岸における環境の整備
多様な海洋性レクリエーション需要の増大に伴う海浜利用の進展に対処するとともに、快適で潤いのある海岸環境の保全と創出を図るため、砂浜の保全・復元により生物の成育・生息地を確保しつつ、景観上も優れた人と海の自然のふれあいの場を整備する海岸環境整備事業を平成11年度は、全国303か所において事業費585億4,014万円で実施した。
沿岸域の藻場・干潟の造成、ヘドロのしゅんせつ等を行うとともに、藻場・干潟の整備保全事業を支援するための地方財政措置を講じた。
キ 緑化推進運動への取組
関係9省庁からなる緑化推進連絡会議(議長 内閣官房長官)を中心に、国土の緑化に関し関係行政機関相互の緊密な連絡を図り、総合的かつ効率的な施策を推進し、全国的な幅広い緑化推進運動の展開を図っているところであり、また「平成11年度緑化推進運動の実施計画」を取りまとめ、以下のような施策を実施し、運動の一層の展開と定着化を図った。
? 身近な場所に実のなる木等野鳥の好む樹木等を保全又は植栽し、野鳥の観察のための施設の整備により、野鳥の生息に適した環境の創出と野鳥に親しむ場の整備を図る「小鳥がさえずる森づくり」運動を推進し、特に優れた森づくりを実施した地方公共団体等の表彰を行った。
また、民間資金による緑化を進めるため、(社)ゴルファーの緑化促進協力会の協力を得てゴルファーによる緑化協力運動を推進した。
? 国民の国土緑化思想の高揚を図り、国土緑化を推進するため、全国植樹祭等を開催する事業に助成したほか、森林を多目的に利用する計画の策定、国民参加の森林づくりを推進する仕組みの構築とその普及・啓発を推進した。
また、緑化に関する技術開発、汚染されている河川、湖沼等への水質浄化林創造のための技術開発及び樹木医の養成・確保、巨樹・古木林等の保全技術の確立・普及等に助成した。
さらに、「みどりの日」、「みどりの週間」を中心に、国民各層が参加する緑化活動等の全国的な展開を推進したほか、「緑の募金による森林整備等の推進に関する法律」に基づき、国土緑化推進機構、各都道府県緑化推進委員会が行う「緑の募金」運動、その募金を活用した国内外の森林整備等への取組を推進した。
? 工場立地法の一部を改正し工場緑化の地方分権の推進等に努めるとともに、都道府県を通じ工場緑化のコンサルティング、研修会の開催、啓蒙普及書の配布等の指導を実施したほか、緑化等により環境の向上に顕著な功績のあった工場に対し通商産業大臣表彰を行った。また、緑地等の整備を行う工場について日本政策投資銀行及び中小企業金融公庫から融資を行っている。
? 都市緑化の推進にあたっては、「春季における都市緑化推進運動」期間(4〜6月)、「都市緑化月間」(10月)を中心に、その普及啓発に係る各種活動を実施したほか、緑の相談所(都市緑化植物園)、都市緑化基金の拡充強化等を図った。
(6)調査研究の推進
生物多様性の保全、絶滅のおそれのある野生動植物の保護や鳥獣の保護管理対策の強化に資するため、調査研究を推進した。