1 土壌環境の安全性の確保
(1) 農用地土壌汚染対策
農用地の土壌汚染対策としては、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」に基づく特定有害物質として現在カドミウム、銅及び砒素が指定されているが、その他の重金属類等についても調査を進める。また、都道府県が実施する細密調査等について助成を行い、基準値以上検出地域については、都道府県知事が対策地域の指定、対策計画の策定等の措置を早急に講ずるように指導するとともに、公害防除特別土地改良事業等に助成する。また、休廃止鉱山関係地域において、客土等の恒久対策が講じられるまでの暫定対策として、土壌環境負荷低減対策推進事業の中で土壌改良資材の投入等を行うカドミウム等特定有害物質等の作物吸収抑制土壌管理対策の推進について助成する。
さらに、全国の農用地を対象に、定点における重金属類による土壌の汚染の状況等を把握する土壌環境負荷低減対策推進事業について助成するほか、対策地域内の土壌の汚染状況を把握する対策地域調査等に助成するとともに、農用地に施用される資材中の重金属が土壌及び農作物に与える影響について調査を行う。
(2) 市街地土壌汚染対策
市街地土壌汚染対策を推進するため、地方公共団体による環境基準の適合状況の調査への助成、土壌汚染の調査・対策の技術体系をモデル的に総合実証する事業に対する助成、土壌汚染浄化新技術の確立のための調査、土壌環境基準未設定の物質の分析法や汚染実態等の知見を集積する調査、土壌汚染の実態把握や汚染対策に関する情報の整備・提供のための調査、環境リスクを勘案した土壌汚染の新しい評価手法の調査等を実施する。
(3) ダイオキシン類による土壌汚染対策
早急な対策の実施が急務となっているダイオキシン類について,市街地における土壌中ダイオキシン類の全国モニタリングを行い残留実態を把握するとともに,ダイオキシン類の土壌経由のリスクをより削減するための基礎的な調査・検討を行う。
また、農用地土壌及びそこで栽培される農作物中のダイオキシン類について、全国的な概況調査を行う。
さらに、我が国の一般廃棄物焼却施設周辺において高濃度のダイオキシン類による土壌等の汚染が判明したこと等を踏まえ、ダイオキシン類汚染土壌の種々の浄化技術を実用化レベルで実証し,今後のダイオキシン類汚染土壌の浄化技術を確立するとともに、多様な対策手法(覆土,植栽,分解処理等)による環境リスクの低減効果や周辺環境への影響を検証することにより、対策技術の総合的体系を構築し、ダイオキシン類による土壌汚染対策を推進する。
加えて、最新の知見を踏まえ、土壌中のダイオキシン類に関する環境影響及び対策手法について、更なる検討を進める。
(4) 鉱害対策
蓄積鉱害対策を推進するため、昭和46年度から実施している休廃止鉱山に係る鉱害防止事業についての所要の助成を引き続き行い、事業の促進を図る。
金属鉱業事業団では、使用済特定施設の鉱害防止事業に必要な資金及び土地改良事業に係る事業者負担金に対する融資・債務保証、鉱害防止事業基金への拠出金に対する融資、鉱害防止積立金及び鉱害防止事業基金の管理・運用、鉱害防止技術の開発のための調査研究(坑廃水最適中和処理システム技術、高効率廃水処理技術)、地方公共団体の実施する鉱害防止事業に対する調査指導及び設計等の指導支援業務を行い、鉱害防止事業の円滑かつ的確な実施を図る。
(5) その他
東アジア酸性雨モニタリングネットワークの試行稼働に伴い、引き続き、酸性雨による土壌・植生への影響の監視及び影響解明のための調査等を実施する。