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第2節 

1 アジア太平洋地域における環境問題の多様性

 アジア太平洋地域は、極めて多様な自然環境を有する。北部の草原地帯から南部の熱帯林や田園、さらには中国の砂漠等々、両極の極寒を除き地球上に存在する自然環境は、ほぼ全部この地域にそろっている。これらの地域が抱える環境問題は、土壌の劣化や森林破壊から産業公害や都市環境問題、廃棄物の問題まで、実に多岐にわたっている。とりわけ森林破壊は多くの国で深刻な問題とされている。(第3-2-1表第3-2-2表)。
 我が国を含む先進諸国は、経済社会の発展に伴い、衛生に関わる生活環境の問題から、経済成長に伴う産業公害、そして都市・生活型公害、さらに空間的広がりを持つ地球環境問題へと順に経験してきている。一方、アジア太平洋地域の途上国は、人口増大や工業化の進展が急速であるため、発展段階に応じて発生するこれらの環境問題が短期集中的に発生し、このため、同時並行的に対処することを迫られていると言える。また、人口増大や経済活動の拡大は、森林や海洋等の自然環境劣化の一因でもあり、環境問題への取組を一層困難なものにしている。

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