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第2節 

5 産業活動における環境保全の内在化に向けて

 以上、「モノ」「食」「マネー」の3つの観点からグリーン化の方向性を論じたが、これを全体的に捉えると第1-2-9図のように描くことができよう。すなわち、グリーン化は各事業者における取組だけでなく、様々な産業が相互に関連しながら取り組むことで一層成果が上がるものである。
 また、このような取組を円滑に進めるためには企業利益や消費者利益にもかなうことが必要であるが以上に紹介した取組事例は長期的にはこのような方向に沿ったものになると考えられる。有機農産物は、健康、安全という消費者利益と持続可能な農業生産という生産者利益の向上をもたらすものであり、環境金融商品は、グリーン化の促進と金融の環境リスクの低減を図るものである。またモノづくりに関しても第1-2-10図のように考えられるが、現在のところすべての環境保全型製品において必ずしもこのように考えられるわけではない。そこで、社会経済的なシステムや国民の価値観の転換等の転換を図っていくことも必要となってこよう。
 これらのことから、グリーン化は、産業間、行政や国民との有機的な連携等により、企業利益と消費者利益の双方の両立を図りながら進めていくことが重要であると考えられる。

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