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第1節 

2 広域的な問題への対策

(1) 酸性雨等に係る対策
 酸性雨による被害を未然に防止する観点から、その実態解明と対応措置の検討に資するよう、降水、陸水、土壌・植生のモニタリングを継続的に実施するとともに、酸性雨発生予測モデルの開発、酸性雨原因物質の沈着量マップ、臨界負荷量マップの作成等調査研究の充実を図る。また、樹木の衰退等と酸性雨、酸性霧、オゾン等との関連についての総合影響調査を行い、その実態解明と対応措置の検討に資する。
 さらに、酸性雨等による森林衰退の実態を解明するため、全国的規模のモニタリングを継続する。
 国際的な取組として、平成10年3月に開催された東アジア酸性雨モニタリングネットワークに関する第1回政府間会合の結果を受け、2000年(平成12年)からのネットワークの正式稼働に向けて試行稼働を開始するとともに、モニタリングネットワークへの的確な対応を行うための国内モニタリング体制の整備や東アジアの酸性雨問題に係る国際研究等を進める。また、全球大気監視(GAW)の一環として南鳥島の全球観測所及び岩手県三陸町綾里の地域観測所における降水・降下ばいじんの化学成分観測を継続する。
(2) 光化学大気汚染対策
 光化学大気汚染は、大都市部で排出された原因物質(窒素酸化物、非メタン炭化水素)が移流拡散する過程で光化学反応を起こし、大都市周辺地域に至って発生する広域的な問題であることから、県域を越えた広域的な対策を講じることが重要である。このため、広域的な対策の策定、効果的な緊急時対策の実施に資することを目的として、山梨県を含めた関東地域全域において、光化学オキシダント、窒素酸化物、非メタン炭化水素、浮遊粒子状物質等の主要な大気汚染物質に関する情報の収集・配信を一元的にリアルタイムで行うとともに光化学オキシダントの濃度予測を行うことを内容とした大気汚染物質広域監視システム(PAPION)を引き続き活用し、大気汚染物質の広域的な監視体制を強化する。また、緊急時措置の的確な実施に資するため、引き続き下層大気の気象観測を行い、PAPIONと連動した運用を図る。
 さらに、光化学オキシダントの前駆物質である炭化水素、窒素酸化物等に係る自動車排出ガス規制については、中央公害対策審議会の平成元年答申、中央環境審議会の平成8年中間答申及び平成9年第二次答申に沿ってその一層の強化を進める。

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