3 環境影響評価の実施
環境影響評価は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業の実施に際し、その影響について事前に十分に調査、予測、評価するとともに、その結果を公表して地域住民等の意見を聴き、十分な環境保全対策を講じようとするものであり、環境汚染を未然に防止するための重要な手段のひとつである。
(1) 閣議決定に基づく環境影響評価
昭和59年8月に閣議決定された「環境影響評価実施要綱」において、規模が大きく、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業で、国が実施し、又は免許等で関与するものについて環境影響評価を行うこととされており、道路、ダム、鉄道、飛行場、埋立・干拓及び土地区画整理事業等の面的開発事業等について環境影響評価が行われている。
この要綱に基づく環境影響評価は、主務省庁が事業者に対する指導等の行政措置を講ずることによって実施されるものであるが、平成9年の一年間において手続が終了した環境影響評価は27件であり、累計で384件となっている(第4-1-1表)。
(2) 個別法等による環境影響評価等
港湾法、公有水面埋立法等の個別法等に基づく環境影響評価等についても従来から行われているが、平成9年度に実施されたものの概要は以下のとおりである。
? 港湾計画
港湾法に基づいて定められる港湾計画は、港湾の開発、利用及び保全の基本的な姿を描いた計画であり、この計画策定に際して環境に与える影響についての評価を行うこととされている。
平成9年度においては、港湾審議会計画部会が3回開催され、和歌山下津港、小樽港等の港湾計画について所要の調整を行った。
? 公有水面の埋立て
公有水面埋立法においては、埋立ての免許に際して環境に与える影響について事前に検討することとされており、50haを超える埋立てや環境保全上特別の配慮を要する埋立てについては、主務大臣が埋立ての免許を認可するに際して環境庁長官の意見を求めることとされている。平成9年度においては、沖縄県豊見城村地先公有水面埋立等の埋立てについて検討を行い、所要の意見を述べた。
? 発電所の立地
発電所の立地については、通商産業省省議決定に基づく環境影響評価が実施されている。電源開発調整審議会における調査審議の際には、通商産業省の行った環境審査結果などをもとに環境保全についても検討が行われている。
平成9年度においては、電源開発調整審議会が3回開催され、御坊第2発電所、湯之谷揚水発電所等の計画について所要の調整を行った。
? その他
ア 市街化区域に関する都市計画
都市計画法に基づく市街化区域に関する都市計画については、あらかじめ環境庁長官の意見を求めることとされており、平成9年度においても環境汚染の未然防止の観点から所要の調整を行った。
イ 総合保養地域の整備
総合保養地域整備法に基づく基本構想の作成及び事業の実施に際しては、その内容に応じて環境保全上の観点からの検討などを行うこととされており、主務大臣が基本構想を承認するに際して環境庁長官に協議することとされている。
(3) 地方公共団体における取組
地方公共団体においても環境影響評価に関する取組が行われており、都道府県及び政令指定都市のうち、環境影響評価に関する条例を制定している団体は、平成10年3月末現在で15団体、要綱等を制定している団体は39団体となっている(第4-1-2表)。