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第6節 

3 生物の汚染

 汚染物質の中には、大気・水質・土壌・底質といった様々な環境の自然的構成要素間にまたがってその存在が確認されているものがあり、生物も汚染の危険にさらされている。
 一般環境中に残留する化学物質の早期発見及びその濃度レベルの把握を目的とした平成8年度の魚類に関する化学物質環境調査結果によると、調査対象7物質のうち4物質が検出された。これらのうち、フェノールは水質や底質を含め広範囲から検出されており、今後さらに推移の監視と詳細なリスク評価の必要があると考えられる。他に検出された、フタル酸ジブチル、ビスフェノールA等の物質は、内分泌攪乱物質の疑いがあり、今後も関連情報の収集が必要である。
 継続的に行っている生物モニタリング調査では、12種類(魚類8種、貝類2種、鳥類2種)の生物を21地点で採取した。結果は、調査対象物質29物質のうち21物質が検出された(第4-6-2表)。PCB等は使用が中止されてから20年以上経つが、なお16地点の検体から検出されている。PCB等は分解されにくく、生物の体内に入ると、排泄されにくいため蓄積されやすい。このため、一般に食物連鎖の捕食する側に行くほど濃縮率が高くなる。ドリン類、DDT類、クロルデン類等も農薬や防虫剤等として用いられたものであり、引き続き残留状況を調査していく必要がある。
 非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査においても生物を検体としてダイオキシン類等の調査を行っている(第4-2-4表)。平成8年度の、ダイオキシン類の1つである2,3,7,8-TCDDの調査結果では、検出頻度が高くなっている。これは平成7年度までの調査に比べ検出限界が下がったことから検出頻度が高くなったものと推察される。平成1年度からの経年変化では、平成2年度に検出頻度が高くなっているが、それ以後はほぼ同じレベルで推移していた。

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