1 我が国の国土を構成する自然環境
我が国の自然環境は、その地理的位置からいくつかの特徴がある。北半球のユーラシア大陸東部、北緯25度〜45度の位置に南北約3,000kmに渡って細長く横たわる日本列島は、大陸との連続や分断を何度も繰り返した。南は亜熱帯性気候から北は亜寒帯性気候まで、幅広い気候帯に属しており、年間平均降水量1,000mmを超える地域が多く、四季の変化も明瞭である。6千を超える大小の島で構成される列島は、比較的若い火山帯(環太平洋造山帯)の上にあり、国土の地形も複雑である。3,000m級の山脈や3万kmにも及ぶ海岸線、多くの河川などが織りなす地形が全国各地の個性的な景観を作り上げた。森林は現在も国土の約67%を占めている。これらの要因により、我が国の生物多様性は非常に豊かである。ほぼ同規模の島国であるイギリスと比較しても、日本は生物の種全体も固有種も豊かなことが分かる(第2-1-1表)。一方、急峻な地形のため、河川の勾配は急であり、流域は小さく、かつ、流路も短いため、河川の流量の変動は大きく、流水は急速に流下する気候的・地理的条件下にある。