1 物の生産・販売・消費・廃棄
(1) 全般的な施策
環境への負荷の評価手法であるライフサイクルアセスメント(LCA)の技術的側面についての検討を行うなど、引き続き所要の調査、研究、情報提供を行う。
環境保全型製品の普及については、製品のライフサイクルを考慮したエコマーク事業のさらなる指導育成を行うとともに、消費者及び事業者への環境ラベルの普及を図る。
廃棄物・リサイクル対策については、廃棄物の発生抑制、適正なリサイクル及び廃棄物の適正な処理を進める。特に、平成9年4月から本格施行された容器包装リサイクル法について、その適切な運用を図るための施策を引き続き推進する。
地球温暖化防止に向けた取組の推進については、消費者のライフスタイルの視点から引き続き検討するとともに、環境家計簿を運動として広めていく取組を行う。
また、国自らが事業者・消費者として、消費及び廃棄の段階で引き続き環境負荷低減に努めるとともに、物品等の環境負荷の少ない仕様、材質等に関する推奨リストの作成を進める。
(2) 農林水産業における環境保全施策
農業においては、農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した環境保全型農業の全国的な展開を図るため、都道府県、市町村段階での方針策定、生産物の品質評価、畜産由来肥料の効果的活用、被覆肥料等の緩効性肥料の利用、市町村方針に基づく環境保全型農業実践のための条件整備、営農現場に密着した各種の指導・助言及び農業団体間の情報交換、環境保全型農業の啓発・普及等を行う拠点施設を整備するとともに、環境保全型の新農法に先駆的に取り組む地域の農業者への技術支援等を推進する。また、家畜ふん尿の適正な処理を図るとともに、耕種農業における堆きゅう肥の利用を促進するため、畜産における環境保全に関する農家指導及び耕種部門との連携、堆きゅう肥の需給調整を行う堆きゅう肥総合利用センターの設置、家畜ふん尿の処理利用施設の整備等を行う。さらに、生産基盤等の総合的整備の際に環境保全林、緑地帯等の自然環境の保全を進める。
林業においては、適正な保安林の配備及び維持管理を推進するとともに、平成8年11月に改定された「森林資源に関する基本計画」を基本として、森林計画制度による、持続可能な森林経営を一層進めるため、育成複層林施業等の適切な森林の整備を促進する。
水産業においては、つくり育てる漁業を推進するため、「海の畑づくり」として、沿岸域の藻場・干潟の保全、ヘドロのしゅんせつ等を実施するとともに、放流魚貝類により自然界に生息する魚貝類の遺伝的悪影響を生じさせないよう生態系保全型種苗生産技術開発事業を実施する。また、養殖漁場の管理に必要な環境指標の設定と簡便な測定手法の開発を実施するとともに新たに、内水面、海面における養殖業について、それぞれの特徴に応じた低コストで効果的な養殖場の環境改善システムの開発を行う。一方、「資源管理型漁業」を推進するため、資源の状況、利用実態等に係る調査・検討を行うとともに、資源の利用者である漁業者の合意に基づく自主的な資源管理体制を整備するための事業を実施する。
(3) 製造業における環境保全施策
製造業においては、例えば鉄鋼業、紙パルプ産業等に対し公害対策指導を行うほか、省資源・再資源化推進のための環境整備事業を行う。中小企業の公害対策について、実態を把握するとともに、中小企業自身の研究開発を支援する。
食品産業においては、生産段階では、製品の生産から消費・廃棄を通じた食品環境負荷評価のシステムの開発、食品工場の廃棄物等の利用効率化、食品工場の有機性廃棄物を原料として生産される肥料等についての情報活用を推進するためのネットワークの構築、食肉製造業等から排出される畜産物残さのリサイクルの推進等を行う。流通段階では、食品流通業におけるリサイクルシステムの策定、外食産業における廃棄物の減量化・再資源化、動植物性残さの堆肥化・飼料化等の対策の推進、食品小売店等から廃棄される魚腸骨等の食品残さを処理する魚腸骨等食品廃棄物処理施設整備等を行う。消費段階では、消費者の環境に配慮した食行動への取組促進のための啓発、廃食用油エステル化燃料の実用化に向けての諸問題についての分析・検討及び製造方法の確立等を行う。
また、これら各段階を通じ、共通的、基盤的対策として、環境対策の総合検討、リサイクル情報の提供、推進指導体制の整備、容器包装廃棄物リサイクル対策等を行うとともに、食品産業廃棄物の飼肥料化等有効利用技術及び食品容器包装リサイクル技術の確立のための事業並びに生物活性等を利用した再資源化技術の開発を実施する。
(4) 建設業における環境保全施策
平成8年度に建設産業界の10団体が策定した「建設産業環境行動ビジョン」を建設産業界全体へ浸透させるとともに建設産業全体としての協調的な活動のための推進体制の整備を行う。また、同ビジョンを受けて策定された「建設業界の環境保全自主行動計画」を推進していく。