7 生物多様性の保全
我が国は、これまでも国内法令に基づき決定された基本方針等に沿って生物多様性の保全と持続可能な利用に取り組んできたところであるが、「生物の多様性に関する条約」第6条に基づき、我が国の同条約実施の基本方針及び施策の展開方向を示す生物多様性国家戦略を平成7年10月31日に地球環境保全に関する関係閣僚会議において決定した。
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)については、平成6年11月にフォートローダデールで開催された締約国会議で実施が決定した条約の見直し作業に関し、資金提供を行うとともに、聞き取り調査、質問票への回答を通じて実質的な見直し作業への貢献を行った。また、平成8年11月にセネガルにおいて開催されたアフリカゾウ原産国会議への支援も行った。
「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)については、引き続きアジア諸国の加盟促進に努めるとともに、湿地保全に関する人材養成や調査研究への協力など、同地域における協力体制の一層の強化を図った。
米国・豪州・ロシア・中国との間で締結されている二国間の渡り鳥等保護条約・協定については、日ソ渡り鳥等保護条約に基づくプロジェクトとして、平成9年2月から衛星発信機を利用したホウロクシギの渡りルート解明等に関する共同調査を開始した。
サンゴ礁の保全については、国際的枠組みである国際サンゴ礁イニシアティブにおいて、国際ワークショップを共催する等、積極的な役割を果たした。特に東アジア地域については、平成9年2月に沖縄での地域会合の開催等、地域の取組の推進に努めた。
このほかの国際的な取組としては、開発途上国等における生物多様性保全の取組を支援することを目的として、アジア地域における鳥類のレッドデータブック作成のための協力や、JICAによるインドネシア生物多様性保全計画プロジェクト等が実施されている。