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第5節 

4 ダイオキシン等の非意図的生成化学物質に係る調査等の概要

 ダイオキシン類は、燃焼過程や化学物質の合成過程などで意図せずに生成される化学物質である。ダイオキシン類などの非意図的に生成される化学物質による環境汚染が問題となったことから、環境庁では、一般環境中における非意図的生成化学物質の環境残留性を把握することを目的として昭和60年度から「有害化学物質汚染実態追跡調査」(平成5年度より「非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査」に調査名を変更)を開始した。
 平成7年度は、ダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDD)及びポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)の総称)並びにPCB(ポリ塩化ビフェニル)に関してその総量及びコプラナーPCB(オルト位に置換塩素を持たない扁平構造のPCB)の調査を実施した。
 調査結果に基づき、ダイオキシン類及びコプラナーPCBについて、中央環境審議会環境保健部会化学物質専門委員会において次のとおり評価された。
 (ダイオキシン類)
? ダイオキシン類の一般環境への汚染状況は、前年度までの調査結果と比較して大きく変化したとは認められないが、底質を中心に広範囲に検出されているため、今後とも、引き続きその汚染状況の推移を追跡して監視していくことが必要である。
? また、ダイオキシン類の発生源や環境中挙動などの汚染機構の解明及び毒性関連知見の収集に努めることが必要である。
 (コプラナーPCB)
 コプラナーPCBの環境残留はPCB製品からの環境放出に由来すると考えられている。PCBは既に昭和47年に使用が中止され、昭和49年6月には化学物質審査規制法に基づく第一種特定化学物質に指定されるとともに、PCBを含有する産業廃棄物は平成4年7月には廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく特別管理産業廃棄物に指定され、規制措置がとられていることから、その汚染の拡大の可能性は少ないと考えられるが、かなりの濃度レベルで検出されているため、調査地点を増やした上で、今後とも引き続き汚染状況を調査し、その推移を追跡して監視することが必要である。
 特に、ダイオキシン対策については、環境庁において、平成8年5月に設置された、有識者で構成する検討会において、ダイオキシン類のリスク評価及び排出抑制対策の在り方について総合的な検討が行われている。平成8年12月の中間とりまとめにおいて、人の健康を保護する上で維持されることが望ましいレベルとして「健康リスク評価指針値」が設定(体重1kg当たり1日の摂取量5pg(pgはgの1兆分の1))されるとともに、ダイオキシンによる健康リスクをより小さくする観点から、環境中のダイオキシン濃度の低減を図る必要があること、及びその確保を図るため、規制的措置の導入等のダイオキシン排出抑制対策の推進方策等が示された。

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