6 大気環境の監視観測体制の整備
大気汚染状況の常時監視は、環境基準の達成状況の把握、大気汚染防止対策の確立等のために不可欠であり、大気保全行政の基盤をなすものである。(地球規模の監視観測に関しては第5章209/sb2.5>参照)
(1) 国設大気測定網
ア 国設大気測定所
大気汚染の態様を全国的な視野で把握するとともに、大気保全施策の推進等に必要な基礎資料を得る目的で、国設大気汚染測定所、国設環境大気測定所及び国設自動車排出ガス測定所が設置されている。これらの国設大気測定所に国設酸性雨測定所を加えた全国の国設大気測定網の配置については、第1-1-24図のとおりである。
国設大気汚染測定所は、主要地域の汚染状況を把握する目的で全国に15か所設置されている。また、国設環境大気測定所は、我が国の代表的な平野部における既汚染地域以外の地域の汚染状況を把握する目的で全国に8か所設置されている。平成7年度の環境大気測定所における測定結果は、第1-1-21表のとおりである。
沿道における汚染状況の把握については、国設自動車排出ガス測定所を東京都内3か所、群馬県前橋市及び大阪府四条畷市に設置している。
イ 国設酸性雨測定所
国内における酸性雨の実態把握、長距離移送の機構解明、生態系影響の解明等のモニタリングを行うことを目的として、昭和62年度、国設大気測定所23か所に酸性雨測定機を整備し、その後、平成元年度から逐次国設酸性雨測定所の整備を行ってきている。平成6年度からは、植生の衰退等が報告され、その原因として酸性雨等が指摘されている関東周辺部の山地に整備を進めており、平成8年度には日光(栃木県)に測定所を新たに設置した。
(2) 地方大気汚染監視体制
地方においては、「大気汚染防止法」に基づき、都道府県知事及び政令市長が大気の汚染の状況を常時監視測定しているほか、それ以外の地方公共団体においても監視測定が行われている。また、大気汚染物質を排出する発生源における二酸化硫黄濃度、燃料使用量等の常時監視を行い、その測定結果を中央監視センターに伝送するテレメーター装置等の整備も進められている。
また、国においては都道府県及び政令市が行うこれらの監視測定に必要な測定機器等の整備に対して補助を行い、測定技術の高度化、効率化に対応した監視測定体制の計画的、重点的整備を図るとともに、有害化学物質の実態把握等を行うため、地方公害研究所の設備の近代化を図っている。
なお、二酸化硫黄、二酸化窒素及び光化学オキシダントの測定法については、従来より湿式測定法により測定することとされていたが、測定機の維持管理が比較的容易なため世界的に主流の測定方法となっている乾式測定法について、従来の湿式測定法と同等以上の精度を得ることができる測定法であるとの結論が得られたことから、平成8年10月に、環境庁告示を改正し、従来の湿式測定法に加え、乾式測定法を追加した。