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第3節 

1 化学物質による環境汚染対策の状況

(1) これまでの化学物質対策
 これまでの化学物質による環境汚染問題への対策は、少数の個別物質による比較的高濃度汚染に起因する健康問題を中心に進められてきている。
 有害な物質の環境中への排出を直接的に規制する法律としては、「大気汚染防止法」及び「水質汚濁防止法」がある。また、化学物質の製造や使用を規制する法律として「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)、「農薬取締法」等がある。さらに、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」は、廃棄物の発生抑制、適正な方法による中間処理・最終処分等により、廃棄物中の有害な物質が環境中に侵入し、環境を汚染することを防止している。「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」や平成8年6月に改正された水質汚濁防止法では、有害な物質によって汚染された環境の浄化対策を規定している。
(2) 求められる取組の強化
 これらの取組は、化学物質による環境汚染に係る健康影響の防止等のために一定の成果を上げてきた。しかし、今日、多くの化学物質の暴露によって、人の健康や生態系に影響が及ぶことが懸念されている。また、工場・事業場での製品の生産段階における環境への負荷に加えて、生産された製品の使用段階や廃棄段階における環境への負荷による環境汚染が懸念されている。
 このような化学物質による環境汚染の未然防止を図るためには、より一層の取組の強化が必要となっている。

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