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第2節 

6 再生可能な資源の保全

 森林資源等の再生可能な資源については、植林、保育、森林資源の有効活用を行うなど、資源の保全と持続可能な管理を行っていく必要がある。
 森林資源に関しては、FAOの調査によると、開発途上地域では、1981年(昭和56年)から1990年(平成2年)までの10年間で、我が国の国土面積の約4.3倍に相当する1億6282万haの森林が減少したと推計されているが、これに対し、開発途上地域で1981年から1990年までに造林された面積は、減少した面積の19.6%の3198万haにとどまっている。
 我が国においては、原料の約50%が木材である製紙産業による海外植林が1990年代から本格的に進められてきている。平成8年12月現在では14の植林プロジェクトが南半球の国々を中心に展開されており、これまで海外では約19万haの造林(国内では約15万ha)を行っている。このほか、開発途上国等の森林の保全・造成のため、国際協力事業団(JICA)を通じたプロジェクト方式技術協力等の二国間協力や、FAO、国際熱帯木材機関(ITTO)等の国際機関を通じた協力、海外での植林活動を行うNGOに対する支援が実施されてきている。
 一方、海外での植林については、在来種ではなく外来種による植林による生態系への影響や、単一樹種による植林による環境影響等の問題も指摘されており、これらの問題に十分留意しつつ、森林資源の循環の確保を図る必要がある。また、植林はCO2固定化策としても有効であり、今後とも植林事業を一層進めていく必要があろう。

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