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第2節 

1 経済社会システムにおける物質循環を確保するための廃棄物・リサイクル対策の考え方

 資源・エネルギーの浪費とも言える大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動やライフスタイルにより、資源の採取から廃棄に至る各段階での環境への負荷が高まっていることを考慮すると、我々の経済社会システムにおける物質循環を確保するためには、第一に、現代の浪費的な生産と消費の様式を問い直して、廃棄物の発生抑制を図っていかなければならない。また、環境汚染の未然防止の原則に基づくと、廃棄物中の有害な物質の含有量を削減する必要がある。これらは、人の健康と環境に対するリスクを低減させるものである。リサイクルの推進や廃棄物の適正処理は、すべての廃棄物対策において重要であるが、環境への負荷を総体として低減するためには、まず、廃棄物の発生抑制が前提となるべきである。
 次に、発生が避けられない廃棄物については、排出する前に、使用済製品の再使用、回収したものを原材料として利用するリサイクル、エネルギーとしての利用のいずれかを図る必要がある。
 この中で、使用済製品の再使用は、一般的に廃棄物の排出量の抑制に寄与するとともに、製品の原材料の採取、製造等に伴う環境への負荷を生じさせないため、総合的な環境への負荷を考慮した上で、重点的に進められるべきである。また、回収したものを原材料として利用するリサイクルは、それが技術的な困難性、環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合を除き、廃棄物のエネルギーとしての利用よりも優先されるべきである。
 そして、リサイクルが見込めず最終的にやむを得ず発生する廃棄物については、適切な中間処理を経るなど、環境への影響を極力少なくした上で、埋立て等の最終処分が適正に行われることが必要である。
 したがって、廃棄物・リサイクル対策は、環境基本計画にあるとおり、?廃棄物の発生抑制、?使用済製品の再使用(リユース)の実施、?回収したものを原材料として利用するリサイクル(マテリアル・リサイクル)の実施、それが技術的な困難性、環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合、環境保全対策に万全を期した上で廃棄物をエネルギーとして利用、?最終的に排出された廃棄物については適正な処理の実施――という優先順位で取り組まなければならない。

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