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第2章 環境とのかかわりの中でどのようにモノを利用していくか

 人間は、食料や原料という形で資源を環境から採取し、生活や様々な事業活動を営み、その過程で、廃棄物、排出ガス、排水等の不用物を環境中に排出している。言い換えれば、環境から多くの恵みを受けるとともに、環境に様々な影響を及ぼしながら活動を行っている。一方、環境は復元する能力を持っており、人間が環境から資源を採取したり、不用物を環境中に排出しても、それが環境の復元能力の範囲内であれば、生態系のバランスは保たれ、社会経済活動を持続的に営むことができる。
 しかしながら、今日の我々の大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動やライフスタイルは、多大な資源を必要とするとともに、多大な不用物を環境中に排出することによって成り立つものとなっている。このような我々の経済活動の拡大と高度化に伴って、環境が復元する能力を超えた資源採取による資源の減少と不用物の排出による環境汚染の問題が生じてきている。
 我々の経済社会を持続的に発展させていくためには、環境が復元し得る範囲内に環境への負荷を総体として低減する必要があり、このためには、今日の環境への負荷と大きなかかわりを持つ我々のモノの利用形態について見直していかなければならない。
 本章では、このような観点から、第1節において、我々が「豊かさ」を求めるために様々なモノを利用することに伴い高まっている環境への負荷の状況について概観し、第2節以下で、環境を損なわずに持続的な発展を行っていくための適切なモノの利用の在り方として、廃棄物の発生抑制・リサイクルを進めていくための取組や、環境汚染物質を適切に管理するための手法などについて考えてみたい。

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