1 規制的措置
(現状)
我が国においては、現在のところ、地球温暖化の防止を直接の目的として明示した上で行われている規制はない。
温暖化対策と関連している規制としては、オゾン層保護法や省エネ法に基づく規制がある。
オゾン層保護法では、オゾン層の保護を目的として温室効果ガスでもあるCFC等の生産の規制を行なっている。
省エネ法では、一定規模以上のエネルギーを使用する工場(エネルギー管理指定工場)にあっては、エネルギー管理士免状の交付を受けている者のうちからエネルギー管理者を選任しなければならないとするとともに、「工場においてエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」が定められている。また、エネルギーを消費する機器のうちの自動車などの特定の機器については、エネルギー効率を表示する義務が課されるとともに、機器毎に「製造事業者等の判断の基準となるべき事項」(自動車についてはいわゆる燃費基準)が定められている。これらの「判断の基準となるべき事項」に照らして取組が不十分な工場などに対しては、主務大臣(業所管大臣)から所要の指示がなされ、あるいは命令等がなされることとなっている。
(今後の方向)
CO2のように、通常の事業活動や日常生活そのものから発生する問題については、これをすべて規制によって管理しようとすることは技術的にも極めて困難であり、また、膨大な行政費用を要するという観点からも現実的ではない。
しかしながら、規制措置は、例えば製品の性能のように、多数の製品の出荷時点で一律に確保し得るものについては有効性が高く、排出量を正確にコントロールすることができるという利点があり、また実際上も上記の規制的措置が既にCO2の排出抑制という観点からも一定の効果を上げている。温室効果ガスの排出源が多種多様である中で規制対象をどのように限定していくか等の点に十分配慮しつつ、また、国民の間に地球温暖化防止の重要性の認識が高まり、このための規制措置を受け入れる素地ができれば、今後、有効な規制的措置を導入・強化することの可能性についても積極的に検討を行うことが必要である。また、CO2の排出抑制に資する取組を阻害する規制については当該規制目的の合理性・必要性の有無を十分検討し、規制を緩和していくことも重要である。